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1月11日 05年第8号 ◆ パレスチナ議長選挙をめぐる報道の虚 ◆ 中国を侮ってはいけない ◆ モハマド君の急遽帰国に思う ◆ アフリカじゃあみんな裸で踊っている ◆ 改憲と政党の再編成
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◆ パレスチナ議長選挙をめぐる報道の虚
◆ 中国を侮ってはいけない
◆ モハマド君の急遽帰国に思う
◆ アフリカじゃあみんな裸で踊っている
◆ 改憲と政党の再編成
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◇◆ パレスチナ議長選挙をめぐる報道の虚 ◆◇
9日に実施されたパレスチナ自治政府議長選挙の結果、穏健派のアッバスが圧勝したことで、中東和平が進展するかのような楽観的な解説記事が11日の各紙に踊っている。これほど皮相的な見方はない。
中東和平が進展するかしないかは、ひとえにイスラエルと米国がパレスチナを主権国家として認めて対等で公平な話し合いをする用意があるかどうかにかかっている。アッバスがパレスチナ人を纏め上げられるかということではなく、イスラエルと米国がアラファトに与えなかった新たな贈り物をアッバスに与える用意があるかどうかである。
イスラエルも米国もその気は全くないだろう。その結果中東情勢はどうなるか。パレスチナが全面的に屈服して米国、イスラエルが描く中東民主化に吸収されていくか、それを潔しとせず今後も抵抗を続けるかである。
その場合、パレスチナ人の単独の抵抗は、米国とイスラエルの圧倒的な軍事力と弾圧姿勢により、ますます弱体化し絶望的となる。しかしアラブの反米過激抵抗グループやイスラム原理主義グループがパレスチナに加担すれば、反米、反イスラエル闘争は破壊的で永続的なものになる。
それにしても、国際司法裁判所がその勧告的意見で明確に違法と断じた分離壁をなおも造り続け、武力によってパレスチナ人の人権を蹂躙し続けるイスラエル。国連決議で承認されたパレスチナ人の帰還権を否定し、国連決議で禁じられたパレスチナ自治区へのイスラエル人の入植を国策とするイスラエルの不法をどうして報道は正面から批判しないのか。そのイスラエルを支持する米国の不公平を批判しないのか。パレスチナの暴力の放棄だけを書くメディアは、そのことだけで米国、イスラエルの側に偏しているのだ。
小泉首相は10日夜、アッバス議長への祝辞の中で、「治安問題を含め自治政府の責任ある体制を再構築し、イスラエルとの和平に一層に取り組む事を期待する」と表明した。そこには米国、イスラエルに対する公正さを求める言及は一切ない。
私は、11日の各紙がこぞってアッバスの当選を祝っている皮相的な記事を読みながら、真実は何も語られていないと思った。アッバスの暗く陰険な人相を写真で見るたびに、彼ではパレスチナ問題を解決できないと確信するのである。
◇◆ 中国を侮ってはいけない ◆◇
11日の日経新聞に、中国の対外貿易経済協力次官の、竜永図という人のインタビュー記事が出ていた。これが実に立派な事を言っているのである。最近やたらに中国経済の危険が指摘されている。特に中国の発展や大国化を危惧する人たちの間ではそうである。私は経済の専門家でもないし、中国を過大評価も過小評価もしない。しかしハッキリいえることはこういう考え方をしている官僚が中国に出現してきたと言う事だ。少なくとも日本の官僚よりははるかに自国の置かれている経済を把握している。自立している。中国は決して侮れない。その中国と競争、協力していくことこそ日本の国益だと思う。
「・・・中国は開放によって改革と発展を促すと言う事に尽きる。WTO加盟で中国企業と外国企業を同じように扱わなければならなくなり、国内の国営企業と民営企業なども同等に扱わなければならない事を理解した。民営企業は今や経済発展の重要な原動力となった。・・・我々は(WTO)加盟交渉で、『開放しなければしないほど有利』という考え方を改め、分野によっては開放が我々にとっても有利だと判断した。他の途上国も発想を変えるべきだ。
・・・反面、先進国も『途上国の市場を開放させればさせるほど成功』という考え方を改めねばならない。途上国が市場を過度に開放すれば、結局その国の市場は破壊される。購買力がなければ市場開放に何の意味があるのか。双方が得をするようにするという意識を持てば、コンセンサスづくりは容易になる。
