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フジ×ライブドア法廷闘争 専門家の見方
ライブドアが、ニッポン放送による新株予約権発行の差し止めを求める仮処分を申請し、「ライブドアVSフジサンケイグループ」の攻防は、法廷に舞台を移した。東京地裁は早ければ来週にも判断を出す見通しだ。主な争点に対する見解、決定が日本の企業買収などに与える影響について、専門家の意見を聞いた。 (聞き手=経済部・東條仁史、桐山純平)
■市場ルール示す機会に 大楠泰治氏
――新株予約権の発行に正当性はあるか。
「株式市場の論理からすると、発行は許されるべきではない。裁判所での勝敗は分からないが、フジテレビによる株式公開買い付け(TOB)の期間中に大量の新株予約権を発行するのは、株式市場のルールを無視したとんでもない行為だ。株価操縦の疑いがある」
――ニッポン放送は「企業価値の維持」を発行目的に挙げているが。
「地位保全が目的であることは明白。企業価値の維持、放送局の公共性を争点として前面に出すための戦略だろう。それならば、ライブドア傘下に入ることで具体的にどのようなマイナスがあるのか、書面で株主らにも公表すべきだ。裁判所にだけ主張しても、フェアではない」
――裁判所判断が株式市場に与える影響は。
「この新株予約権が安易に認められたら、友好的な買収しか仕掛けられなくなる。海外投資家らが安心して参加できなくなり、市場の停滞を招く。現在の日本の株式市場は、海外勢が買い支えており、彼らの存在感が増していることを忘れてはならない」
――申請は海外でも注目を集めているか。
「大勢の投資家が動向を見ている。市場の成熟度、開放性、企業統治のあり方などが、広範に問われている。日本の株式市場のルールを、内外に示す機会だ」
――ライブドアの行為にも批判が出ている。
「ニッポン放送株の35%を取得した際、TOBでフジに対抗すべきだった。一連の行為には、乱暴な点もある。上場会社の場合、善悪の判断は株主のもので経営者の好き勝手にできないという認識が双方に欠けている。場外乱闘の中で、裁判所の心証が形成されていくのは好ましくない。適切な論戦を展開してほしい」
<おおくす・たいじ> 東京大学法学部卒業。1971年、三和銀行(現UFJ銀行)入行。モルガン・スタンレー証券東京支店などを経て、昨年2月からクレディ スイス ファースト ボストン証券東京支店の法人本部長。企業買収を数々手掛けてきた。57歳。
■価格の妥当性問われる 岩倉正和氏
――争点として注目するポイントは。
「ニッポン放送の新株予約権は法律的に二つの問題があるとみる。一点目は発行の主要な目的。二点目はニッポン放送の新株予約権がフジに対する有利発行かどうかということ。個人的に二点目の議論に注目している」
――今回のケースは有利発行に当たるのか。
「ニッポン放送の株価は、予約権発行決議の直前、六千円台で推移していた。それに対し今回、普通株式に転換する価格は五千九百五十円で、フジに相当有利な条件だ。ニッポン放送は専門家の意見書などを添えるなどして相当説明しないと、裁判所は簡単に納得しないのではないか」
――どのような基準で決定すべきだったか。
「新株発行の価格はかつて、三カ月から半年間の平均で決めるケースが多かった。しかし株主の利益を重視する趣旨で、最近では直近の市場価格を基準に算定するのが大勢となっている。まして新株予約権の場合、転換について選択権を持つので、さらに高く設定すべきだと考える」
――新株予約権の目的についてどう思うか。
「ニッポン放送は、ライブドアが親会社になると、フジサンケイグループとの関係が絶たれ、企業価値が減少すると主張している。だがグループからの離脱だけでは、裁判所が認めるとは思えない。新しい判例を作ろうという野心かもしれないが、どのような論陣を張って主張するのか、大変注目をしている」
――判断を下す裁判所に望むことは。
「勝ち負けは別にしてニッポン放送の発行目的を事実認定したうえ、何が許されるのか、新株発行を検討する会社にとって明確な指針となるような判断を出してほしい」
<いわくら・まさかず> 東京大学法学部卒業。1987年、弁護士として西村総合法律事務所(現・西村ときわ法律事務所)入所。専門はM&A(企業の合併・買収)。三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスなど多くの金融機関統合に携わる。42歳。
<メモ>
【ライブドアによる仮処分申請】 ニッポン放送が2月23日、フジテレビを割当先に新株予約権を発行することを公表した。同放送株式の過半数取得を目指すライブドアは「買収阻止が目的の不公正な発行」として翌24日、東京地裁に発行差し止めを求める仮処分を申請した。
【有利発行】 特に時価より低い価格で一部の株主に株式を発行すること。既存株主の1株当たりの価値を下げてしまう弊害があるため、有利発行をする場合、株主総会の特別決議を経なければならず、議決権の3分の2以上の賛成が必要。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050305/mng_____kakushin000.shtml