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【プロ野球開幕】満員のウソもこれまで 東京ドームの消防法上の定員は4万6千人 〜 ついでに、昨年騒動の新聞各紙論調追加
http://www.asyura2.com/0502/bd39/msg/345.html
投稿者 月読 日時 2005 年 4 月 02 日 01:39:47: ydTjEPNqYTX5.

スポーツナビより
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/headlines/20050401-00000046-kyodo_sp-spo.html
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巨人、観衆を実数で発表 広島戦は4万3684人

 巨人は主催試合の観客動員数を実数で発表することを1日までに決め、本拠地・東京ドームでの広島1回戦の観衆を4万3684人と発表した。今季から同ドームの満員数を4万5600人に定めており、東京ドームが開場した1988年以来続いていた「満員発表」は1020試合で途切れた。
 東京ドームの満員数は88年から94年まで5万6000人、観客席を改修した95年からは5万5000人だった。
 しかし昨季は空席の目立つ試合が多く、球団のあいまいな発表数が疑問視されたため、昨オフに「実数に近い」動員数を発表することを決め、オープン戦でも100人単位まで発表していた。より詳細に1けた単位の数字まで発表することを決めた桃井球団社長は
「複数の人が入れる席があるので正確な数字を出すのは難しいが、可能な限り出していきたい」と話した。         (了)
[ 共同通信社 2005年4月1日 21:08 ]

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――以上

  
ちなみに、4月1日の観客数は次のようです。

東京ドーム:43684人 名古屋ドーム:36200人 大阪ドーム:33727人

フルキャスト宮城:17236人 千葉マリンスタジアム:13007人 札幌ドーム:10258人

  
  
  
東京ドームについて
フリー百科事典ウィキペディア内より  
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%A0
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建物
所在地:東京都文京区後楽1-3-61
高さ:56.19m
階数:地上6階/地下2階
建設費:約350億円
使用料:推定年間20億円

野球場
収容人数:5万5000人(公称)、約4万6000人(消防法上の定員)
両翼:100m
中堅:122m
外野フェンスの高さ:4m
内外野とも人工芝

落成・供用開始日
落成式 1988年3月17日
公式戦開始日 同年3月18日
一般使用開始日 同年12月24日

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――以上

消防法上の定員が4万6000人だから、そもそも5万人以上入るのは無理なのかな?よくわからん。
  
  
  

さて、以下は昨年の騒動を取り上げた新聞各紙の社説です。
各紙はどう伝えたのかってことで(興味ある人のみ)
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2004/9/18/ 毎日新聞

社説:プロ野球スト突入 責任はNPBの怠慢にある

 ペナントレースが大詰めを迎えたプロ野球なのに、18日からストライキに突入することが決まった。18、19日はセ・パ両リーグとも1位と2位チームの直接対決のカードが組まれていただけに、ファンの失望は、計り知れない。日本のプロ野球の歴史に、悲しい1ページが書き加えられることになった。

 17日に行われた日本プロ野球組織(NPB)と労働組合・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)の交渉は、最終期限に設定した午後5時を4時間以上も上回る長時間に及んだが、ついに妥結に至らなかった。

 最後まで平行線をたどったのは、新規参入の時期をめぐる攻防だったようだ。来シーズンに間に合うように認めるべきだと求めた選手会に対して、NPB側は「9月8日のオーナー会議で、来季はセ6、パ5でいく」と決めたことをタテに、新規参入は早くても06年シーズンからと譲らなかった。

 野球協約によれば、新たに参加しようという球団は、前年の11月30日までに実行委員会、オーナー会議の承認を得なければならない(第31条)とされ、実行委員会及びオーナー会議は、新たな球団設立の申請があった場合、30日以内に受け入れるかどうか決定する(第35条)と定めている。

 これから新規参入を希望する企業を募るならともかく、すでに参入希望社が名乗りを上げている。新興の情報技術(IT)関連企業、ライブドアと、インターネット上でショッピングモール(電子商店街)を運営している楽天の2社である。

 ライブドアは仙台市を本拠地とすることで、すでに地元宮城県、仙台市の了解を得ており、16日に日本プロ野球組織に加盟申請の手続きをとった。楽天もプロサッカー、Jリーグ1部のヴィッセル神戸を経営する実績を持ち、来週中に正式申請する予定だ。

 カレンダーに照らし合わせてみるまでもなく、来春に間に合うだけの十分な時間はある。「公正な審査をするには、時間がない」というNPB側の言い分には協約上、説得力はない。時間があるのに1年後回しにするのは、NPB側の職務怠慢である。その結果、ストが行われるのだから、「どっちが悪い」と聞くまでもなくストの責任はNPB側にある。損害賠償など、論外の話だ。

 今回の選手会の構えたストをめぐっては、驚くほど若いファンの動きは機敏だった。ストを支援する集会は、若者たちで埋め尽くされていた。サッカーと比べ「おじさん世代の娯楽」と思われてきたプロ野球が、これほど若いファンにも支持されていたのかと認識を新たにした。

 いずれにせよ、一日も早くファンを悲しませるストに終止符を打たなければならない。NPB側も選手会も、可能な限り話し合いを継続し、国民の目に分かりやすく解決策を提示すべきだ。せっかく若いファンがプロ野球に目を向けた絶好のチャンスを無駄にしてはならない。

  

2004/9/18/ 朝日新聞

■プロ野球――このストを生かせ

 時間延長を重ねたぎりぎりの労使交渉が決裂し、プロ野球の選手会が史上初のストライキに突入する。この週末に予定されていた試合は中止になる。観戦を楽しみにしていたファンにとっては残念な結果だ。

 だが、これまでの動きを振り返れば、今回のストはやむをえないと考える。

 近鉄とオリックスの統合話が出たあと、経営側はもうひとつの合併をすることによって、1リーグをめざした。選手会は合併球団の選手の雇用問題だけでなく、球界の縮小につながると反発した。それをおおかたのファンが支持した。

 経営側は、そんな声に耳を傾けようともしなかった。経営難の近鉄を買ってもいいという会社が出てきたのに、門前払いにした。

 先週の労使交渉で、選手会は近鉄とオリックスの合併を1年延期する可能性が残っていると判断し、ストの延期を決めた。しかし、経営側には合併を凍結するつもりはなかった。

 ではどうするか。新規参入を認め、来季もパ・リーグの6チームを維持する。合併後に選手たちがどの球団に行くかを選べる。そう選手会は要求を変えた。

 時間を延ばした交渉で、選手会は新規参入について、来季に向けて最大限努力してもらいたいとまで譲歩した。選手会の古田敦也会長は「セ・パ11球団は本来の姿ではない。新規参入をうながすよう交渉してきた」という。

 だが、経営側はこれを認めれば、合併の意味がなくなると考えたのだろう。新規参入について「最大限努力する」という約束さえも拒んだ。

 これは理解できない。あまりにもかたくなではないか。

 状況はパ・リーグ5球団を決めたオーナー会議のころとは変わっているはずである。早くから参入をめざしていたライブドアに続いて、同じインターネット業界の楽天が新球団をつくることを明らかにした。

