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(回答先: 「冷血」首相と「無能」外務省は他人事だった (FRIDAY 2004.04.30) 投稿者 外野 日時 2005 年 5 月 17 日 22:33:34)
日刊ゲンダイ
『大新聞・TVが伝えない「泥沼イラク」の真相』 浜田和幸(稿)
◇はまだ かずゆき
国際政治経済学者。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現在、国際未来科学研究所代表。近著に「ウォーター・マネー」「イラク戦争 日本の分け前」(ともに光文社)、「悪魔の情報戦」(ビジネス社)がある。
ファルージャのサッカー場は死体の山 2004.04.16
■歯止めなくなったイスラム教VSキリスト教の宗教戦争
イラク情勢は「地獄」ヘの一本道を走りはじめた。世界が注視するなか、ファルージャの住民30万人のうち、3分の1はからくも「戦場」から逃げ出すことができたが、街を包囲するアメリカ軍は、子供と老人以外はすべて検問所で追い返している。追い返された後、待っているのは無差別攻撃だ。
先週末の2日間だけで、ファルージャ市民の死者は700人。負傷者は数千人に及ぶ。中心部にあるサッカー場は死体の山だという。
なにがなんでも6月末に政権移譲したいブッシュ大統領は、占領統治に反対するイスラム過激派を残らず殲滅する腹と思われる。今回の戦闘は後世、「復活祭の大虐殺」として記憶されるだろう。
わが国の主要メディアは日本人3人の人質事件に振り回されて報道していないが、アラブ諸国では「イスラム教徒への虐殺を許すな。世界のキリスト教徒の良心に訴えよう」とのメッセージが飛び交い、ファルージャ救援を求める声やヨハネ・パウロ2世、アナン国連事務総長らの介入を要請する動きも強まっている。
しかし、アメリカは兵力増員こそすれ本気で和解に踏み出す気配はない。一方、ファルージャに立てこもるイスラム過激派は、「モスクを破壊しイスラム教徒を虐殺したアメリカヘの復警を誓う。今後はキリスト教の牧師を誘拐し、教会を爆破し、キリスト教徒を狙う」とエスカレートの一途だ。まさに「宗教戦争」である。
かつてのべトナム戦争を上回る惨状の一方で、「好機到来」とほくそ笑んでいるのが欧米の民間軍事会社(PMC=プライベート・ミリタリー・コントラクター)である。アメリカ軍やその同盟国軍の戦死者が増えたり、民間人への攻撃が先鋭化するたびに契約が急増するからだ。
しかも、その最大の雇い主はアメリカ軍である。実戦経験のない若いアメリカ兵では頼りないため、元特殊部隊員を正規軍の5倍ほどの報酬で雇っているのだ。彼らは連合国暫定当局(CPA)のブレマー代表や占領軍の主要施設を守り、補給部隊の警護を請け負っている。これら”傭兵”は2万人を超え、間もなく3万人に達する。問題は軍の規律に縛られない彼らが、残虐非道な行動を繰り返し、イラク人の憎しみを買っていること。先に黒焦げ遺体をユーフラテス川の橋につるされたのは、アメリカのPMC「ブラックウォーター」の社員であった。わが自衛隊がアメリカの傭兵と見なされないことを願うばかりだ。
同盟国の「人質」にも無関心のブッシュ能天気 2004.04.17
■「週休4日」の優雅な最高指揮官
ブッシュ大統領は現在、ある記録を更新中だ。ひとつはホワイトハウスを留守にする時間が長いこと。大統領就任以来、実に240日間を小泉首相もお泊まりしたテキサス州クロフォードの自宅で過ごしている。それ以外のときも、メーン州にあるブッシュ家の別荘やキャンプデービッドの山荘で100日ほど休暇を取った。これまでの執務時間を調べると「週休4日」の計算になる。テロとの戦いやアフガニスタン、イラクでの戦争が激化するなか、とても最高指揮宮とは思えない優雅な暮らしぶりである。先週末も復活祭の休暇をしっかり家族とともにテキサスでエンジョイしたブッシュ大統領。日本など各国の民間人が人質に取られていることなどまったく気にかけていない様子である。それが証拠に、「イラク情勢は大いに前進している。一層安全になってきた」と能天気な発言を繰り返している。
もうひとつの記録更新は戦費。イラク戦争遂行のためアメリカは1時間当たり500万ドル(5億円強)を使っている。「すべてを破壌すれば再建も楽だ」というわけだ。この無神経な言動に、ブッシュ陣営の中にも怒りをあらわにするスタッフが出ている。ホワイトハウスのテロ対策担当のクラーク部長をはじめ、10人ほどの担当官が辞表をたたきつけた。こうした足並みの乱れが外に漏れないよう、ブッシュ政権は一方で報道規制を強めている。そのためか、アメリカ発のニュースは「アメリカ主導のイラク統治は順調に進んでいる、一部に抵抗勢力が残っているが、6月末までには予定通りイラク人への政権移譲が行われる」といった”大本営発表”ばかりだ。
しかし、アメリカが立ち上げたイラク統治評議会のメンバー25人の大半は、誘拐や暗殺を恐れて国外に脱出して不在。残るメンバーもアメリカ軍のファルージャ虐殺に抗議して辞任を表明している。ブレマーCPA代表にクビにされたイラク暫定内閣のバドラン内務大臣はすでにヨルダンに亡命し、イラク人職員の多くも抗議のストライキ中で、まさに無政府状態である。あとはCIAが連れてきたイラク国民会議のチャラビ議長を受け皿にするしかないが、彼には犯罪歴もあり黒いウワサが絶えない。これでは、イラク人が納得する政権などまったく不可能である。アメリカの軍事力による長期支配、第2のベトナム化は避けられなくなった。