・・・現在の為替相場システムの問題はドルへの過剰な依存だ。世界経済の中でアジアの役割は高まる一方で、中国や日本、韓国などは巨額な外貨準備を持っている。・・・国際金融システムのなかのドルの独占的な覇権体制を変えていかなければならない。・・・しかしアジア共通通貨は中・長期的な目標だ。短期的にはやはりドルの安定が望ましい。問題があるとはいえ米国は世界の最強の国で、ドルは大きな役割を果たし続けなくてはならないからだ。アジア共通通貨づくりは米国の理解と支持をどう得るかが重要だ。・・・万一ドルが暴落した時の事を考えると、選択肢がないよりはあった方がいい。アジア共通通貨はドルの安定に向けた努力を米国に促す圧力にもなる・・・」
◇◆ モハマド君の急遽帰国に思う ◆◇
負傷した左目の手術のため、昨年11月から再来日しているイラク人少年モハマド・ハイサム・サレハ君(10)が、今月末の帰国予定を急遽早めた事が10日に明らかになった。その理由として、疎開先の家が相次いで爆撃されたことや、30日に控えたイラク国民議会選挙の影響で国内情勢が更に不安になり帰国できなくなるおそれがあるからだという(11日日経新聞)。
モハマド君の精神的ショックは大きいという。それはそうだろう。可哀想に。
目の治療に協力することはいい。しかし非常事態宣言が延長されるほどのイラクの状況がわかっていながら幼い子を日本に連れてきて美談の道具に各地にひっぱりまわす、こんな無神経な事があるのか。つくづく日本人はイラクの事がわかっていないと思う。イラク人の苦しみに思いを馳せる心がないと思う。自己宣伝と言うのが言いすぎであれば自己満足でモハマド君を日本に連れてくるよりも、イラク人の置かれている非常事態に思いを馳せ、イラクを不当に攻撃した米国に猛省を促すべきなのである。
モハマド君の目を負傷させたのは誰だ。おびただしい数の子供が、目だけではなく命までも奪われ続けている。彼らの平安な日常を奪った米国に加担し続ける日本。
今回のモハマド君の急遽の帰国は、ややもすればイラク戦争の本質から目を逸らそうとする我々に、厳しい問いかけを突きつけるものなのだ。
◇◆ アフリカじゃあみんな裸で踊っている ◆◇
11日の毎日新聞の新聞時評の欄にアジア経済研究所の酒井啓子参事がこう書いていた。
「・・・12月26日朝刊国際面『東論西談』の一フレーズを読んで悲しくなった。当時厚相だった小泉純一郎氏がアフリカを訪問して『アフリカじゃあ、みんな裸で踊ってるって思ったけれど、ビルも道路もあるじゃないか』と言った・・・アフリカ人が裸で踊ってばかりいない事は活字情報であふれていた(はずだ)。活字には先入観を崩すほどの力もないのか・・・」
その時のアフリカ訪問のエピソードの一つとして、ジンバブエでムガベ大統領と会う予定が、先方の都合で会えなくて激怒した小泉厚相が「こんな国への援助は打ち切れ!」と外務官僚に当り散らした話がある。私はその事を間近に見聞きし、なんという政治家かと怒りを覚えたものだ。その小泉厚相だから、こんな風にアフリカ人を馬鹿にした発言を知っても驚かない。
その小泉氏が首相になって、中東の何たるかも知らず、知ろうともしないまま、米国のイラク攻撃をいち早く支持した。どう考えても私は許せないのだ。
◇◆ 改憲と政党の再編成 ◆◇
11日の東京新聞の「政理整頓」というコラムの中で、論説副主幹の谷政幸という人が書いていることに頷いた。
彼はまず、年明け早々に小泉首相が発した次の言葉をふり返る。
「自民党だけで(改憲は)できるものではない。自民党と公明党だけでもできるとは思えない。民主党の協力も得なければならない」
「憲法改正というのは、今年、来年中にできるとは、いま考えていない」
そしてこの言葉をみて、小泉首相は、戦後積み重ねられた憲法論議に関心もなく、造詣の深さもないかわりに、政治的な勘所を押さえる嗅覚は鋭いと見る。信念を持って「改憲」を望む中曽根康弘元首相が、「小泉首相は保身に走る」といら立つ理由がここにあると指摘する。
そして次のように改憲に伴う今後の日本の政界再編の不可避性を指摘するのである。
「・・・自民党と同程度か、それ以上に改憲志向の強い議員がいる民主党といえど、そう簡単に改憲作業に手を貸すとは思えない。(なぜなら)次の総選挙を政権奪取の最大で最後のチャンスと見据える民主が自民に歩調を合わせるとしたら、余程の政局オンチか、政権に手が届かないと自分で自分を見限ったか、のどちらかである。
・・・総選挙で自民が勝てば民主が、逆に民主が勝って政権交代なら自民が壊れて、”寄らば与党“の続出する可能性が生まれる。改憲勢力の結集が想定されるのは、その時からである・・・」
問題はその時に改憲勢力に立ち向かえる国民政党が結集できるかどうかである。それはひとえに国民次第である。戦後政治の本当の意味での曲がり角がその時やってくる。
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