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鉄鋼決算見通し:4社が純利益を上方修正−5社とも配当引き上げ
3月3日(ブルームバーグ):3日に発表された大手鉄鋼5社の05年3月期連結決算見通しでは、鉄鋼需給のひっ迫を背景に値上げが浸透した結果、新日本製鉄やJFEホールディングス、住友金属工業、日新製鋼が連結純利益予想を上方修正した。新日鉄と住金に続き、JFEHDも過去最高の純利益を見込むほか、新日鉄の年間配当5円を筆頭に神戸製鋼所を含む5社すべてが配当額を引き上げる方針。
鉄鋼生産は好調を持続している。日本鉄鋼連盟によると、2004年4月−05 年1月までの国内粗鋼生産量は前年同期比2%増の9465万トン。
JFEHDの宮崎徹夫副社長は主力の高級鋼板に関して、国内、国外ともに非常に強い供給要請が続いており「すべての要請には応えられない状態が続いている。需要の後退は感じられない」と説明。新日鉄の藤原信義常務も、建設用鋼材の需要がやや落ちているものの、主力である自動車や造船などの製造業向けは依然として強く「需給は基本的に変化はない」と語った。
JFEによると、04年度の鋼材平均単価見通しはトン当たり6万1500円。上期に続いて下期も値上げが浸透した結果、前年同期(5万500円)を大幅に上回るとしている。
需給見通しも楽観
鋼材輸入量が増加するなど気になる数字も出ているが、JFEの宮崎副社長は「今後2−3年は需給関係がネガティブにになることは考えられない」と述べた。アジア各地では生産増強が計画されているものの、高級鋼板を供給できるだけの技術力が備わっていないうえに、実際の供給開始までに時間がかかるなどと指摘。またコイル類の輸入が増えているが、絶対量は少ないことから「影響は受けない」(宮崎副社長)としている。
鉄鋼連盟によると、04年4月−05年1月までの鋼材輸入量は前年同期比 21.1%増の621万トン。なかでも中国からの輸入は同53.5%増と高い伸びを示しているが、日本の市場規模(年間出荷は8000万トン強)と比べると量自体はまだ少ない。
05年度も強気見通し−再値上げに注力
05年度の見通しについても楽観的な見方が多い。新日鉄の藤原常務は、中国をはじめとした東アジアでのおう盛な鉄鋼需要は変わらないとの認識を示したうえで、05年度の需要も製造業向けを中心に「04年度を若干上回る勢い」と語った。その一方で、05年度は原料炭や鉄鉱石が大幅に値上がりする見通しで、住友金属のコスト増加額は「1000億円以上に達する」(鈴木信里専務)。各社ともに原料コストを転嫁できない場合、利益がなくなりかねないうえに、「国際価格などに比べると、ひも付き(特定需要家向け)価格は大幅に安い」(鈴木専務)、「多様化する需要家のニーズに応えるには、今年度並みの収益は必要」(神戸製鋼所の浅岡徹専務)として、再値上げに注力する考えだ。
大手鉄鋼会社と鉱山会社は、05年度の原料炭指標価格を前年度比2.2倍、主要鉄鉱石は同約72%高とすることで合意した。鉄鋼会社側は、こうした原材料コストの増加額が合計で約1兆円に達すると試算している。
新日鉄の純利益はやや期待外れ−市場の反応
鉄鋼5社の株価は、決算見通し発表をきっかけに一時上昇する場面があったが、その後はやや売りが優勢となった。新光証券の辻典秀アナリストは、業界全体の印象は強いとしながらも、今回の新日鉄の発表内容は「コンセンサスをやや下回った」と受け止めている。四半期決算を唯一発表している新日鉄は業界全体の指標的存在と捉えることができ「四半期を追うごとにもう少し利益が出るとの期待感があった」という。同氏は新日鉄の連結純利益を2200億円前後と予想していた。
新日鉄の1−3月純利益予想は529億円で、10−12月期(661億円)から一転して減少を見込む。1−3月期には補修費用などの計上が増えるほか、鉄スクラップ市況の上昇を踏まえ「保守的にみている」(藤原常務)としている。
また辻アナリストは配当引き上げに関して、業績や財務面などとの比較に基づき「住金の配当は健闘している」と述べるとともに、新日鉄も思い切った内容と評価している。住金は1株当たり4円(従来は1.5円)、新日鉄は5円(同 1.5円)とする方針。
新日鉄の株価は前日比2円(0.7%)安の285円、JFEは同40円(1.3%)安の3160円、住金は同2円(1.1%)高の186円、神戸製鋼所は同1円(0.5%)安の189円、日新製鋼は同1円(0.4%)高の289円。
通期純利益予想
新日本製鉄 2000億円(従来予想1900億円)
JFEHD 1500億円(従来予想1400億円)
住友金属工業 900億円(従来予想850億円)
神戸製鋼所 500億円(従来予想500億円)
日新製鋼 230億円(従来予想200億円)
記事に関する問い合わせ先:
東京 藤元 茂 Shigeru Fujimoto sfujimoto@bloomberg.net
記事に関するエディターへの問い合わせ先:
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Peter Langan at plangan@bloomberg.net.
更新日時 : 2005/03/03 18:23 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html