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12月17日付・読売社説(2)
[米情報改革法]「他人事でない『安全』への法整備」
米議会で情報改革法が可決され、ブッシュ大統領の署名で成立する運びとなった。
各情報機関を束ねる国家情報長官の新設など、大幅な情報機関の改編を打ち出している。
これほどの抜本的改革は、冷戦初期に対外情報機関である米中央情報局(CIA)を創設して以来、という。
冷戦終結後の世界は、テロや大量破壊兵器の拡散という新しい脅威に直面している。国家の安全保障戦略も、そうした時代の変化に応じたものでなければならない。安保に直結する情報活動についても、変革が求められている。
日本にとっても、他人事ではない。北朝鮮の核・ミサイルの開発や中国の軍事力増強にとどまらず、国際資源市場の動向や中東情勢、統一欧州の行方など、政治、経済分野も含めたグローバルな変化に的確に対処せねばならない。そのために情報能力の強化は急務である。
新法は、おおむね、「9・11」同時テロに関する米国の独立調査委員会の勧告に沿った内容だ。CIAなど十五の情報機関の統括責任者として、閣僚級の国家情報長官を置く。国家テロ対策センターの常設化により、国境を超えたテロへの迅速な対処も目指している。
米国の各情報機関は、四年前、事前に同時テロにつながる情報を断片的に得ていながら相互の連携を欠いた。結果的に全体像を結べず、惨禍を招いたという反省を踏まえた立法だ。組織の縦割りや官僚主義の弊害をなくす狙いがある。
だが、機構の再編だけで、情報機能の強化が実現するものではあるまい。米国は、イラクでも大量破壊兵器の備蓄の有無や戦後の見通しをめぐって、情報判断に欠陥を露呈した。情報を客観的に分析し、適切に評価して、必要な行動に反映させていくのが重要な課題だろう。
一方で、日本は、主要国の中で対外情報機関を持たない希有(けう)な存在だ。
軍事情報にせよ、ハイテク情報にせよその入手手段や、客観的な検証技術など情報活動の基盤は、諸外国と比較すべくもない。
テロ対策でも、米国など同盟国からの情報の提供に依存しなければならないのが実情だ。内閣直属の、あるいは内閣総理大臣直属の総合的な情報機関の設置が必要ではないか。
日本には、安全保障に関する機密情報の漏洩(ろうえい)を厳罰に処す「スパイ防止法」がない。それが、重要な情報の提供を受けるうえで障害になる、との指摘も以前からある。
法制化の検討も含め、情報活動で総合的な対策を打ち出すときだ。
(2004/12/17/05:06 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041216ig91.htm