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スマトラ地震:
支援巡り新たな火種 米、国連主導嫌う
スマトラ沖大地震で、米国が日本やインドなどを加えた中核グループを構成して人道支援と長期復興を主導する姿勢を鮮明にし、国際社会に戸惑いが広がっている。イラク戦争と同様の「有志連合」を前面に出し、復興の主導権を握ろうとしているとの疑念だ。グループに入っていない欧州連合(EU)などから「支援は国連主導で行うべきだ」と、米国をけん制する声が上がっており、新たな欧米亀裂の火種になる恐れも出ている。【ワシントン中島哲夫、ロンドン小松浩】
地震が起きた12月26日から3日間、ブッシュ米大統領は何も公式発言をしなかった。テキサス州の私邸兼牧場での休暇に随行していた報道担当官によると、大統領は28日には自転車を乗り回し、ローラ夫人と散歩しながら政権2期目の構想を練っている。
ブッシュ大統領の緊張感を欠いた対応へのいらだちもあり、米メディアは支援の小出しを痛烈に批判。パウエル国務長官が大統領に進言し、10倍増の3億5000万ドル(約360億円)となったというのが真相だ。
支援中核グループ構想はこうした状況下で発表された。だが、これは国連を軽視したイラク戦争での「有志連合軍」と同じ方式ではないかと批判を呼んでいる。
パウエル国務長官は31日、ニューヨークで行ったアナン国連事務総長との共同記者会見で、中核グループも「国連の全般的な監督に従う」と解釈できる発言をしたが、前日まであいまいな言い方に終始していた。一方でブッシュ大統領は、津波被害に関する1日のラジオ演説で、米国が国際的な有志連合を主導すると強調した。
各国別の支援や非政府組織(NGO)の活動を統括するのは本来、国連の役割だ。なぜ米国、日本、インド、オーストラリア、カナダ、オランダの「中核グループ」を構成し、主導するのか。
米国にとって、今回の震災支援は、国際社会が納得する役割を果たし、イラク政策の失敗をばん回する好機だ。またアジア地域での米国の政治的、軍事的プレゼンスを維持するためにも支援の主導権を握る必要があると見られる。
一方でブッシュ政権は対イラク政策などで「米国が主導し、責任は各国が分担する」という方式を推進してきた。米政府当局者らは、被災国に対する長期的支援は米国だけでは負担し切れないと明言。イラク戦争と同様、「有志連合」が米国主導の責任分担の集団となる可能性もある。米国が国連の風下に立つのを嫌う背景には、こうした思惑もあると見られる。
中核グループの形成に対し、1日からEU議長国となったルクセンブルクのユンケル首相は31日、「我々は、国連が(支援で)主導的役割を果たすことで合意した」と述べ、米国主導の支援体制にクギを刺した。
また、今年からG8(主要8カ国)首脳会議の議長国となる英国のブレア首相は、津波被害後にベルルスコーニ伊首相が呼びかけたG8緊急会議招集を「大規模な災害支援は国連が調整役を務めるべきだ」と拒否。有志連合中心で支援しようとするブッシュ政権とも一線を画した。
6日からジャカルタで開かれる被災国支援緊急首脳会議は、欧州を代表してEUだけが参加する。このため英メディアには「なぜ支援会議に英国は招待されないのか」「米国やインドには国際被害支援の実績がない」と米主導方式への不満がくすぶっている。
◇援助増額 日本、復興の「顔」意識
日本政府が津波被害に対し、小泉純一郎首相の緊急首脳会議への出席と5億ドルを限度とする無償協力を決定した背景には、今年末に開催が予定される東アジアサミットを控え、阪神大震災の教訓を持つ日本がアジアで復興外交の「顔」となることを印象づけたい狙いがある。ただ、米国主導色が強まると、国際機関との協調に苦慮する局面も予想される。
首相の出席は町村信孝外相が12月31日夜、首相周辺に要請、急きょ決定した。同時に外相は谷垣禎一財務相とも協議し、5億ドルの限度額を決定した。すでに3000万ドル支援を表明していたが、国連のアナン事務総長が支援の必要額を訴える「緊急援助アピール」を表明。さらに米国が3億5000万ドルの支援を打ち出したため「各国がこぞって額をつり上げ、日本からの支援が目立たなくなる」(政府筋)と「最大限の支援」を示した。
日本政府には今回の支援が国連安保理の常任理事国入り問題に対し、間接的にプラス効果を与える期待もある。米国主導の構図が強まる中「地震国」のノウハウをどう発揮するかが問われる。【高山祐】
毎日新聞 2005年1月3日 1時23分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050103k0000m030086000c.html