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(回答先: ライブドア・楽天・ソフトバンク連合軍が結束しないと「巨大資本」に勝てない[韋駄天39317.18] 投稿者 乃依 日時 2005 年 2 月 23 日 01:11:21)
ライブドア『堀江流株買収劇』
奇襲と錬金術 真骨頂
ライブドアによるラジオ局ニッポン放送株の電光石火の買収から二週間がたった。この間、ライブドアとフジテレビによる同放送株をめぐる主導権争いは激化の一途だ。ライブドアは株取得に時間外(立会外)取引という“奇襲”戦法を取り、その資金調達も一気に八百億円の巨額確保をしてみせた。取引手法に対しては、経済界や政界から批判の声も上がる。「堀江流株買収劇」を検証した。
■政財界から相次ぐ批判
「個人的意見だが、放送局があっという間に売り買いの対象になってしまう。外資が入ってきたらどうするのか」。十七日、自民の森喜朗前首相は派閥総会で、ライブドアがニッポン放送株を時間外取引で大量取得したことを批判した。
批判は相次いだ。十八日には武部勤幹事長も会見で「報道(機関)は社会の公器。他の民間企業と違うから自由競争、市場原理でそれがゆがめられる恐れがあれば好ましくない」と不快感を示し、久間章生総務会長も同様に批判した。日本経団連などからも批判の声があがった。金融庁も関連する法改正の検討を始めるなど、ライブドアへの風当たりは強い。
時間外取引は通常の株式市場が開いている時間(午前九−同十一時、午後零時半−同三時)外の決められた時間帯に、株を売買することだ。証券会社が「売り主」と「買い主」を見つけ、価格や数量が見合った段階で売買を成立させる。ライブドアは今月八日、市場が開く前の午前八時台に、六回に分け約30%のニッポン放送株を一気に取得した。
この取引は東京証券取引所のシステムを利用して行われているので、市場内取引となる。一方、今回フジテレビが行っている株式公開買い付け(TOB)はあらかじめ買い付け価格や取得株数を公表しての市場外の相対取引だ。
共通しているのは、株式市場を通さない取引という点だ。通常の市場取引であれば、大量の株を市場で手放せば、株価は下落し売り主が損するし、買い主も分散してしまう。逆に株を大量に集めると、買い気配を見て他の投資家が買いに走ることで株価が上がり、買収コストが上がる。時間外取引もTOBもこうした株式市場でのリスクを排除するのが狙いだ。
だが、そもそも時間外取引は株価に重大な影響を与えたくない機関投資家同士が、大量の株式を証券会社を仲立ちに取引するような場合を想定している。企業買収に使われるなどとは想定していなかった。
■ルールでなく“マナー違反”
ある証券会社アナリストは「時間外取引は、ただ市場内というだけで事実上の相対取引なのに、TOBのように事前に手口を明らかにする必要がない。想定されていない使い方をしたという意味で、抜け道を使ったのは間違いない」とした上で、「証券市場の透明化による一般投資家の保護、市場参加促進という意味でTOBが法で規定された経緯からすれば、『企業買収はTOBで』という証券業界、金融当局の意識に反するのは間違いない」と指摘する。
確かに「数分おきに株を大量取得するというやり方は常識をこえている。宣戦布告なき奇襲攻撃のようなもの」(経営評論家の梶原一明氏)といえる。
一方、資金の“錬金術”も驚いた。ライブドアは、米リーマン・ブラザーズ証券を引受先に転換社債(CB)の一種「転換社債型新株予約権付社債(MSCB)」を約八百億円分発行し、これをもとにニッポン放送株を買ったとしている。
ただ「このCB発行はリーマンにとっては極めて有利な、異例の契約内容だ」と新光証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏が言うように、ライブドアは不利な条件をのむことで資金調達を可能にしたようだ。
■リーマンは“漁夫の利”?
CB発行引受契約によれば、毎金曜日にそれ以前の三営業日のおおむねの平均価格より10%低くリーマンはCBをライブドア株に転換できる。転換した株を市場で売れば、リーマンは労せず一割の利ざやをかせげる。「転換する価格を毎週、それも時価ではなく常に九掛けとする契約など他に例がない」(瀬川氏)
契約では、転換される株数は、CB発行価格を転換価格で割った数と決めている。二十四日から転換が可能となるが、この時点での転換価格は当初一株あたり四百五十円。CB八百億円分転換すると一億七千万株となる。だが、契約で転換の下限価格としている百五十七円まで株価が下落すると、すべて転換した場合、五億一千万株となり、ライブドアの発行済み株式数約六億四千万株に匹敵する大株主になる。もし、一億株程度買っている投資家がいた場合、その投資家にリーマンがCBか転換後の株を売れば、ライブドアは株の過半数を外部に握られ、堀江貴文社長の経営権は奪われる可能性もある。
また、放送法の規制で外国法人が放送局の株を20%以上持つことはできず、リーマン自身がライブドアの経営主体となりニッポン放送株を持つことはできないため、「ひそかにこの枠組みを狙っている日本人投資家はいるのではないか」と瀬川氏はみる。梶原氏も「二十年以上前から日本市場に食い込もうと研究してきている」と米系のリーマンだったことが、問題を複雑にしているという。
投資アドバイザーの田代肇氏は「メディアや鉄道会社、電力会社などインフラにかかわる公共株に外資が大規模に介入してくるのは“禁じ手”だ。リーマンは日本の公共株にかかわることにどれほどの配慮をしたのか」と指摘する。
だが、政府は企業合併・買収を外国企業にも解禁する「新会社法」(商法などの改正)の今国会での成立を目指す。二〇〇六年に施行される見通しで、本格的な“大買収時代”の到来が予期されている。田代氏は「収益性の高いIT(情報技術)や製薬会社はターゲットになる。外資と公平に競うためにもTOBの最中に、時間外取引で割り込んでくることには歯止めをかけるべきだ」とルールづくりの必要性を訴える。
さまざまな批判や懸念をはらみながらのライブドアの買収劇だが、「奇襲攻撃」を評価する意見もある。経済評論家の三原淳雄氏は「一部関係者にしか実態が分からない時間外取引は一般投資家にとって不愉快なやり方だろうが、ライブドアはプロ野球参入問題同様、閉塞(へいそく)していた日本経済の壁を突き破った。〓小平流にいえば、青い目でも黒い目でも株を買って日本経済に貢献してくれるのがいい人だ」と例える。
梶原氏も「堀江氏のやり方はビジネスマナー違反ではあるが、だからといって株取引を規制するのは世界の潮流に逆行する」と明確に反対する。
三原氏はフジテレビに対しても「大買収時代が来るといわれながら、フジテレビ、ニッポン放送が何の備えもしていなかったことが露呈された。今回の問題は日本人の目を覚ました“平成の黒船”だ」と持ち上げる。
フジテレビがTOBに成功し、上位十位株主で80%超の株式を保有することになれば、ニッポン放送株の上場は廃止される。フジテレビはそれも利用してライブドアの影響力排除を狙うが、一般投資家が不利益を被るという面もある。
しかし梶原氏は弱肉強食の冷徹な現実を指摘する。「80%の大株主と20%の個々バラバラな小株主のどちらの利益が優先されるかは自明のことだ」
※〓は登におおざとへん
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050222/mng_____tokuho__000.shtml