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06/02 02:15 人を信用させる物質特定 ホルモンの一種、悪用心配
【ワシントン1日共同】鼻に噴霧すると、人に対して抱く信頼感
を強める働きがある物質を特定したと、スイス・チューリヒ大のエ
ルンスト・フェール教授らのチームが二日付の英科学誌ネイチャー
に発表した。
この物質は、人体でつくられるホルモンの一種「オキシトシン」
。他人に対して健全な信頼感を持てない、ある種の障害の解明や治
療法の開発に役立つと期待される一方、人の精神や行動を操作でき
る可能性もあるため、悪用を懸念する声も出そうだ。
オキシトシンは脳の視床下部などでつくられ、母乳を分泌させた
り、出産時に子宮を収縮させたりする働きがある。動物では親子や
つがいのきずな作りに重要と分かっているため、チームは「人では
信頼感に関係しているのでは」と仮説を立て、損をする可能性もあ
る投資ゲームの参加者にオキシトシンを与え、行動にどんな変化が
出るか調べた。
投資家が受託人にどの程度の資金を預けるかによって信頼の強さ
を評価したところ、オキシトシンの噴霧を受けた二十九人は、偽薬
を与えられた二十九人に比べ、より高額を預ける傾向があった。一
方、受託人をコンピューターに置き換えた場合は、預ける額に差は
なかった。
この結果から、チームは「単にリスクを冒しやすくするのではな
く、人への信頼感を強める働きがある」と結論付けた。
ネイチャー誌にコメントを寄せた専門家は、考え得る悪用例とし
て、選挙の候補者の演説中に聴衆にオキシトシンを噴霧することな
どを挙げたが、研究の重要性には変わりないことを強調した。
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[2005-06-02-02:15]
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