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自民党の憲法改正大網策定作業を見ていて、現行憲法を作った時と奇妙に一致する点があるのに気付いた。
1946年、連合国軍総司令部(GHQ)が示した憲法草案では、国会の構成は「衆院のみの一院制」となっていた。これに対し、日本側が「チェック機能を果たす参院は必要」と反発。GHQは日本側の主張を受け入れて、現行の二院制が誕生した。
今回、自民党が作った大網素案には、衆院の優越性を強化する内容が盛り込まれた。しかし、参院側が猛反発し、結局、党憲法調査会は素案を撤回することになった。
58年前と今回。どちらも、具体案が出たところで最初に浮上した問題点が「二院制」だった。これは偶然だろうか。
注目しなければならないのは、議論を投げかけた側の思惑だ。GHQは、戦争放棄や天皇制の扱いで自分たちの考えを押し通すため、国会の構成については日本側の考えと違う一院制を持ち出し、あっさり日本側の言い分をのんだ。つまり、駆け引き材料にしたのだ。
今回はどうか。素案では、九条問題で集団的自衛権を容認し、自衛軍の設置も盛り込んでいる。天皇制問題では、天皇を「元首」と位置付け、女性天皇も認めた。今回の改憲問題の最重要ポイントは、やはりこれらの点だろう。
それなのに、参院側が反発することを承知で「衆院の優越性」を盛り込んだ。ひょっとしたら、安全保障や天皇制の問題から国民の関心をそらすため、あえて二院制の問題を持ち出したのではないか。そんな勘ぐりもできてしまう。
素案を作った議員たちの本音は知るべくもない。が、われわれ取材する立場としては、過去の歴史をかんがみ、一部の思惑には左右されずに、問題の本質を取材するよう気をつけていきたい。(古田哲也)
「東京新聞」12月16日朝刊