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ロシア原潜基地、大量の放射能漏れ 廃棄物貯蔵施設から
ロシア北西部の原子力潜水艦基地で、放射性廃棄物の貯蔵施設から、大量の放射線が長期間漏れ続けていることがわかった。基地の浄化を支援するため、ノルウェー政府が調べた内部資料を朝日新聞が入手して明らかになった。居住区域から離れており健康被害は報告されていないが、ロシアの核施設の管理の甘さが浮き彫りになった。海洋汚染などを予防するため、ノルウェーは支援を強化する方針だ。
放射線漏れが確認されたのは、ノルウェーとの国境から約50キロのところにあるアンドレア湾の北洋艦隊基地。敷地内には、原潜の使用済み核燃料や放射性廃棄物の貯蔵施設がある。ノルウェー放射線防護局が02〜04年、基地の協力を得て汚染状況を調べ、04年秋に「汚染マップ」を作製した。
それによると、貯蔵施設周辺で、毎時5〜500マイクロシーベルト超の放射線を観測した。毎時500マイクロシーベルトを超えたのは少なくとも3カ所。このレベルの放射線を2時間浴びると、国際放射線防護委員会の勧告に基づく一般人の年間の制限値を超える。
また日本で原子力施設の事故が起きた場合、施設の敷地と外部の境界線付近で毎時500マイクロシーベルトの放射線量が観測されれば、原子力災害対策特別措置法に基づき、首相が「原子力緊急事態」を宣言し、住民に避難などの指示が出る。今回観測されたのは、施設内の建物のそばなので、単純に比較はできないが、住民被害が十分想定される水準の放射線量だ。
ノルウェーの調査では、施設のほとんどは70年代に建設され、冬の低温と凍結の影響でコンクリートの劣化が進み、裂け目が発生して放射線が漏れている。居住区域からは10キロ以上離れているが、放射性物質を含んだ水が地下に浸透したり、海に流れ込んだりする危険が指摘されている。ノルウェーは一部にコンクリートで応急の「ため池」をつくり、海への流出を防いでいる。
ノルウェー放射線防護局幹部は「放射線漏れは少なくとも90年代半ばから続いていたと見られる。建物の内部の状況はさらにひどいだろう。事故などで大量の放射性物質が放出されれば、周辺環境に大きな影響を与える」と指摘する。
現在、この施設は満杯になった放射性廃棄物や使用済み核燃料の管理だけを行っている。
アンドレア湾では、環境保護団体の指摘を受けたノルウェーが98年、ロシアに浄化支援を申し出たが、ロシア側が軍事機密を盾に施設への立ち入りに難色を示し、02年にようやく調査が始まった。
(01/08 09:09)
http://www.asahi.com/international/update/0108/001.html