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12/22/2004
「安上がりな戦争」byボブ・ハーバート
ニューヨークタイムズ紙2004/12/20付けコラム記事より。ボブ・ハーバートの人気コラム全文を以下に翻訳掲載。(文中リンクは訳者による)
安上がりな戦争(War on the Cheap)
by ボブ・ハーバート(BOB HERBERT)
The New York Times :Published: December 20, 2004
1999年、オハイオ州リトルトンのコロンバイン高校で二人の生徒が銃で先生と生徒達、さらには自らを撃ち殺していた頃、グレッグ・ランドは新入生だった。ランド氏はその脅威を生き抜いたが、イラク戦争では生き残れなかった。21歳の海兵隊下士官は12月11日にファルージャで死亡した。
イラク戦争を開始することに情熱を燃やした人々は、兵士達の支援体制についてはあまり関心がないらしいが、彼等は実際に戦場で戦い、苦しんで死んでいる。ランド下士官がイラクに派遣されたのは2度目だった。兵士不足から、多くの兵士達は複数の戦場を掛け持ちしており、彼等の兵役は本人の意思に関係なく延長されている。
イラクからの帰還が迫っていた兵士達は、帰郷を阻む命令から来る精神的ショックにしばしば耐えねばならない。「あんなに大勢の成人男性が泣いているのを見たのは初めてだよ」元歩兵小隊リーダーで、兵士と退役兵支援団体「Operation Truth(真実作戦)」を設立したポール・リエコフ氏は話している。
「兵士は命令されれば何でもやります」リエコフ氏は言う。「しかし、ここがゴールと言っておいて、そこから常に5メートル後ろに引き戻されたりすれば、誰でも疲れてしまうでしょう。士気にかかわりますよ」
兵士が不足している原因は、安上がりに戦争を行おうとしているからだ。ブッシュ政権は志願兵の事実上の拡大について反対しており、徴兵制度についても国民の支持を得られない。従って、同じ兵士達がイラクを行ったり来たりし、回転ドアのように繰り返す。そして、戦死、戦傷の確率は高くなっていくのだ。
その報いはやってきている。先週木曜日、陸軍州兵局は過去2ヶ月の新兵採用実績が、目標を30%下回ったことを明らかにした。州兵事務局長のH・スティーブン・ブラム中将は言う:「新兵採用はもっと困難になりつつある。以上!州兵が参加する地上戦が長引いていることが新兵採用が困難になった原因だ」
その数日前、陸軍予備軍局長のジェイムズ・ヘルムリー中将がダラス・モーニングニュース紙に語ったところでは、志願兵は「激減」しており、このままでは、徴兵の再開について検討せざるを得ないとのことである。
ブッシュ政権は、軍部に多大な要求をしているが、制服組の男女に対しては不誠実な対応パターンを確立しているようだ。彼等の兵士達に対する無神経さは、もちろん、イラクでの戦闘用装甲装備の不足について兵士が質問した際にドナルド・ラムズフェルドが示した高圧的な対応を見れば明白である。
イラク戦争がますます悲惨さを増すなかで、そこに派遣される男女のみじめさを示す徴候もより明白さを増してきている。1300人以上が戦死した。何千人もの兵士が戦傷で苦しみながら帰還している。タイムズ紙のスコット・シェーン記者が先週報じたとおり、退役軍人支援組織や軍医の話によると、すでに困窮状態にある退役軍人向け医療システムには、「ストレスと虐殺により深刻な精神障害を抱えてイラクから帰還する兵士達が殺到するかもしれない」という。
9月末までに、およそ900人の兵士が精神病を理由にイラク駐留軍から除隊させられているが、中には自殺を企てようとした者も居るようだ。1994年から1997年の間に国防医療長官補佐を務めたスティーブン・C・ジョセフ医師は言っている。「精神衛生上の影響はこの戦争の医療面での重要な問題になると強く感じている。」
イラク戦争と同様に、アフガニスタンでの戦争に関しては、専門家によれば、精神衛生上の手当てが必要な米兵の数は10万人を超えるということだ。
初期の計画段階から現在まで、イラク戦争は役人達の無能さを示す悲劇的な事例となっている。開戦への理論的根拠は間違いだった。情報も誤りだった。必要とされる兵力の見積も間違えていた。イラク国民の反応も、戦争屋達の想像したものとは違っていた。費用見積も間違いで・・・もはや間違いを挙げたらキリがないのだ。
兵士達は果敢に闘ってきたが、その犠牲はあまりにも大きい。政府上層部が現在行っているような、不誠実で見掛け倒しの待遇よりずっと良いものを、全ての兵士達は受け取る資格がある。
投稿: 02:29 午前