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手腕『買った』新装ダイエー
林会長ともスーパー業では未知数
産業再生機構の支援を受けて経営再建中のダイエーの新社長兼最高執行責任者(COO)に日本ヒューレット・パッカード(HP)の樋口泰行社長(47)が就任することが14日、内定した。人選は難航したが、ようやく8人の新経営陣がそろい、関係者は胸をなで下ろす。新生“ダイエー丸”は、船出の準備を終えたが、その航路には難関が待ち受けている。 (経済部・上坂修子)
■名コンビ
「やっと社長が固まった。良かった」
ダイエー経営陣の一人は十四日、安堵(あんど)の言葉を漏らした。
産業再生機構のある幹部も「次期会長兼最高経営責任者(CEO)の林文子氏は、現場主義の熱いタイプ。対して、樋口氏はクールな経営のプロ。いいコンビだ」と人選を評価した。
機構の支援決定から三カ月余り。新生ダイエーを担うトップの人選は、機構に加えて支援企業に決まった丸紅、投資ファンド「アドバンテッジパートナーズ(AP)」(東京)が中心となり進められた。だが、三者の思惑の違いから人選は難航し、当初の予定から内定は大幅にずれ込んだ。
内閣府幹部や機構関係者によると、当初、丸紅とAPは知名度が高い前BMW東京社長の林氏を社長に推していたが、機構側は難色を示した。
そこで、企業再生にたけたAPが社長に、と推薦したのが樋口氏だった。樋口氏はハーバード大学院で経営学修士(MBA)を取得し、松下電器産業を経て、外資系コンピューター会社の経験が長い。
三月初めに出版した「『愚直』論―私はこうして社長になった」は、大手書店のビジネス書ベストセラー二位にも名を連ねた。本の帯には「内気で話し下手だった著者を伸ばしたのは、愚直な熱意と努力だった」と紹介されている。
あるダイエー幹部は、高卒で自動車のセールスレディーから外資系自動車会社社長にまでのし上がった「人心掌握のプロ」(関係者)という林氏と、MBA取得など「ピカピカのバックグラウンドを持つ」樋口次期社長のコンビは「“動”の林、“静”の樋口。バランスがとてもいい」と自賛する。
■多難な道筋
会長、社長とも五月末の定時株主総会で正式に選出され、ダイエーの本格的な再生は始動するが、その道筋は多難だ。
「経営陣は多様性があった方がいい」と同社幹部は言うものの、同時に発足する新経営陣八人は機構、丸紅、AP出身の社外取締役など「寄せ集め部隊」と皮肉る声も。
また業界で勝ち組といわれるイオンやイトーヨーカ堂でさえ、本業の総合スーパー(GMS)事業では苦戦しているなかで、林、樋口両氏とも、スーパー事業の手腕は未知数。さらに本部主導の社内の体質改革、取引先に多額に要求するリベート(販売奨励金)に依存していた古い営業体質からの脱却など解決すべき課題は山積している。
こうした点について林氏は「トップが何もかも強い必要はない。私の役目はそれぞれの個性を持った経営陣一人一人の強みを引き出し、まとめ上げること」と反論。「ダイエーの再生には絶対の自信を持っている」と力を込める。
ある丸紅幹部は「ダイエーの再生はここから。あれだけ税金を投入しているのだから、失敗したら何を言われるか分からない。気を緩めず、あとは結果を出していくだけ」と厳しい表情で語る。
樋口氏は自著の中で「どんなに厳しい環境でも、必死に努力して自分の存在価値を示せば、次のステップが見えてくる。この信念が私のキャリアを何度も救ってくれたと思う」と記す。ダイエーの再生のステップは林、樋口の両氏の手腕に委ねられた。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050415/mng_____kakushin000.shtml