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イラク選挙:
スンニ派有権者登録できず 国分裂の可能性も
【カイロ小倉孝保】1月30日に予定されているイラク移行国民議会(275議席)選挙まで1カ月となった。南部を中心にしたシーア派地域で宗教組織による投票の呼びかけが活発になっているのに対し、北西部のアラブ・スンニ派地域は有権者登録もできない状況だ。暫定政府は「選挙の延期はテロリストに間違ったメッセージを与える」と選挙を強行する構えだが、選挙を実施すれば、イラクの分裂を加速させる可能性も出ている。
バグダッドでは最近、町のあちこちにシーア派系政党が作った「投票はイスラム教徒の義務」「選挙がイラクの未来を作る」といったポスターなどがみられるようになった。シーア派最高権威、アリ・シスタニ師の支持者はバグダッド以南の家庭を個別訪問。独立選挙委員会もメディアを使って選挙への参加を呼びかけ、シーア派地域とクルド人地区では選挙ムードが高まりつつある。
イラクでは南部中心に人口の6割がシーア派。独立以来、一貫してアラブ・スンニ派中心で政権が運営されてきたため、シーア派は今選挙を同派政権樹立の絶好の機会と受け止めている。
現在、優勢とされるのは、(1)アラウィ暫定首相率いる非宗教色の強い「イラク人のリスト」(2)イスラム教シーア派を中心に宗教色の強い「統一イラク同盟」(3)クルド人を中心にした「クルディスタン・リスト」−−の3連合会派だ。
中でも、最も有力とみられてきたのが統一イラク同盟。シーア派住民の支持を受けているうえ、「イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)」など組織力のある政党が会派に加わっているため、かなりの票を獲得するとみられている。
しかし、最近になって、「イランとの関係を嫌う国民から不信感を持たれるようになった」(アラブ外交筋)との見方も出てきた。イランはシーア派の大国。「イラク人はイランに親しみを感じていない。長年の戦争で不信感も強い」(イラク人記者)とされ、支持が一部の住民に限られる可能性もある。
また、「クルディスタン・リスト」は人口の2割を占めるクルド地域で圧倒的な強さをみせるのが確実だ。
こうした中、北西部を中心にしたスンニ派住民は選挙から取り残された格好。スンニ派地区の一部では、反米武装勢力の拠点になっていることなどから治安が悪く、まともな選挙実施は絶望的な状況だ。さらに、スンニ派を唯一代表する政党だった「イラク・イスラム党」が先日、選挙への参加を撤回し事実上、同派住民の声を代弁する組織はなくなった。
イラクの社会動向に詳しいアラブ人学者、ワエル・イブラヒム氏(33)は「今回の選挙では、イラク人がどれだけイラク人としてまとまれるかが問われる。イラクの統一を望む国民は多いはずで、その票はアラウィ首相の連合会派に流れる」と分析する。
【イラクの選挙】旧統治評議会が3月に作ったイラク基本法(暫定憲法)を基本に行われる。全国1区の比例代表で行われる移行国民議会の選挙のほか、全国18県の県議会選挙、クルド3県で作るクルド地域(クルディスタン)の議会、知事(クルディスタン大統領)選挙が同時に行われる予定。
移行国民議会選挙には最終的に73政党、25個人、9連合会派の計107個人・組織の参加が認められ各組織の候補者名簿の合計は約7200人。有権者登録を済ませた18歳以上の男女の投票が認められる。
毎日新聞 2004年12月29日 21時35分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20041230k0000m030077000c.html