 経営側も、根来泰周コミッショナーの「私の見解」という形で新規参入の壁を低くする策を打ち出した。加盟料60億円を撤廃し、預かり保証金を導入する、外部の有識者が審査をする委員会を新設する、などだ。

 ここまで言うのならば、来季からの新たな参入も、やる気があればできるはずだ。改革機運が盛り上がっているせっかくのチャンスを逃してはならない。

 改めて気になるのは、根来コミッショナーの言動だ。選手たちに会って話をすることもしないまま、今日の事態を招いたのは野球関係者すべての責任であるとして、選手会にストを自重するよう求めていた。しかし、混乱を招いた大きな責任が、長いこと事態収拾に積極的に動かなかったコミッショナーにあるという自覚はうかがえなかった。

 ストを続けるのは選手もファンも望まない。経営側はこれまでのいきががりを捨て、早く歩み寄るべきだ

  

2004/9/18/ 産経新聞

■【主張】球界再編 今からでも間に合うはず

 プロ野球は再編問題で史上初めてストに突入するが、歓迎すべき変化球も出てきた。インターネット関連企業のライブドアと楽天が相次いでプロ野球への加盟を申請、またはその意向を表明した。根来泰周コミッショナーも辞意を表明したが、新規加入球団の審査委員会の設置などを提案し、十二球団維持や増加の見とおしも出てきた。

 しかし経営者側は新規加入は再来年以降との主張を変えず、選手側の不信感は解消していない。せっかく見え始めてきた再活性化の光明を消さぬために経営者側に歩み寄りを求めたい。

 新球団創設が、近鉄・オリックス合併によるさまざまな障害を解消する一番の方法であるにもかかわらず、経営者側は、(1)来季は十一球団でいくことをすでにオーナー会議で決めている(2)審査など手続き的に間に合わない−という理由で来年からの参入に強く抵抗している。

 しかし、一度決めたことでも状況が変われば変更するのは当然だ。また昭和二十九年、パ・リーグの七球団という変則を解消するため結成された高橋ユニオンズの場合、オーナーの高橋龍太郎氏が設立を宣言したのは前年の十二月末、わずか三カ月余りで開幕に間に合わせている。

 周囲の協力や既成球団側の受け入れの気持ちさえあれば時間はさほど問題ではない。特にライブドアの場合、すでに宮城県の協力をとりつけており、あとは選手の確保だけだ。

 新球団の受け入れを再来年以降に先送りにすると、せっかく盛り上がってきた企業のベンチャー精神をしぼませる恐れがある。むしろ、再編に揺れているこの時期にこそ決断すべきだ。

 問題は、経営者側がチーム数を少しでも減らし、互いに「縄張り」を守りながら共存共栄をはかる、という縮小再編の基本方針から一歩も出ようとしていないことである。

 ここは、新規参入を可能なかぎり受け入れ、互いにファンを呼ぶための競争をする気概をもってほしい。そうしない限りプロ野球はどんどんファンから見はなされていくだろう。

 選手の側も、新球団発足となれば、球界改革という大義のもと、自己中心的な考えを捨て協力すべきことは言うまでもない。

  

2004/9/19/ しんぶん赤旗

[主張]プロ野球の未来を考えるなら 

 日本プロ野球で史上初のストライキが行われました。オリックスと近鉄の球団合併問題で、労働組合・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)は、一年間凍結してよく検討することなどを求めてきましたが、球団経営者でつくる日本プロ野球組織(NPB)が、その要求を拒否したためです。
 古田会長は、NPBとの交渉決裂後、まずファンにおわびし、テレビ番組に出演した際、ファンの声に涙を流しました。苦しんだ末の、やむにやまれぬ決断だったのでしょう。その涙が、野球界の未来を開くことにつながってほしいと思います。

 合併先にありき

 今回の球団合併問題は、シーズン途中の六月に唐突に表面化し、しかも、一リーグ化までとりざたされました。合併問題でオーナーたちから話を聞いてみたいかと記者に問われた古田選手が「そうですね」とのべたのにたいし、「無礼だ。たかが選手が」と声を荒らげたオーナーがいました。選手を見下し、ファンを無視して合併を進める経営者側に、批判が集中したのは当然でした。
 選手会の要求によって、団体交渉にあたる協議交渉委員会が開かれましたが、NPBは、合併先にありきで、パ・リーグを五球団にする方針に固執したとしか思えません。
 選手会とNPBとの十日の交渉では、交流試合実施と合併の影響を試算することで合意していました。ところが、十七日の交渉でNPBが示した試算は、オリックスと近鉄の収支についてだけ。セ・パ両リーグ全体がどうなるかはわかりません。これでは、球界全体のことを真剣に考えているのかどうか疑われます。
 また、前回の話し合いで「新規参入球団の加盟促進を積極的に推進」することで合意していたのに、今回、NPB側は「新規参入の審査を最大限誠意をもって行う」と後退させ、現に加盟申請を行った企業もあるのに、来シーズンには間に合わないという態度をとりました。
 プロ野球の「野球協約」では、「申請を受理した日から三十日以内に申請事項にたいする決定を球団に通達しなければならない」(第三十五条)と定めています。どうして今回は審査に一年もかかるのか理解できません。
 さらに、労働者の団結・団体行動権として認められているストライキにたいし、損害賠償を請求するなどと、脅迫的な態度をとっていることは、問題をこじらせるだけです。十八日に交渉すれば、十九日はスト回避の可能性もありましたが、NPBは、十八日の交渉を拒否しました。

 「国民的娯楽」らしく

 NPBの「発表文」には、「国民的娯楽であるプロ野球」という言葉が出てきます。真剣にそう考えているなら、特定球団の利害や思惑で選手、ファンの要望、期待を裏切るような態度は改めるべきです。
 プロ野球選手会の「苦渋の決断」は、「プロ野球の将来を考えに考えた末」のものです。ファンの多くが選手会の態度を支持しているのも、プロ野球界の未来を真剣に考えて行動していることがわかるからです。「ストで試合が見られない」という声はもっともですが、球団減になれば、ストライキをはるかに上回る数の試合が減ってしまいます。
 NPB側は、そのことをしっかり受け止めるべきでしょう。十日の交渉で合意した内容を具体化すれば、合意の可能性もあるはずです。今週おこなわれる交渉に、誠意をもって臨むことが求められています。

  

