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中国 全人代開幕 高成長維持「8%前後」 江軍事委主席は欠席
【北京=伊藤正】中国の第十期全国人民代表大会(全人代=国会)第三回会議が五日午前、北京の人民大会堂で開幕した。会期は十四日まで。温家宝首相が政府活動報告(施政方針演説)を行い、今年の経済成長率目標を「8%前後」に設定、高成長を維持する一方で、マクロコントロールを継続し、経済、社会の安定的発展を図る方針を明らかにした。また反国家分裂法案に関し、台湾独立は断じて許さないと述べ、独立の動きには武力行使も辞さない決意を示した。
この日は胡錦濤国家主席ら党・政府首脳と約三千人の代表が出席したが、江沢民国家軍事委員会主席は欠席した。江氏は今大会で完全引退し、後任になる胡主席への党、国家、軍の権力継承が完了する。
温家宝首相は中央委員会総会(四中総会)などで打ち出された「和諧社会」構築の路線に沿い、高成長が生んだ格差の拡大など社会のひずみを是正、経済・社会のバランスの取れた持続的発展を目指す措置を列挙した。
大会に提出された決算・予算報告によると、今年の中央政府予算は、歳入が前年比10・5%増の一兆六千六百六十二億元、歳出が7・6%増の一兆九千六百六十二億元で、赤字幅は前年より百九十八億元縮小した。長期建設国債の発行額を前年より三百億元圧縮、農業支援や教育、衛生対策などへの支出を増やした。国防費は前年実績比12・6%増の二千四百四十七億元で、実績比では一九八九年以来十七年連続で二ケタの伸びになった。
注目の反国家分裂法案は八日に趣旨説明が行われ審議されるが、採択は確実。温首相は同法に関し「台湾独立勢力のいかなる名目、方式でも台湾の分割は許さない」と述べたが、胡錦濤主席も四日の政治協商会議代表との会見で、同趣旨の発言をし、独立阻止に武力行使も辞さない中国の姿勢が鮮明になった。
同法の制定は中国の軍事力増強とあわせ、日米などの警戒心を高めよう。
≪農村対策てこ入れ 弱者救済を最重視≫
【北京=野口東秀】五日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告は、「和諧(調和のとれた)社会」建設をキーワードにした。高度経済成長のひずみのなかで置き去りにされた社会的弱者の救済を重視し、なかでも全人口の七割を占める農民の所得増、農村部での義務教育の徹底など農村対策のてこ入れを最重要課題とする方針を示した。
温家宝首相は政府活動報告で、高度経済成長の陰で広がる貧富の格差や失業問題など社会のひずみを正し、「民主法治、公正正義、安定で秩序ある和諧社会の建設」が必要だと指摘した。
温首相が弱者救済を含めた社会的矛盾の改革を強調する背景には、貧富の格差拡大や官僚腐敗への民衆の不満の高まり、農民の暴動多発などで、党の求心力が低下し続けることへの危機感がある。
内需拡大のために発行を続けてきた建設国債を前年から三百億元(一元=約十三円)減らし八百億元にとどめることについては「三農(農業、農村、農民)対策」のためとし、「食糧増産と農民収入増を促進する長期的メカニズムが不健全だ」と指摘した。
温首相が「三農対策」を強調するのは、農民の収入が低迷し、三倍とされる都市と農村の収入格差が実質的には六、七倍となっているため。開発ラッシュの陰で農地を安い補償金で奪われる農民は三千万人を超えるといわれる。
温首相は地元政府から法外に徴収される税を含む農業税を来年全廃することを約束。農村支援策として前年比百四十億元(約千八百二十億円)増の六百六十四億元(約八千六百三十億円)を支出し、「農村における税改革は農村の経済・社会分野での大きな変革だ。農民のさまざまな負担をなくし、二千年余りも続いてきた農民に『年貢』を納めさせる歴史を徹底的に改める」と強調した。
http://www.sankei.co.jp/news/evening/06iti001.htm