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(回答先: 六・四事件 第2次天安門事件 (現代中国ライブラリィ) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 4 月 12 日 10:58:11)
日本断罪 国民に刷り込み
江沢民の時代から一層徹底
9日、北京の日本大使館に投石する反日デモ参加者。笑っている人たちもいて、反日の強硬派と違う参加者もいたようだ=AP
中国各地で反日デモが収まらない。「反日」感情の高まりの背景の一つに、中国の愛国主義教育の影響が指摘されている。デモ参加者は二十−三十代の若者たちが多い。ちょうど愛国教育が強化された一九九〇年代に小・中学生だった。排他的な色が濃くなり、ナショナリズムは高揚するばかりに見える今、数万人規模のデモ行動を彼らにさせている愛国教育とは−。
「日本製品を買うことは、小日本(日本に対する蔑称(べっしょう))にミサイルを送り、われわれに向けて撃たせることに等しい」
「いつか東京大虐殺の日が来たら、私は必ず参加する」
「中国と日本が再び戦争をすれば、日本の四島を粉砕し、地上から大和民族を抹殺してやる」
中国の大手反日サイト「愛国者同盟ネット」には、これでもかと言わんばかりの激しい言葉が乱れ飛ぶ。
■90年代に教育を受けた若者中心
中国のインターネット人口は昨年六月時点で八千七百万人。総人口に占めるネット利用者は7%に満たないが、中国共産党の機関紙・人民日報がネット版を始めた一九九七年当時は六万人以下だったというから、すさまじい勢いで増加。同時に反日的言辞も中国全土に広まっている。
反日サイトへの書き込みや反日デモで中心的な役割を果たしているのは、九〇年代に愛国教育を受けた世代だ。
愛国教育は主に三つの方法で行われている。
一つ目は歴史教育における日本断罪だ。小学用歴史教科書「小学課本・歴史」の南京事件を扱った項目には、こんな記述がある。
「一九三七年、日本侵略軍は上海を占領すると、南京まで一路、焼き払いや殺りくを繰り返した。南京人民に対する血なまぐさい大虐殺は六週間にわたり、三十万人以上が殺害された。日本軍は大罪を犯した」
傍らには「南京で人を殺した刀の血をぬぐう日本兵」などと説明が付けられた挿絵がある。
中国は検定教科書だが、実質的には、政府が内容を決めている。「新しい歴史教科書をつくる会」の中学公民教科書を監修した福井県立大学の島田洋一教授(国際関係論)は「日本の歴史の教科書は古代から始まるが、中国の教科書は、共産党の歴史が中心。結党以前の歴史は、『日本軍の侵略とそれと勇敢に戦った同志』以外のことは書かれていない」と切り捨てる。
中国は今秋から、新指導要領に基づいた教科書を導入する。現行の教科書より、日本軍の残虐行為だけを集中的に取り上げた個所はなくなる。それでも島田氏は「愛国教育を弱めようとするのは一部の勢力。今回の反日運動の盛り上がりも影響する可能性がある。内容が本当に変わるのか、現物が出ないと分からない」
二つ目は日本の罪業を後世に伝えるための「愛国主義教育基地」の建設だ。
南京の南京大虐殺記念館や盧溝橋の中国人民抗日戦争記念館をはじめ、革命指導者の旧居や革命根拠地など、全国に現在二百五の史跡や博物館が指定されている。慶応大学総合政策学部長の小島朋之教授(現代中国論)は「中国の小中高では、徳育教育の一環で、これらへの遠足が義務づけられている」と話す。
南京の大虐殺記念館では先月、拡張工事が始まった。日本軍による虐殺事件の資料が新たに千件以上見つかり、展示スペースが手狭になったためだという。南京事件七十年の二〇〇七年の完成を目指し、世界遺産登録への動きもある。
愛国教育に詳しい中央大学の水谷尚子非常勤講師(近現代日中関係史)は「これらの施設は共産党礼賛が目的で、必ずしも反日ではない。ただ、党を美化するために悪徳日本が必要とされている」と分析する。
■日常不満のはけ口?
三つ目はメディアによる反日の刷り込みだ。毎年八月になると、抗日戦争をテーマにしたドラマや映画がテレビに流れる。さらに共産党は愛国主義を高める百の映画や書籍、歌を選定、公布している。
愛国教育の歴史について、小島氏は「抗日戦争四十周年だった一九八五年が分岐点だ。同年の中曽根首相の靖国神社公式参拝が反日感情に拍車をかけ、愛国教育が徹底されるようになった。それ以前の対日感情は落ち着いていた」と解説する。さらに「八九年の天安門事件で、政権維持に不安を抱いた共産党が愛国教育を強化し、江沢民時代の九四年、共産党が『愛国主義教育実施要項』を出してから一層徹底された」
愛国教育は、共産党政権維持の目的が大きい。
小島氏は「市場経済下で社会主義の権威が失墜し、共産党は、抗日戦争に勝利した過去の栄光を強調するしか策がなくなっている。愛国主義教育と抗日戦争史教育が同じになり、教育指導要領でも、愛国教育の最大の目的は『共産党が全民族の揺るぎない保護者であると証明する』ことと明記されている。今年は抗日六十周年に加え、教育の成果で反日感情が特に盛り上がっている」と解説する。
デモ発生は、愛国教育の影響だけではないようだ。
小島氏は「共産党の腐敗や所得格差の拡大に対する不満などのはけ口になっている」と指摘、「社会現象としては、一九一九年の五・四運動と類似している」と分析する。五・四運動とは、同年五月四日の北京の学生デモを発端として中国全土に波及した反帝国主義運動だ。日本商品ボイコットなど反日運動にとどまらず、反政府運動へと広がった。
「今回も反日から反政府へ不満の矛先が変わる可能性もある」(小島氏)
実際、島田氏は「九、十日のデモは、途中から買い物客、失業者などがデモに加わり人数が膨らんだ。デモの映像を見ても分かるが、歯を出して笑っている人が多い。試しに物を投げて、警察が制止しないことを確認して後に続いていた。反日感情より、つまらない日常生活の不満から娯楽として参加者が増えた部分もある」と、反政府運動への変容を示唆する。
一方、法政大学の王敏教授(日中比較研究)は「中国の若者の間では、人気アニメやゲームなど日本ブームが起きている。若い世代の日本観は親近感と憎悪の二重構造だ。デモ参加者も若者の一部の意見を代表しているにすぎない」と、反日感情の広がりを否定する。
だが、小島氏は「胡錦濤主席は、メディアを締め上げるなど宣伝思想部門を強化し、よりイデオロギーを前面に出す方向に進んでいる。低所得者層を中心に政府に対する不満も爆発寸前だ。日本の政治家などから歴史認識の甘い対応をすれば、反日運動は繰り返される」と懸念する。
日本政府に島田氏はこう注文をつける。「受けた損害を弁償させるべきだ。愛国主義教育基地建設にも日本の政府開発援助(ODA)が使われている。ODA提供に当たって『反日教育を強化させない』などきちんと注文をつけるべきだ」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050412/mng_____tokuho__000.shtml