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公安事件とメディアの分裂 山田孝男(編集局)
自衛隊官舎ビラ配り無罪判決(16日、東京地裁八王子支部)を伝える新聞の報道は1面トップから社会面のベタ記事までさまざまだった。毎日新聞(東京本社最終版)は社会面トップ。安全保障と国民の権利の兼ね合いをめぐって揺れるメディアの分裂を浮き彫りにしたといっていい。
東京都立川市の市民団体のメンバー3人が今年1月、防衛庁立川宿舎の新聞受けに「自衛隊イラク派遣反対」のビラを投げ込み、住居侵入容疑で逮捕された。検察は起訴したが、その意図とは裏腹に、たかがビラ配りで75日間も拘置された3被告に対する人権侵害に関心が集まった。
被告の法廷闘争は「反米・反自衛隊」の政治宣伝という性格が色濃く、保守系メディアが報道をためらう理由もそこにある。意地悪く言えば、被告は無罪を勝ち取ることにより、捜査の手法と安保政策をいっしょくたにして政府をこきおろす絶好の機会を手に入れたわけである。
二つの問題を区別したい。私自身、「反戦」を盾に自衛戦争も日米安保条約も認めないという被告の主張にまったくなじめないが、それと長期拘置の当否を問うこととは別だ。拘置が長引いたのは被告が黙秘したからだというが、憲法は自白の強要と不当拘禁を禁じている。テロリストでもない被告の受難は予断を排して伝えたい。
メディアが「表現の自由」擁護へ無条件に結束する「戦後」という時代は去った。国際情勢を反映して日本社会も複雑化したのだ。現実的な安保論の追求と、思想信条を問わない基本的人権の擁護を両立させなければならない。(編集局)
毎日新聞 2004年12月27日 0時04分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20041227k0000m070088000c.html