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食糧確保で中国切実 全人代 耕地不足、劣化 輸入増へ
【北京=福島香織】中国は昨年、食糧純輸入国に転落したが、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)と全国人民政治協商会議(全国政協=国政提言機関)で食糧問題が大きな焦点となっている。六日に行われた食糧安全保障に関する全国政協の会見では、過去七年間に総耕地の5%が消失するなど深刻な状況が明らかにされ、「食糧の継続的な増産は困難」との危機感が示された。今後、中国の食糧輸入増加が避けられない状況を浮き彫りにした。
中国の食糧需給の逼迫(ひっぱく)については、温家宝首相が全人代に上程した政治活動報告でも、中国の経済運営における新たな問題として第一にすえられた。来年までの農業税の全面廃止や食糧生産農民への直接補助、中央財政から食糧生産県への移転支出増加など食糧増産を目的とした農民優遇政策を打ち出している。
昨年の中国の食糧生産は四億六千九百四十五万トン(前年比9%増)と好調だったが、需要に対して二千万トンが不足した。自給率95%のラインは守ったといえ、輸出国から輸入国に転落した。
会見では、一九九六−二〇〇三年の間に総耕地面積の5%が開発や砂漠化で消失し、農薬、化学肥料の不合理な使用による土地の劣化も深刻だと指摘された。総耕地の三分の二が、一ムー(6・67アール)当たりの生産量50キロ以下で効率が悪くなっている。会見した段応碧・全国政協経済委副主任は「長期的には楽観できない」と述べ、耕地不足、水不足、農業基礎の脆弱(ぜいじゃく)さなどの理由で、食糧の継続的な増産がますます困難になるとの認識を示した。
香港記者が「台湾有事の際に米国が食糧封鎖に踏み切ったらどう対応するか」と質問すると、段・副主任は「米国が食糧を売れなくなるだけで、われわれに影響はない。食糧安保の問題は国内で解決できる」と取り合わなかったが、中国のメディアでも食糧問題が国家安全保障問題として認識され始めていることを浮き彫りにした。人口十三億の中国の胃袋が拡大する規模を想像すれば、今後の中国の食糧安保が世界の食糧問題に影響を与える可能性は小さくないといえそうだ。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/07int002.htm