2004/9/18/ 読売新聞

「本日の試合は中止となりました」。各地の球場には、きょう一斉に、こんな看板が掲げられているだろう。

 プロ野球の選手会は「スト決行」を決めた。プロ野球史上、初めての事態だ。試合を楽しみにしていたファンへの裏切り行為である。

 一週間前、双方が歩み寄りを見せ、ストの延期を決めたばかりだ。その後の話し合いは何だったのか。

 選手会は、最後まで近鉄の存続にこだわった。だが、これはそもそも球団の経営事項に関することである。実現が難しいとみると、今度は新規球団の来季からの参入に固執した。

 経営側も、そこまでは譲れなかった。新規参入には、きちんとした審査が必要だからだ。

 中立的立場にいたコミッショナーが、最終局面で出した調停案も、結果的に選手会に踏みにじられた。コミッショナーは「ストに入れば球団がさらに疲弊し、解散、倒産に至ることもあり得る」と警告していた。

 今後、ストの違法性が議論されることになるだろう。試合の中止で経営側は相当の損失を被る。経営側も、当然賠償請求を検討している。

 入場料収入や放映権料など、球団側の被る損失は数十億円という試算もある。球場周辺の交通機関や店舗、旅行会社の売り上げなどにも影響するはずだ。

 プロ野球には、七十年の歴史がある。日常生活の中で、ちょっとした野球の話題が人と人をつなぐ話のきっかけとなっている。オープン戦、ペナントレース、日本シリーズ、ストーブリーグ、それぞれが四季の風物詩として暮らしに溶け込み、一つの文化を形作っている。

 アテネ五輪の間も、夏休みに入った子供たちなど、ファンのために試合は続けられた。百四十試合を滞りなく終え、優勝チームと個人記録を歴史に刻む。そのことに意味がある。ストは、その一ページを空白にしてしまうのだ。

 野球界が今後、「労使対決」のイメージに染まってしまうことを恐れる。選手会が、ストの「引き際」を心得ていると信じたい。

 ずるずる続けば一九九四年の米大リーグストの二の舞いだ。高額年俸の抑制制度導入を図る経営側に選手側が反発し、ストは二百三十二日に及んだ。多くのファンが離れ、翌年、リストラや年俸カットが選手たちを待ち受けていた。

 ファンの期待を思えば、正常なペナントレースに戻す努力を選手会、経営側双方でぎりぎりまで続けるべきだろう。スト中止もまた英断である。

  

2004/9/19/ 読売新聞 

[プロ野球スト]「何が選手たちの真の望みなのか」

 不毛なストに突入した。優勝やプレーオフ進出争いが山場に差し掛かっているペナントレースの、週末の熱戦に水を差されてしまった。

 「来季から(球団を)増やす」「最大限努力する」。この文言を選手会は合意文書に入れたがった。

 経営側は、これでは来季に十二球団の態勢で臨むことが前提となってしまい、「新規参入球団の公正な審査にタガをはめてしまう」と、受け入れなかった。

 この点を「かたくなだ」として、ストの責任を経営側に転嫁する声がある。そうだろうか。

 新規参入を目指す球団の「審査」は、慎重の上にも慎重を期す必要がある。経営側がこだわるのは、過去にいくつもの失敗例を知っているからだ。

 一九五四年、奇数球団を嫌ったパ・リーグは、財界に働きかけて、強引に「高橋ユニオンズ」を参入させ、八球団にした。手続きは三か月で完了させた。

 しかし、経営難から同年暮れ、別会社の支援を受けるようになり、三年後には大映に吸収合併されてしまった。

 その後も、一年で経営を放り出した日拓ホームの例や、太平洋クラブで四年、クラウンライターで二年と、目まぐるしくユニホームが変わったライオンズ(現西武)のケースなどがある。

 プロ野球界の一翼を担う責任感と自覚が経営者にあるのか、そのための経営基盤は盤石か、これらの点に、慎重な見極めが必要だ。

 コミッショナーが提案した「新規加入球団審査委員会」に、来季から、公平で透明な審査を託そう。経営側の考えは一致していた。

 選手会の希望で“密室”の中、続けられた交渉は、時間切れ寸前に一度合意に近づいた。新規参入について「最大限誠意をもって審査する」という妥協案だった。だが、「二〇〇五年」の挿入にこだわる選手会の弁護士と一握りの選手によって、議論は振り出しに戻った。

 「勝ったのは弁護士だけ。第三者を介在させたのは間違いだった」と、パの元球団代表が分析していた。

 選手一人一人に聞いてみたい。来季、絶対にパが六球団でないとダメなのか。それが実現しない限り、ストを続けるつもりなのか、と。

 交渉の後、横浜の三浦大輔選手が言っていた。「子供たちが将来、野球をやりたいと思うようにしていかないと」。同感だ。プロ選手が実現した夢を、野球少年たちにも追いかけてほしい。

 だからこそ、試合を拒む選手の背中など、子供たちに見せたくないのだ。

  

2004/9/18/ 中日(東京)新聞

一日も早く解消せよ

 やむを得ぬと思う人はいるだろう。だが、だれも望んではいない事態になった。ストライキの長期化は、プロ野球にかかわるすべてを傷つける。七十年の歴史の中に、最も悲しい足跡が刻まれた。
スト決行

 延長戦、土壇場の逆転劇は見られなかった。週末の観戦を心待ちにしていたファンのため息が聞こえてくるようだ。とにかく、残念だ。

 世論調査では七割近くのファンが、選手会のストを支持している。先には敵地甲子園のネット裏からほうはいとわき上がった「古田(選手会長)コール」も、球界を思うファンの気持ちの表れに違いない。

 しかし、優勝争いも大詰めのこの時期に、球場の灯が消えるのを目の当たりにしたときに、ファンの心には秋風よりも冷たい風が吹いてくる。一日も早くスト回避、ペナントレースの正常化に向けて、日本プロ野球組織、選手会双方に引き続き全力を尽くしてもらいたい。

 週末ストが長引けば長引くほど、ファンの心は冷めていく。経済的損失もさることながら、記録の問題も絡んでくる。

 広島・嶋重宣選手のシーズン最多安打のセ・リーグ記録、中日・立浪和義選手のプロ野球最多二塁打記録の達成などにも影響が及んでくる。このままでは、イチロー選手の最多安打記録挑戦にわく米・大リーグに心が移るばかりではないか。

 プレーオフへ向けて盛り上がるパ・リーグの三位争いにも水を差すことになる。すべてが悪循環である。

 選手会側も、近鉄、オリックスの合併はもはややむを得ぬと感じている。残るは新規参入をめぐるギャップである。

 複数の企業が、早期参入に強い意欲を表し、本拠地の選定、練習環境の確保など、具体的な条件整備に動いているのをファンはよく知っている。候補地とされる仙台や東北全体の期待も膨らんでいる。

 新規参入を受け入れ、来季セ、パ六球団の維持を求める選手会側に、「最大限の努力」さえ約束できないプロ野球組織側の姿勢は、ファンの目にも奇異に映るはずである。そもそも、パ・リーグが五球団になることが、不自然な状態なのである。「(新規参入に関する)審査の公正、公平」を期す姿勢は大事だが、その上で多くのファンが「迅速」を望んでいることも忘れてはならないだろう。

