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◎最近、スペイン最大の銀行サンタンデールの動きが活発化しています。
「環大西洋メガ銀」目指す
【マドリード=奥村茂三郎】スペイン銀最大手のサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行(SCH)が貸出先の多様化を加速している。先月発表した二〇〇四年十二月決算で対中南米融資は前の期比二五%増。英中堅銀アビー・ナショナルの買収で営業基盤はユーロ圏、英国、中南米に拡散し、「環大西洋メガバンク」として欧米銀の中でも独特の地位を築く。
同行は昨年十一月に英アビーの買収を完了、株式時価総額では仏BNPパリバを抜いてユーロ圏最大のメガバンクとなった。欧州の国境を超えた買収としては過去最大規模。各国間の監督規制の違いなどでユーロ圏内で国境をまたぐ合併・買収が滞るなか、非ユーロ圏の金融大国、英国に活路を見いだす戦略だ。
象徴的なのはアビー買収の結果、貸出先で英国が本国スペインを上回ることだ。地域別の割合をみると、英国四〇%強、スペイン三九%でほぼ八割。残り二割はスペイン以外の欧州と中南米が一〇%ずつとなる。
スペイン・ポルトガルでの貸し出しなど信用供与は前の期比一九%増。中南米ではベネズエラの九七%増を筆頭にブラジル三七%増、メキシコ二七%増、チリ一九%増、プエルトリコ八%増で合計二五%増の高い伸びを記録した。
スペイン銀二位のビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)も〇四年通期決算ではメキシコを中心に南北米大陸で営業利益を一一・六%伸ばしたが、英国での存在感は薄い。仏BNPパリバやドイツ銀行も小口金融(リテール)部門は本国を中心にしているため、サンタンデールの地域分散は際立っている。
低成長の続くドイツやイタリアなどと比べ、スペインと英国は欧州経済のけん引役でともに不動産ブームに沸いている。英国はイングランド銀行がすでに金融引き締めを進めているが、スペインはユーロ圏のため欧州中央銀行(ECB)もドイツなどの経済が立ち直るまでは手を打てない。
過剰流動性によるスペイン経済のバブルと中南米へのバブルの“輸出”は当面、収まらない見通し。十分引き当てを積むなど与信管理さえ誤らなければ、スペイン銀の快進撃は続くとの見方もある。
〇四年十二月期決算(傘下の英アビー銀を除く)の純利益は、三十一億三千五百六十万ユーロ(四千三百億円強)となり前の期比二〇・一%増の大幅な増益だった。〇五年も好調な経済環境を背景にした貸し出しの伸びや中南米でのコスト削減などで、さらに収益を拡大するとの見通しを示している。
【図・写真】決算発表するサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行のボディン会長(右)(マドリードで)