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□★□ 天木直人 1月10日 メディア裏読み 2005年第7号 □
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◆ この程度の志で政治家になられたらたまらない
◆ これがジャーナリズムか
◆ 自衛隊駐留反対が8割という現地の報道
◆ ミサイル防衛網にどんどん巻き込まれていく日本
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◇◆ この程度の志で政治家になられたらたまらない ◆◇
8日の日経新聞の夕刊に、2003年の衆議院選挙で初当選した最年少の代議士
の記事があった。ここでは敢えて名前も政党も控える。その政治家についてまったく
知識のない私がその政治家を評価できる立場にはない。あくまでもその記事を読ん
だだけの私の勝手な感想だ。
27歳の最年少当選と言うのでよほど魅力や実力があるに違いないと思ってその記
事を読んでいたら、親父が現職の知事だという。その同じ県からの当選だ。その事だ
けで私は99%失望した。しかしそれより失望したのは、政治の世界に飛び込んだ動
機である。聞かれてこう答えている。
「・・・(三菱商社に二年ほど勤務して)国としては米国の『子会社』くらいにしか見られ
ていない。日本の位置づけを正したい。こんな思いが募り、実現するために政治家を
志した。だから誰かのために何かをしたいと思ったわけではない。私利私欲とも違う。
例えるならサーファーが波を見ると乗りたくなるのと同じ気持ちだと思う・・・」
どう表現したらいいのだろう。この程度で衆議院議員になるのか、なっ
てその日から何をするつもりだったのか。
この記事を書いた記者は、この議員を形容して、「最近まで大学時代からの友人と
ルームシェアを続けていた『Y世代議員(どういう意味は私には理解できないのだ
が)』だ」と形容している。しかし同じ年代の若者でも、はるかに志の高い若者や、本気
になって人の為に働いている若者が日本全国に限りなく存在していることを私は知っ
ている。
いま自民党と民主党は、次の総選挙で過半数を取って政権を目指すと言い合って
いる。その為に全国の選挙区で勝てる候補者の数合わせに必死である。しかしその
多くは、政治家になりたくて仕方のない者、世襲の威光だけで当選する者、札束に物
を言わせる者、組織票をバックにした者などである。そんな人たちばかりが政治家に
なる選挙制度の中から、国民のために献身的な仕事をする高い理想を持った政治家
がどれほど生まれてくるのか。世の中には政治家になれない、なろうとしない者のほ
うがはるかに立派な生き方をしている人間が多い気がするのは私一人だけだろうか。
◇◆ これがジャーナリズムか ◆◇
テレビのワイド番組なるものが「ジャーナリズム」であると言えばお叱りを受けるかも
しれない。私もあれは娯楽番組や時間潰し番組といった方がより正確だと言う気がす
る。それでも連日各局でおびただしいワイド番組に名の通ったジャーナリストや有識
者が出演し真面目なコメントを繰り返しているのだから、やはりジャーナリズムの一つ
には違いない。むしろその内容によって判断すべきかもしれない。確かに中には良質
な取材を重ねて作られた啓発的な番組もある。
問題はニュースのない時にどのような番組を流すかということである。確かに毎日、
毎日、番組を作成し続けることは大変な事であろう。それにしても10日朝のスーパー
モーニングには閉口した。無事帰国を果たした曽我さんや蓮池さんたちの家族のそ
の後について、延々と芸能ニュースのように流しているのである。携帯電話に収録し
た孫の写真をみせて喜ぶ祖父、夫ジェンキンス氏との生活ぶりに関する詳細なビデ
オ、日本で正月を迎えた彼らと地元の人々の喜びの声。
彼らが生きて無事帰国したことは国民的慶事であった。当時我々は国を挙げて祝
福した。しかし今は、未だ行方不明の拉致被害者の救済にすべての関心を向けるべ
きではないのか。めぐみさんの遺骨が偽物だったことがわかった直後の怒りの報道も