 話し合いは今後も継続されるという。ストが一日長引けば、何千何万のファンが傷つき、プロ野球を離れていくことを忘れずに、妥協点を探ってほしい。

  

2004/9/18 中国新聞

プロ野球スト決定 残念…やむを得ぬか

 プロ野球がきょうから史上初のストライキに突入する。シーズン途中の唐突なオリックスと近鉄の合併話に端を発した球界の混迷は誰も望まない事態に陥った。残念な結果ではあるがこれまでの経過をみればやむを得ないのではないか。

 きのうのプロ野球選手会と日本プロ野球組織(NPB)の労使交渉の最大のポイントは、選手会がスト回避の条件に挙げていた両球団の合併の一年間凍結と、それがだめなら来季の球団の新規参入に、球団側が応じるかどうかである。

 球団側は「合併はオーナー会議で決めたこと」と突っぱねた。新規参入について選手会は「来季参入に向けて最大限の努力をする」ことを求めたが、球団側は「来季」と「最大限努力」の文言に拒否反応を見せた。

 合併凍結の要求は置くとしても、新規参入が再来年ならいいが、なぜ来季ではだめなのか。協議終了後の会見でも球団側の説明は説得力に乏しかった。

 説明によると、だめな最大の理由は「もう時間がない」である。野球協約では新規参入の届け出期限は「前年の十一月三十日」とある。まだ二カ月以上ある。期限を延ばしてでも新規参入の道を開く柔軟さはあってもよかったのではないか。

 第一、ライブドアが早い段階で近鉄球団の買収に名乗りを上げたにもかかわらず、話を聞こうともせずにそでにしたのは球団側である。あの時点で聞く耳をもっていれば違った経緯をたどっていたかもしれない。そこはほおかむりし「時間がない」と言っても説得力に欠けよう。これもオーナー会議で決めた「セ六、パ五球団」のくびきから逃れられなかったのか。

 新たな球団経営に二社が名乗りを上げている。しかもライブドアはフランチャイズを仙台の宮城県営球場とし、宮城県知事も受け入れを表明している。選手の確保もオリックスと近鉄が合併すれば余剰が生じる。時間が足りなければ協約期限を緊急避難的に延ばすことも考えていい。要はやる気ではないのか。

 再来年になれば新規参入が実現するかどうかも怪しいものだ。来季セ六球団、パ五球団で交流試合もしてみたが経営は苦しい。やはり市場規模からみても二リーグ制を維持するのは難しい、ということにならないとも限らない。球団側はそれを見越していると勘ぐれなくもない。

 経営側が両球団の合併を唐突に打ち出したことや、これまでの経過を振り返れば、合併を推進する一部の球団オーナーらの意図は「一リーグ制の導入」にあることは明らかだ。人気の巨人を中心に、俗に言えば「うまいものは少人数で」という発想であろう。

 それで当座はしのげるかもしれない。だが、長い目で見ればジリ貧に陥る懸念の方が大きかろう。オールスター戦も日本シリーズもないプロ野球に魅力が増すとも思えない。

 ペナントレースが大詰めに来てのストは極めて残念だ。だが、ストを構えた選手会をファンの多くが支持したことを球団やオーナーらはもっと重く受け止めなければならない。このままではプロ野球離れが一段と加速する。

  

2004/9/18 河北新報

プロ野球スト決行/どうなる宮城への球団進出

 日本プロ野球組織(NPB)と労働組合・日本プロ野球選手会との労使交渉が決裂、選手会は予定していた18、19日のストライキを決行することを決めた。プロ野球70年の歴史でストは初めて。ストは労使双方に大きな痛手を与え、ファンの楽しみを奪う。ぎりぎりの交渉でも労使間の深い溝を埋められなかったことは残念だ。

 選手会側が求めていたオリックスと近鉄の球団合併凍結を経営者側が拒否した。来季からの球団数が最大の争点だった。来季からのセ・リーグ六球団、パ・リーグ6球団を強く要求する選手会と、来季からは無理とする経営者側との意見が対立、合意に至らなかった。

 新規参入問題で経営者側が譲歩しなければ、仙台市宮城野区の県営宮城球場を本拠地とする新球団の来季の参入は難しくなる。
 宮城球場は1970年代に、ロッテが一時本拠地とした。ロッテが川崎球場に移転して以降は、東北はプロ野球の空白地となっている。

 東北の球団が待たれる。それは東北のプロ野球ファンが長年熱望していたことだ。できるだけ広い地域の人々がプロ野球を楽しむためにも、NPBは東北を本拠地とする新球団の設立に努力をしてほしい。

 プロ参入を目指すインターネット関連サービス企業のライブドア(東京)は、既にNPBに加盟申請。球団を運営する新会社ライブドアベースボール(大阪市)は、今月下旬に仙台市に本社を移転する予定だ。

 宮城球場を本拠地とする上で最も大きな問題は、球場の老朽化が激しく、収容人数も2万8000人で日本シリーズの開催要件とされる3万人を満たしていないことだ。

 ライブドア側は、費用を自ら負担して来季に向けて電光掲示板や座席など一部改修するという。だがプロ野球の本拠地とするには、球場拡張や屋内練習場の設置など、大規模な改修が欠かせない。将来的にはドーム球場も視野に入れる必要がある。

 宮城県は球場整備の必要を認めながら、財政難や周辺地域整備計画との調整が必要なことから、具体化していない。
 宮城県、仙台市とも、新球団設立に全面支援する考えを示している。球場の改修に向けて県と市が連携、協力し、実現を急ぐべきだ。それによって、早期の新規参入に向けた条件を整えたい。

 今回のスト問題は、選手やファンを軽視し、球団合併、再編に向けて、経営者側が問答無用で強行しようとしたことが大きな原因と言える。新規参入に名乗りを上げる企業が出ているにもかかわらず、積極的に対応せず、選手やファンの不信を増す結果となった。

 労使交渉の決裂で、プロ野球界全体の改革の行方はさらに不透明になった。泥沼化の事態になることだけは避けなければならない。事態の打開には、経営者側と選手会側との意思疎通、信頼関係の構築が何よりも必要だ。来週再開される労使交渉で最大の努力をしてほしい。

  

2004/9/18 北海道新聞

プロ野球スト*経営者側の責任は重い 
 近鉄、オリックス統合の一年凍結を求めてストを構えていたプロ野球選手会と球団経営者側の日本プロ野球組織(NPB)の交渉が決裂し、選手会はスト突入を選んだ。十八、十九両日のプロ野球全公式戦が行われない。

 リーグ戦終盤の攻防を楽しみにしているファンは多い。ストについてファンの賛否は分かれるだろう。しかし、経営側の対応を考えれば、選手会の結論はやむを得ないのではないか。

