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教科書に書いてない国際政治 マガジンNo.182
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何故アメリカはイラクで失敗したのか
イラクは米国の大失敗です。大量破壊兵器の存在を理由に米軍
がイラクを攻撃したのは2003年春のこと。圧倒的な軍事力に
よりフセイン政権を倒し、占領統治を始めました。
それから二年が経とうとしていますが、情勢が安定する兆候は
全くありません。武装勢力は各地で活動しています。あまりにも
頻発するため、テレビや新聞のニュースでは目立たなくなりまし
たが、自爆テロも未だに続いています。
何故、米国はイラクで失敗したのでしょうか。この問題を理解
する鍵は、この国の情報(インテリジェンス)活動です。軍事戦
略の失敗というよりも、それ以前の段階として情報収集・分析が
間違っていたということです。
大量破壊兵器が見つからなかったのは周知の通りです。米国は
攻撃前、この脅威を強調していましたが、実際に蓋を開けてみる
と大量破壊兵器はありませんでした。
これは戦争の理由に関する情報ですが、これよりももっと根本
的な問題がありました。攻撃を始める前、戦後のことについて考
えていなかったのです。
バグダッド攻撃の戦略は入念に練っていても、戦後についての
考察が甘かった。フセイン政権を倒したらイラクを民主化する。
このような政策は立ててありました。しかし、これを実践するた
めの情報収集・分析を怠っていたのです。
この点は関係者の話が裏付けします。ワシントンDCで活動す
る米国の学者で、情報関係者と共に仕事をしている人の話です。
先日この人のワークショップに出席しました。彼によると、当時
の関係者たちに尋ねてみると、皆が「ノー」と答えるそうです。
フセイン政権を倒した後、占領軍は現地社会に受け入れられる
のか。人々の反感を買うことはないのか。反乱は起こらないのか。
宗教問題は勃発しないのか。イラク社会が分裂する可能性はない
のか。これらの点を検討するための、現地の情報に関心を注いで
いなかったそうです。
◆ 国際感覚が麻痺した超大国
軍事的な問題解決よりも、その後の秩序維持の方が大変。これ
はポスト冷戦時代に国際社会が学んだ教訓です。
圧倒的な軍事力を行使して、世界各地の紛争に介入していくこ
とは簡単にできる。軍事的な目標を達成することは困難でない。
しかし問題は、その後で現地社会をどうやって安定させるかであ
る。
国連を含む欧米勢力は、コソボ、ボスニア、アフガニスタンな
どで、このことを思い知った筈です。しかし米国は、再びイラク
で失敗しました。
米国は自国中心の独特の世界観があり、各地の政治を自分の常
識で捉えようとするのでしょうか。自国が主導する民主化政策は、
世界各地で必ず歓迎されると思ってしまうのでしょうか。
もしも米国が、本当の意味での国際感覚が麻痺した超大国なら
ば、二十一世紀の展望は明るくありません。
(発信日2005年1月12日)
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教科書に書いてない国際政治
発行者
Hiro
マグマグ・カテゴリー
「情報源」「時事ネタ」(http://www.mag2.com)
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71858
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