好戦気分で悪乗りする米国民 2004.04.20
■黒焦げ傭兵もハリウッドの戦争俳優だった
3人の日本人は解放されたが、イラクでは外国人の人質事件が後を絶たない。犠牲者も増えている。この誘拐や人質殺害をめぐって、日本人とアメリカ人では反応が大きく違う。わが国では「動機はどうあれ、人質の無事な救出を最優先する」というのが大方の意見である。ところが、アメリカでは「犯人はもちろん、かくまった連中も許さない。徹底的な報復あるのみ」という声が強い。
なかでもハリウッドは、「待ってました」とばかり、復警や敵討ちをテーマにした戦争映画のリバイバル上映や新作発表に大忙しだ。テロリストや無法者たちに正義の鉄槌を下すアメリカのヒーローたちが、スクリーンで所狭しと暴れ回る。
「ウオーキング・トール」「パニッシャー」「キル・ビル2」「マン・オン・ファイアー」「アラモ」など、みな主人公は最初は苦戦するが最後には勝つ。アメリカ人の多くはこういったハリウッド映画で、悲惨さを増すイラク戦争のうさ晴らしをしているかのようだ。劇場から出てきた観客は「イラクの野蛮人どもに仕返しをしてやらねば。アメリカに盾突くとどうなるか思い知らせてやる」と興奮気味にしゃべる。
実はファルージャで惨殺された民間戦争会社「ブラックウォーター」の傭兵、スコット・ヘルベンストンはハリウッドの戦争映画には欠かせない存在だった。彼は史上最年少の17歳で海軍の特殊部隊シールズの猛特訓を修了、世界各地で実戦経験を積み、その経験を買われてハリウッドに”転戦”したのだった。
「GIジェーン」「フェイス/オフ」「スリー・ニンジャ」などの企画やスタントマンとして活躍し、最近も人気テレビ番組「コンバットニミッションズ」でヒーローを演じたばかり。
そんな彼がイラクで何をしていたのか。会社の説明では「アメリカ軍の支援活動」とのことだが、18人のイラク人が殺された直後の町を「アラーのケツの穴にぶっ放せ」と車に書いてウロウロしていたのは尋常ではない。知人の一人は「映画と現実をごっちゃにしたのだろう。計画中のイラク戦争映画のロケハンのつもりだったのかもしれない」と言う。
ところで、殺害された4人の傭兵を車から引きずり下ろし、「こいつらはCIAの手先だ」と群衆を扇動したのは、地元住民ではなく西洋人だったとの目撃情報がある。真相は闇の中だが、どうも第三国の特殊部隊も暗躍しているようだ。
復興ビジネス企業の従業員を殺せ! 2004.04.21
■米副大統領系軍需会社は人質7人、死者30人
1年ぶりに公式の記者会見を行ったブッシュ大統領は、酔っぱらったような口ぶりでこうまくし立てた。
「イラクでアメリカは必ず勝利するぞ。必要ならさらに1万人の兵力を増強する。われわれはイラク人に民主主義の何たるかをきちんと教えるまでは撤退などするものか。そうだよな、パウエル国防長官」
ラムズフェルド国防長官とパウエル国務長官を間違えても気付かない高揚ぶりだった。また、「アメリカを守るため天国と地上を行き来する」と意味不明な発言をするなど、かつてのアル中時代に戻ったかのようだった。
そんなブッシュ政権に冷や水を浴びせるメッセージがウサマ・ビンラディンから届いた。今回は「イラクの復興ビジネスで儲けているアメリカ企業の人間を殺す」という内容。最大の受注企業「ハリバートン」も名指しされている。チェイニー副大統領が長く社長を務めていたことでも知られる世界有数のエネルギー会社で、イラクの石油施設の復旧やパイプラインの敷設などを一手に引き受けている。また、その子会社はアメリカ軍の食料調達や調理、トイレやシャワー施設のメンテナンス、兵舎の掃除、衣服のクリーニングなど、あらゆるサービスを独占的に契約。イラク人捕虜やテロリストの収容施設の建設や管理も請け負っている。当然、現地イラクの従業員・警備員も多い。
3人の日本人が人質となっていたころ、同社の子会社KBRで働くアメリカ人のトラック運転手が誘拐されたが、これも氷山の一角にすきない。すでに契約社員だけで30人以上が死亡し、7人が人質になったままだという。しかし、解放交渉は会社とアメリカ軍が極秘裏に行っているため、被害の実態もはっきりしない。
1991年の湾岸戦争以降、ペンタゴン(当時はチェイニーが国防長官)は戦場における民間企業の支援サービスのあり方を調査研究する名目で、900万ドル(約10億円)の予算をつけた。もちろん受注したのはハリバートンだ。その直後に社長に就任したチェイニーは、かつての部下を次々と誘い込み、民間戦争会社を立ち上げたのである。今や世界各地で1OOO億ドル(10兆円強)を稼ぐまでに急成長。相次ぐ戦争はもちろん、テロや誘拐が起きるたびに契約高はうなき上りだ。ビンラディンの脅迫メッセージも、商売にはプラスとソロバンをはじいているに違いない。
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