 ただし、選手会が予定している二十五、二十六両日のストについては、ファンのために、回避に向けて双方がより真剣に話し合うよう望みたい。

 交渉のポイントは、来シーズンに、選手会が求めた新しい企業を球界に参入させるための「最大限の努力」を、経営者側がするかどうかだった。

 選手会は必ず入れろといったわけではない。セ・リーグ六球団、パ・リーグ五球団は正常ではないから、各六球団にするための努力を求めただけだ。

 ライブドアが本拠地を仙台とする新球団設立を申請している。インターネット商店街最大手の楽天も近く加盟申請する意向を明らかにしている。

 しかし、経営側は公正な審査をするために時間が必要だとして、これを拒否した。「最大限の努力」すら拒んだことは、新規参入容認に前向きではないことの現れではないか。

 統合される近鉄の選手の行き先についても、選手の要望が聞き入れられないことも、選手会側とすれば歩み寄りにくい理由の一つだろう。

 動かないと批判された根来泰周コミッショナーは十六日、新規参入の条件の緩和や、球界改革に取り組むためのプロ野球有識者会議設置などの提案を行った。しかし、これは遅きに失したといわざるを得ない。

 ぎりぎりになって提案し、時間がないことを理由に選手会の要望を顧慮しないのでは、選手会側の疑念をぬぐうことはできない。

 有識者会議にしろ、新規加盟球団の審査委員会にしろ、経営者側の息がかかった人間で構成されれば、それは新規加盟を望む企業や選手の要望を排除する隠れみのにしかならない。

 選手会と経営者側の合意によって、参入がどこまで保証されるかという点が明らかだとは言えない。

 そもそも経営者側がファン、選手を甘く見て独断で事を運んだことが、ここまでこじれた原因である。両者が歩み寄ることができる提案を示せなかった経営者側の責任は極めて重いといわざるを得ない。

 今や、根本的な改革なしに球界は生き残れないことは誰の目にも明らかだ。経営者側が、球界が置かれた状況を理解しなければプロ野球の将来はない。選手会もストを決断した責任を自覚し、改革に全力を挙げるべきだ。

  

2004/9/18 沖縄タイムス

プロ野球スト決行
事態打開へ参入認めよ
 プロ野球界の再編をめぐる労使交渉は、予定より三時間以上も延長した末に決裂した。十八、十九日の週末は選手がストライキに突入する。

 七十年に及ぶ日本球界初のストとなり、国民的スポーツの歴史に大きな汚点を残すことになった。

 ファンはプロ野球が見られない週末を過ごす。野球離れは加速し、球界は最大の危機に直面している。

 選手会としては、来シーズンを現行十二球団で迎えるために「最大限の努力をする」との確約がとれなかったことをスト決行の理由とした。

 古田敦也選手会長は「あいまいな表現では妥結できなかった」と言う。球団数の減少か維持か、球界の行く末を左右することに対し経営側の判断が明確に示されない以上、安易に妥協できない立場にも納得がいく。

 前日示された合併球団の収支シミュレーションは、予想以上に厳しい内容だった。裏返せば、赤字体質は構造的なものと証明したようなものだ。合併はその場しのぎに過ぎず、いずれ同じ事態に陥るのは目に見えている。

 野球人気にあぐらをかいてきた球団経営の甘さと閉鎖性が問われている。ファンサービス、ドラフト制、選手会との関係などを根本的に見直し、攻めの経営に転じる必要があろう。

 しかし、その芽は出ている。

 ライブドアが十六日、日本プロ野球組織に加盟申請した。ネット商店街最大手の楽天も、来週中に申請する方針を明らかにした。

 いずれもIT関連企業で、球団経営による知名度アップやコンテンツ(情報の内容)充実を狙っている。経営者が若く、地域密着型の球団づくりを掲げている点も共通する。

 若い感覚とエネルギーで、旧態依然とした球界に新鮮な空気を吹き込む期待感がある。

 経営側が既定方針として合併を進めるなら、来シーズンからの新規参入を認めるべきである。再来年まで延ばすと、来シーズンはパ・リーグが五球団の変則運営を迫られ、合併球団から漏れた選手の身分も不安定になる。

 根来泰周コミッショナーは前日、新規加入球団審査委員会の設置などを提案した。これまでは距離を置いていたのに、この期に及んで収拾案を提示するのもどうか。もっと早い段階から指導的な役割を果たすべきだった。

 ストを回避できず退任表明したが、そもそもコミッショナーポストはストとてんびんにかけるものではない。

 幸いなことに、来週末については協議の余地を残している。球界建て直しへ実のある「再試合」を望む。

  

2004/09/18 神戸新聞

プロ野球スト/だれがこれを招いたのか   
 七十年の歴史を刻んできた日本のプロ野球が、ついに初めてのストに突入することになった。

 球界再編をめぐるプロ野球選手会と経営側の交渉で、話し合いがつかなかったためだ。十八、十九日のセ・パ両リーグの試合はすべて中止となる。

 ペナントリーグ最終盤での事態であり、回避したい思いはファン、選手会、経営側に共通していたはずだ。だからこそ交渉期限の午後五時を二時間、さらに一時間と延ばし、交渉を続けた。双方とも、それなりの譲歩、提案もあった。それでも選手会が決断せざるを得なかったのには、よくよくの事情があったとみるべきだろう。

 先週末に続く交渉のポイントは、事の発端となったオリックスと近鉄合併の一年間延期、新規参入の積極的促進に絞られていた。しかし、経営側は両リーグ交流試合を含めた収入試算でも、赤字構造からは脱却できず、合併延期はできないと回答。新規参入についても、時間的に間に合わず、再来年のシーズンからの導入とするという回答に止まった。十二球団維持への必死の努力が伝わらない内容だった。

 折り合える点がまったくみえなかったわけではない。新規参入の名乗りを上げる企業も複数現れ、すでに加盟申請を提出、本拠地も決め、地元自治体の協力を取り付けた企業も出てきた。なのに、だれも望まない結果になったのはなぜか。

 ひと言でいうなら、経営側の独善となるだろう。「初めに合併ありき」で、球界の将来を見通して、当事者である選手会と話し合う姿勢を、経営側が持たなかったことに尽きる。それは交渉決裂の記者会見で、経営側の言葉に象徴に表れている。「合併問題は経営事項」が、それである。

 交渉の成果も少なくない。ドラフト制度や選手の年俸など球界の構造改革に取り組む組織の設置、コミッショナー提案による新規加入球団の審査委員会などがそれだ。

 しかし、それも選手会に詰め寄られて出てきた改革案で、再編問題と並行して経営側が練ったものではない。

 ストという事態で一番怒るはずのファンの多くが選手会を支持する理由は、選手会の主張に球界の将来を考える姿勢に共感したからに他ならない。経営側はそのことを読み誤ってはならない。

 経営側から違法行為、損害賠償という言葉ばかり出てくることに、この組織の古さを感じざるを得ない。ストは残念な結果だが、これを発展のきっかけにしないで、どうする。

  