一通り済んでしまった。経済制裁論議も嫌と言うほど報道した。次の実務者協議もま
ったくめどが立っていない。だからもはや報道する目新しいことはないのかもしれない。
しかし今でも横田さん、有森さん、増元さんたちの苦しみ、悲しみは続いているのであ
る。かれらがどんなに訴えても何事も進んでいないのである。彼らは忘れ去られよう
としているのである。
蓮池透さんは弟が不明の時はあれほど激しく政府を攻撃した。それが今では殆ど
発言が見られなくなった。それはいい。しかし少なくとも帰国した家族の喜びの光景を
執拗に取材し続けるマスコミに対し、一回はいいかもしれない。しかしもうそろそろ、
「他の被害者が救出されるまで、このような取材に応じる事は自粛したい」くらいの事
を言ってもらいたいと思う。
◇◆ 自衛隊駐留反対が8割という現地の報道 ◆◇
サマワのイスラム教シーア派の反米指導者サドル師派事務所が発行する週刊機
関紙「アンナーティカ」が、7日、陸上自衛隊の活動について独自の世論調査の結果
を公表した。それによると、「自衛隊の活動に満足しているか」の問いには86%が「満
足していない」と答え、「陸上自衛隊の駐留に賛成か」の問いには80%が「反対」と答
えたという。「自衛隊の活動に成果はまったく感じられない」と回答した者に至っては9
0%にのぼったという。反米組織の機関紙が行った調査にどこまでの信憑性があるか
疑問だと言う見方もあろう。しかしこの否定的な数字は驚きである。あるいはこちらの
ほうが正しいかもしれないのだ。
このニュースをサマワ発時事通信としていち早く伝えたのは9日付のしんぶん赤旗
であった。時事の配信であるので他の新聞も報じても良いと思うのだが、私の見た限
りではどの新聞も報じていなかった。そして10日付の毎日新聞だけがカイロ特派員の
記事として掲載した。
思えば昨年12月、自衛隊派遣延長を決定した時の小泉首相の説明の中に、「イラ
クの人々が歓迎してくれているのにその期待を裏切るわけにはいかないだろう」という
趣旨を強調していた記憶がある。
アンケートというものは聞く人たちや、聞き方によって様々な結果がでるのであろう。
だからこそ政府は都合のいい数字だけを使ってはいけないのだ。政府は客観的な事
実を知らせ、決して国民をごまかすような事をしてはいけない。政府がそうしないなら
メディアだけは客観的な報道をしなければならない。ごまかしても事実はいずれ明ら
かになる。
◇◆ ミサイル防衛網にどんどん巻き込まれていく日本 ◆◇
10日の毎日新聞は一面トップでミサイル防衛網に関する日米共同研究の極秘の
動きをスクープした。それによると、大型航空機に搭載したレーザー砲で発射直後の
弾道ミサイルを爆破するシステムの共同開発を米国から打診されていたこと、米空軍
はボーイング社などと契約して研究・実験を続けてきたが、日本の高い技術を活用し
て開発コストを削減したいという思惑があること、昨年秋以降、米防衛産業関係者が
自民党の国防族を朝食に招き働きかけていた事などが明らかにされている。
くりかえして書いてきているように、軍事装備の議論についてはそれが専門的な事
や戦争に直結する事柄なので一般の我々には馴染みにくい面がある。しかし我々は
素人の知識でも十分にその危うさを認識できるし、しなければならない。専門家の言
いなりになるのはあまりにも危険なのである。
この共同開発に日本が協力していくことは重大な意味を持つ。すでに政府は米国
の「テロとの戦い」に当然の如く協力する姿勢を示し、米軍の再編成に応じ、新防衛計
画の大綱を策定して、ミサイル防衛システムの日本への配備に向けて来年度予算か
らの支出を決めた。しかしこの航空機搭載のレーザー砲ミサイル防衛網構想は、はる
かに攻撃性が高いばかりでなく、他国を狙ったミサイルをも爆破する事になるので、
集団的自衛権の行使そのものになる。明確な憲法違反である。
もはや憲法改正論議など無意味になっていく。どこまでなし崩しに日本は米国の安
全保障に巻き込まれていくのであろう。しかも国民の目の届かないところで、米国の
圧力に政治家、官僚の独断で。国民の監視が不可欠である。毎日新聞のスクープに
敬意を表したい。