2004/09/18 岩手日報

プロ野球スト突入 経営陣の責任は大きい

 プロ野球は18、19日、ついに史上初のストライキに突入する。日本プロ野球組織(NPB)と労働組合・日本プロ野球選手会の協議・交渉委員会(労使交渉)は、17日夕刻のタイムリミットを約4時間延長して続けられたが、対立は解消されなかった。

 選手会側は、実現が難しくなった「近鉄とオリックス合併の1年間凍結」の代替案として、セ、パそれぞれ6球団を確保するため新規参入の条件整備を求めていた。

 根来泰周コミッショナーが収拾案として「新規加入球団審査委員会」(仮称)の新設を提案した。障壁となっていた加盟料(60億円)と参加料(30億円)の撤廃、預かり保証金の創設も打ち出された。

 だが肝心の参入時期については、来季は無理とする経営者側と来季からの参入へ「最大限の努力」を求めた選手会側は最後まで歩み寄れなかった。

 わが国の国民的スポーツが、こうした場面を迎えたことは残念でならない。ペナントレースも大詰め。優勝争いへの興味もそがれる。

 ファンを忘れた再編

 ストライキには賛否両論があろう。しかし、ここにまで至った「非」は、経営者側と選手会側のどちらにあるだろうか。

 日本プロ野球協約三条は「わが国の野球を不朽の国技にし、野球が社会の文化的公共財になるよう努める」と明確にうたっている。オーナー会議のメンバーに、この視点は欠けていたのではないか。少なくてもファンの目にはそう映る。

 球界には今週、大きな動きがあった。情報関連の「ライブドア」が仙台市を本拠地としてNPBに加盟申請した。インターネットモールの最大手「楽天」も来週中に申請する方針を示した。

 せきを切ったような新規参入の動きは「セ、パ各6球団維持のためにはストも辞さず」という選手会の強い姿勢が引き出したといっていい。裏返せば、経営者側は選手会が動くまで、球界改革への手を何も打ってこなかったということだ。

 ストはやむにやまれぬ選択だったと受け止めたい。共同通信の世論調査では前回のストが回避されたことに約半数が「よかった」と回答しながらも、今後のスト支持率が67%に上った。選手会がファンの声を代弁していたことを物語る。経営側はこうした事態を招いたことを猛省すべきだ。

 再生への協議継続を

 それにしても、加盟申請の2社がいずれも情報技術(IT)関連企業であることは、プロ野球70年の歴史の中で極めて象徴的だ。

 かつては鉄道が多くの球団を持っていた。球団経営は沿線の開発と乗客の誘致に大きなメリットがあった。しかし、国鉄、そして私鉄では西鉄、阪急、南海、今回の近鉄と次々に姿を消している。

 球界も、わが国の産業構造の転換に無縁ではない。球団経営の門戸も時代に合わせて開いていくべきだろう。これまで情報や人、モノを運んできた鉄道に代わり、インターネットという新たなメディアは、関心の低い若い世代の心をつかむチャンスではないのか。

 球界がストで失うものは少なくない。プロ野球の灯を再び燃え上がらせるため、ファンの声を聞きながら、労使とも新時代にふさわしい姿を模索するための話し合いを継続してほしい。野球の基本はやはり「キャッチボール」だ。

  

2004/09/18 山陰中央新報

プロ野球スト決定/古い体質改め発展の契機に 

 球団合併をめぐりストライキを構えて経営側と交渉を続けていたプロ野球選手会は最終的にスト決行を決めた。オリックス、近鉄両球団の合併時期について双方が譲らず、妥協点を見いだせなかった。ライブドア、楽天の二社が新規参入を表明し事態打開も期待されていたが、選手会は強硬手段を選択した。

 しかし、旧態依然とした日本プロ野球組織(NPB)に対して敢然と立ち上がり、プロ野球改革への第一歩を示すことができたプロ野球選手会の行動はファンの一人として理解できる。

 オリックス、近鉄の球団統合はオーナー会議で了承された事項でもあり、選手会が要求していた一年間の合併凍結は困難との見方が支配的だった。NPB側は経営問題として統合撤回を拒否し続け、最後まで一年凍結を求める選手会の主張を受け入れなかった。

 日本人にとって娯楽の王様ともいえるプロ野球。七十年の歴史の中で初めてストが決行されるが、ファンとして寂しさを感じる。しかし、本をただせばファンの声に耳をふさぎ、一方的に球団縮小と一リーグ化に走ったNPB側に責任がある。「たかが選手」といわれた選手会だが、ファンの後押しで手練手管の球団経営者に対抗、伝家の宝刀を抜くことになった。

 交渉の途中で、根来泰周コミッショナーは新規加入球団審査委員会(仮称)の設置を提案するとともに、来年以降に新球団を迎え入れる案を提示した。六十億円という新規加盟料も撤廃し、十年で返還する預かり金制度(選手の平均年俸額である二十五億円程度)を新設することで事態打開を目指した。しかし、選手会側は来年からの「セ6球団、パ6球団」を強く要求したため、交渉は決裂した。

 スト回避の材料はあった。ライブドア、楽天の二社の参入表明がそれだが、あまりにも時間がなかった。

 ともにインターネット関連企業であるライブドア、楽天は球団経営で知名度を引き上げたいとの狙いもあるといわれる。球団そのものをコンテンツ(情報内容)とするとともに、プロ野球の試合を常時ネット上で流せば、十分にビジネスとして成り立つとの判断も働いているようだ。

 加盟申請したライブドアは宮城県、仙台市のバックアップを受け本拠地を宮城県、専用球場を宮城球場とする形態は整えた。しかし、肝心の選手確保はこれからである。

 ライブドア側は合併新球団のプロテクト(優先確保)から漏れた選手を優先的に確保したいとし、選手会も同調した。だが、NPB側は既存の各球団が順番に指名し、全員救済するとの方針を固めていたため、最後まで双方の主張はかみ合わなかった。

 もう一方の楽天は来週中にも加盟申請するみられるものの、オリックスと競合することになりそうなフランチャイズやライブドアと同様に選手集めをどうするかなど難問が山積している。

 両社のプロ野球加盟が実現すれば、一九五四年の高橋ユニオンズ以来の新規参入になる。プロ野球は一部有力球団の意向でルールが改変されるなど実に分かりにくい組織だった。意識的に新規参入を拒んできた跡もうかがえる。

 スト決行がプロ野球界の古い体質に風穴を開け、改革の契機となることを期待したい。

  

2004/09/18 山陽新聞

 プロ野球が七十年の歴史で初めてストライキに突入する。労働組合・日本プロ野球選手会と経営者側代表との二日がかりの交渉が決裂、最悪の事態となった。

 ストの対象は当面、十八、十九日のセ、パ両リーグ各六試合。週末のストはファンの楽しみを確実に奪う。ペナントレースが大詰めを迎えている折、残念と言うほかない。

 オリックスと近鉄の球団合併の一年間凍結を要求する選手会側は、前回の労使交渉で新規参入要件の緩和などで暫定合意し、十一、十二日のストを回避した。経営者側には十七日午後五時までを期限に再回答を求めていた。

 土壇場での交渉は三時間以上延長されたが、双方の溝は埋まらなかった。経営者側は「合併の延期はできない」とあらためて通告。新規参入に名乗りを上げた企業についても、選手側が積極的に受け入れて「来季の十二球団制を維持すべき」としたのに対し、「時間的に厳しい」との理由でセ・リーグ六球団、パ・リーグ五球団の運営を主張した。根来泰周コミッショナーも新規提案書を提示するなどでスト回避に動いたが、決め手にはならなかった。

 人気低迷がいわれる球界にとって、スト突入による悪影響は計り知れない。最も懸念されるのは、ファンの野球離れだろう。選手会を支持している多くのファンも、混乱の長期化は避けてほしいと願っている。

 プロ野球の未来が心配だ。長期ストに苦しんだ米大リーグの先例もある。来週、話し合いの場が設けられる予定になっている。対立を深めず、打開の道を探らなければならない。球界全体でファン第一に知恵を絞り、一刻も早い収拾を望む。

  

2004/09/18 愛媛新聞

プロ野球スト決行  選手会にエールを送りたい
 ストライキ決行か、回避かで注目されていた日本プロ野球組織(NPB)と労働組合・日本プロ野球選手会の労使交渉は、結局のところ決裂してしまった。選手会はきょう、あすのストライキ決行を決めた。
 両日のセパ全試合がファンには見られなくなる。球団側のダメージは確かに大きいものがあるだろう。加えて、おみやげ物グッズなどの関係業界もショックに違いない。
 しかし、これもある意味では仕方のない流れであったのかもしれない。
 「合併問題は一年凍結して球界再編してほしいと要望したがかなわなかった。球団の消滅は大きい。妥結することができず申し訳ない」
 古田敦也選手会長は苦渋の決断をした後、記者会見で何度もファンにおわびのコメントを発した。
 これまでの一連の交渉経過を通じ、ファンは球界に巣くう前近代的な体質をいやというほど見せつけられてきた。経営の独断を懸念するファンの声が選手会を後押しした。
 一オーナーの「たかが選手ごとき」発言は言うに及ばず、最初から話し合いを軽視する態度すら見てとれた。
 最終的にはオリックスと近鉄の合併問題で双方がたもとを分かつことになったのだが、これについても経営側は不誠実と思える態度に終始した。
 たとえば、九、十の両日の交渉では「セ・パそれぞれ六球団による構成のもとで来季のシミュレーションを行う」との確約があったという。このため、選手会側は近鉄存続の可能性が残ったとしてストを回避した。
 しかし、経営側は別の会見で合併は専決事項としてシミュレーションはありえないと断じた。このあたりに選手を軽視する発想がなおなかったか。交渉は進めるものの、合併は変わらないというのでは、話し合いはそもそも成り立たない。
 両チームの合併をめぐっては選手会側が裁判所に差し止めを求めて仮処分申請を行った。東京高裁は「団交で誠実交渉義務を尽くさねば不当労働行為にもなる」と異例の注文をつけた。
 この司法判断は重い。選手会側を法的な組合組織と認め、それにふさわしい交渉態度で臨むよう経営側に促したわけだ。
 選手会にはこれまで百四十万人の激励の署名が届いているという。ファンは古田会長の思いに寄り添っている。
 ここは、選手会側の球界再生にかける決意を見守りたい。プロ野球が縮小再生産の過程に入れば将来はどうなるか。たとえ一年後に新球団の参入を認めるとしても、その間にファンの心理は冷めてしまわないのか。
 もとはといえば突出した人気チームが一つあって、それがプロ野球界全体に陰をもたらしてきた。さまざまな過去の経緯をこの際、整理し、球界全体が再出発する機会とすべきだろう。雨降って地固まるという。
 選手もファンも古田会長に団結したい。そこから魅力ある球界づくりが始まる。

  

2004/09/18 高知新聞

【スト突入】目的を見失わずに

 日本のプロ野球はきょう、70年の歴史で初めてストに突入する。

 球界再編をめぐる日本プロ野球組織(NPB)と労働組合・日本プロ野球選手会の労使交渉は、合意に至らなかった。

 選手会側が延期を求めたオリックス、近鉄の球団合併は後戻りできないことが通告されていた。選手会側は新規参入の来季実施などを求め交渉を続けたが、経営側の姿勢は再来年以降で変わらなかった。

 球団合併が不可避なら、新球団の迎え入れが来季か、再来年度以降が焦点になるのは当然だ。既に新規参入の意向を示す会社も出ている。IT関連のライブドアはNPBに参加申請を行った。同じくIT関連の楽天も申請する方針で、ほかにも意欲をみせる会社があるようだ。

 もちろん参入が実現しても、選手集めや安定的な運営など参入後の課題は数多い。だが、現球団の経営側が縮小の道を歩み始めようとしている時にもかかわらず、これだけの希望の手が上がることを重く受け止めるべきだろう。これはプロ野球の可能性を評価してのことだ。

 先週のスト回避を受けて共同通信が行った世論調査では、スト支持は7割近い。一方で、ほぼ半数がスト回避を「よかった」と回答し、最悪の事態を免れたことを歓迎している。選手会の主張に理解を示しつつ、野球は見たいという気持ちが表れた数字だろう。

 そこにあるのはプロ野球を「公共財」とみる視点であり、球界に漂う閉鎖性の打破を願う気持ちに違いない。経営を優先するあまり、その意識が乏しい球団に対するファンの憤りとも言える。

 NPBは選手会をここまで追い詰めたものは何かを真剣に考えるべきだ。今回の事態では、11球団化にとどまらず、10球団化、1リーグ化まで浮上するなど、経営側の一方的な思惑ばかりが先行した。新規参入を再来年以降とすることにしても、新規参入申請の最終リミットを29日の臨時オーナー会議に設定していたはずだが、それに意味はなかったことになる。これでは野球離れにつながってしまう。

 一方、週末に野球という楽しみが消えることで、ファンの選手会に対する見方もまた変わりかねない。ストという実力行使はもろ刃の剣となる。選手会側も球界の改革につなげるというストの目的を再確認し、ファンとともに歩む姿勢を見失わないようにすることだ。

  

2004/09/18 熊本日日新聞

プロ野球スト決定 ファンの気持ちはどこへ  
 「ファンあってのプロ野球」のはずである。それなのにファンの声や願いも届かず、プロ野球史上初めてストライキが行われることになった。

 プロ野球の再編問題をめぐる労働組合・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)と日本プロ野球組織(NPB)の労使交渉(協議・交渉委員会)は十七日夜、時間を延長しての協議でも妥結に達しないまま決裂。このため、選手会は十八、十九日のストライキ決行を決定した。

 前回の労使交渉では、新規参入要件の緩和などで経営者側が大幅に譲歩したことで、十一、十二日のストライキは回避されていた。

 十六日から続けられた今回の交渉では、根来泰周コミッショナーが提案した「新規加入球団審査委員会」(仮称)の新設などについて協議した。しかし、期限の十七日午後五時になっても決着せず、さらに協議を延長したものの、結局合意には至らなかった。

 経営者側は、来年からの「セ六球団、パ六球団」体制をあくまで要求する選手会側を強く非難。最後まで、この点が壁となった。

 選手会がストライキをするのは十八、十九日のセ、パ両リーグの全試合で、それ以降の試合は未定という。

 情報技術(IT)関連企業のライブドアと楽天が新規参入に名乗りを上げている。「健全なプロ野球運営」のため公正な審査、対処が当面の課題となる。

 プロ野球は、戦前・戦後を通じ大衆に愛され続けた七十年の歴史を持つ。言うまでもなく、球団は決してオーナーだけのものではなく、社会的にも大きな責任を負っている。選手側の責任もまた同じだ。それにもかかわらずスト突入という最悪の事態である。

 交渉後、ストライキを回避できなかったことについて、双方の口からは「おわび申し上げる」との言葉が出たが、これで納得したファンがどれだけいるだろうか。一層のプロ野球離れは避けられないところだ。

 しかし、問題はこれで終わりというわけではない。むしろ、プロ野球の未来にとって、これからが大事と言える。経営者側と選手側がさらに対立を深めるのではなく、逆に対話を進めていくようにしなければならない。

 ファンたちはプロ野球が今後どうなるか不安を抱いている。球界関係者は一丸となって「ファンのためのプロ野球」をめざしてほしい。

  

南日本新聞

【スト突入】早期妥結に全力尽くせ
 球界再編をめぐるプロ野球選手会と日本プロ野球組織(NPB)の労使交渉が決裂し、選手会はストライキ突入を決めた。

 日本のプロ野球史上初めてのストとなる。当面きょう、あすの公式戦は中止となり、大詰めを迎えた優勝争いに水を差すことは間違いない。プロ野球離れに拍車がかからないか、心配だ。

 労使の対立が泥沼化すればプロ野球の危機は深まるばかりだ。労使は引き続き誠実に協議を重ね、早期妥結に全力を尽くしてもらいたい。これまでの交渉で争点は絞られているはずだ。腹を割った話し合いで一致点を見いだしてほしい。

 近鉄とオリックスの合併は動かし難い流れだが、一方で新風も吹き始めている。球界への新規参入の動きが本格化しており、プロ野球復活の呼び水になる期待が強い。新たな機運を大事にしたい。

 インターネット関連サービスのライブドアがNPBに加盟申請し、ネット仮想商店街大手の楽天も来週、申請する。

 事業所向け給食大手のシダックスも参入を検討中という。先週の労使協議で新規参入を促すために高額の加盟料見直しで合意したことも弾みとなった。

 ライブドアは新球団の本拠地を仙台市に置く。球団“空白区”だった100万都市に市民球団が定着すれば、プロ野球人口の掘り起こしにもなる。

 楽天はサッカーJリーグ・ヴィッセル神戸の経営に参画し、プロスポーツの経営ノウハウがあるのが強みだ。

 ともに来季からの参入を目指しており、選手会も同じ要求を団交で示した。NPB側は、参入促進という選手会との合意内容を尊重し、加入申請に対して前向きに対応しなければならない。

 もちろん課題も多い。肝心の選手確保はこれからだ。期限の11月末までにオーナー会議の承認を得るには時間不足が否めないが、NPB側は、参入は2006年以降と決めつけず検討してほしい。

 根来泰周コミッショナーが事態収拾のために行った、新規加入球団審査委員会(仮称)設置などはいずれも検討に値する内容ではあるが、もっと早く事態打開に動いてもらいたかった。

  

2004/09/18 日経新聞

社説1 来季からの新規参入を認めるべきだ

 プロ野球が史上初めてのストライキに突入した。残念でならない。この週末、セ・リーグは中日―巨人の最後の首位攻防戦が行われ、パ・リーグはプレーオフ進出を賭けた大詰めの攻防戦が繰り広げられるはずだった。選手会側が要求した「来季からの新規参入」がなぜ認められないのか、日本プロ野球組織(NPB)と球団側が明確な説明をしない限り、ファンも納得しないだろう。

 プロ野球ストの影響はペナントレースの球趣を損ない、球団や選手に実害を与えることにとどまらない。前売り入場券を持っていたファンの落胆は大きいし、球場内の売店やアルバイト、球場周辺の商店や交通機関にも実害を及ぼす。その影響の大きさを考えれば、球団側も選手会側もスト回避にもっと全力を尽くすべきだった。

 不可解なのはNPB・球団側の対応である。新規参入を妨げていた加盟料60億円、参加料30億円を撤廃し、新たに保証金制度を導入して新規参入を促すとしながら、選手会側が求めた「来季からの新規参入」を「審査に時間がかかる」という理由で拒否したのは説得力に乏しい。

 すでにIT企業のライブドアが宮城県の支援を得て加盟申請し、近日中には同じIT企業の楽天が加盟申請する予定だ。このほかにも手を挙げる企業が取りざたされている。プロ野球を担うにふさわしいかどうかを十分に審査する必要はあるが、はじめから「来年はダメ」と決めつけるのはおかしい。表向きは新規参入を促す制度に変えて、実際は審査の段階で新規参入を排除するようなことがあってはならない。

 来季のセ6球団、パ5球団の体制では交流戦を導入しても日程の編成に無理が生じ、特にパ・リーグの運営は相当困難になることが予想される。にもかかわらず、NPB・球団側が「来季パ5球団」にこだわるのは理解に苦しむところである。再来年はもう1球団削減して10球団体制にすることをめざす一部球団の思惑に振り回された結果だとしたら実に残念である。選手会側もそうした疑念をぬぐいきれなかったのだろう。

 親会社の経営不振や球団経営の行き詰まりで撤退を余儀なくされ、新たな買い手が見つからなければ、合併で球団数が減るのも仕方のないことである。しかし、新規参入を意図的に妨げ、当該球団の意思を無視した強引な合併で球団数を減らすような不透明なやり方は好ましくない。NPB・球団側はファンの視線を意識し、公明正大な手法でプロ野球の改革に取り組むべきである。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――以上

 
雑感:球団に影響力を持つ新聞社もあって、それら社説を読み比べると中々面白い。
およそどの紙も新規参入に肯定的な論調だけど、その中において、
突出して異質なのが2日にわたって問題を取り上げた読売。
新規参入を嫌い、経営側を擁護しながら選手側を露骨に批判するところがなんとも読売らしい。
まあ、歴史経過をみれば経営責任が問われることだと思うんだけど、そういう点には触れないからズルイね。
別にジャイアンツ嫌いじゃないんだけどさ。

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