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http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2004/12/post_4.html
12/13/2004
避難所に集まり始めたイラク帰還兵ホームレス
UPI(United Press International)2004/12/07付け記事より。全文を以下に翻訳掲載。(記事内リンク、脚注は訳者による)
ところで、12月12日付けAP通信によれば、ブッシュ暫定大統領は健康診断の結果「少々肥満になった」ことが判明したそうだ。本人の説明では、選挙期間中にドーナッツを食べ過ぎたのが原因らしい。この診断結果を受けて、合衆国最高司令官は、新たな方針も打ち出した。本人曰く:
「体重計に乗ってから、新年に向けた私の決意はより明確になった。」
(My New Year's resolution has become apparent after getting on the scales.)
ああ、それはまた、重大な決意をされましたね、大統領殿。
避難所に集まり始めたイラク帰還兵ホームレス(Homeless Iraq vets showing up at shelters)
by マーク・ベンジャミン
ワシントン、12月7日(UPI)---イラク戦争から帰還した退役軍人達が、国内各地のホームレス避難施設で見かけられるようになり、ベトナム戦争以来の新世代ホームレスが増加する兆候ではないかと懸念されている。
「なんてことでしょう。街にはすでにイラクから帰ってきた路上生活者が居たので・・・」と言うのは、退役軍人ホームレス全国連合の事務局長を務めるリンダ・ブーン氏。「各施設には(イラク帰還兵ホームレスの件を)伝えました。実際に起きていることですが、この国はそうした事態に備えが出来ていません」
「自分のトラックでやって来たよ。荷物はまとまってる。しばらくトラックの中で生活してたんだ」海兵隊工作部隊下士官ルイス・アリラノ(34歳)は、カリフォルニアのマーチ空軍基地から程近い、U.S.VETSが運営するホームレス避難所から、電話インタビューで答えた。U.S.VETSとは、退役軍人ホームレスを支援する米国最大の団体である。
アリラノ氏の話によれば、2003年9月にイラクから帰還してから、彼はトラックで生活しながら各地を転々としていたが、ここ3ヶ月間ほどは避難所暮らしをしているとのこと。「家のある日もあれば、路上に居る日もあるよ」彼は言う。
イラクでは、榴散弾によりアリラノ氏の左親指はほとんど切断寸前だった。現在でも指を動かすのは困難だが、榴散弾の感覚は「今でも時々感じる」という。彼は左利きである。
アリラノ氏が言うには、イラクから帰還した際、手の治療と、後に自覚することになる心の治療を受ける余裕もなく、軍からあまりにも早く追い出されたように感じているという。
「大急ぎという感じだ。連中は俺達(傷病兵)をしばらく倉庫に放り込んだんだ。まるで牛扱いさ」アリラノ氏は、合衆国に帰ってきた時、軍部からどのような扱いを受けたか話した。
「全ては数字次第なんだ。質の良い対応をする代わりに、連中は期限内に全員を復員させようとしている。困ったことがあっても、連中が言うのは“退役軍人局が面倒を見ます”だけだ」
ペンタゴンはすでにイラク帰還兵への支援が遅れている事実を認識しているが、すでに状況は改善されたと説明している。(注1)
射撃手の補助として16年間を過ごし、アリラノ氏が言うには、彼は最初の湾岸戦争に従軍してからも適応してきたという。しかしイラクから帰還後は、うつ病のために米雇用均等委員会から得た仕事を辞めることになった。その後、彼は離婚もしている。
アリラノ氏によれば、軍から早急に追い出された後、退役軍人局からは対応遅れのため充分な支援を得られていないという。
「他の仲間もそうだろうが、まるで“おまえはもう現役じゃない”と軍に言われたように俺は感じた。俺たちは退役軍人局扱いになるという同意書に署名することになった」アリラノ氏は言う。
「退役軍人局に行くと、すでにそこは人で一杯だった。連中に言われた。“後ほど連絡します”それで、益々鬱になったんだ」
仕事を辞めたアリラノ氏は、3ヶ月ほど放浪し、しばしばトラックで生活することになった。
コミュニティ中心の退役軍人支援組織である退役軍人ホームレス連合によれば、毎晩30万人ほどの退役軍人が、ホームレスとして夜を過ごしており、その半数近くはベトナム従軍兵であるという。戦闘でのトラウマがどのようにホームレス化に影響を与えるのかは専門家も首をかしげるが、同連合の説明では、多くの退役軍人が、長期にわたる心的外傷後ストレス障害と薬物乱用に陥っているという。
退役軍人ホームレス支援者達は、ベトナムとイラクでの似通った戦闘体験により、こうしたイラク帰還兵ホームレスは今後増加するのではないかと心配している。
「これはベトナム従軍兵たちと同じ状況です。私もベトナムに行きました」ロサンゼルスの避難所兼薬物中毒治療施設「ニューディレクションズ」所長、ジョン・キーベニィ氏は説明する。ロサンゼルス市は2万7000人ほどの退役軍人ホームレスを抱えていると推定されており、そうした人数は国内最大数であるとのこと。「まるで歴史が繰り返されるのを目の当たりにしているようです」キーベニィ氏は言った。(注2)
退役軍人局の統計によると、昨年7月までにおよそ2万8000人のイラク帰還兵が、医療手当を申請している。その5人中1人は精神障害と診断されているとのこと。今年7月のニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン誌(医療情報誌)に掲載された陸軍研究によれば、イラクから帰還した兵士のうち17%は、大うつ病、全般性不安障害、心的外傷後ストレス障害の基準に該当したという。
自身が心的外傷後ストレス障害を抱えているかどうかについて、元工作部隊下士官でトラック内で生活するアリラノ氏は言う:「たぶんそうだと思う。悪夢を見るからね。死んでいった人達のことを憶えてるんだ」彼の話では、政府からは手の障害への手当てとして月100ドルが支払われているという。
海兵隊下士官ジェイムズ・クレイボン・ブラウン・ジュニア(23歳)は、U.S.VETSが運営するロサンゼルスの避難所に暮らしている。彼はアルファ部隊、第一大隊、第二海兵隊としてイラクで6ヶ月間闘い、その後別部隊としてアフガニスタンで勤務した。彼が言うには、イラクでの闘いは激烈だったという。
「何処でも酷いものだった」ブラウン氏は言う。「迫撃砲と戦車で支援されたが、本当にすごい銃撃戦だった」
ブラウン氏は、特に海兵隊が不注意で市民を殺した時は、戦争の精神的ストレスを自覚したという。彼の考えでは、神への信心のおかげで、正気を保ったまま帰還できたとのことである。
「何回か遭遇したんだが、民衆は国を脱出しようとしていたんだ。俺たち目掛けて押し寄せて、止まろうともしなかった」ブラウン氏は言う。「俺たちは民衆に銃弾を浴びせた。酷いことをしたよ。兵士の多くは・・・俺もそうだが・・・それで悩んでる」
「それが一番辛い部分だ」ブラウン氏は続けた。「男だけじゃなく、女性や子供・・・本当に小さな子もそこに居たんだ。腕をもぎ取られた赤ん坊も居た。とても耐えられるもんじゃない」
ブラウン氏の話では、彼は海兵隊から7月に勲章と共に名誉除隊し、故郷のオハイオ州デイトンに戻ったという。しかしまもなく彼は放浪に出て、「全てやり直すために」カリフォルニアに流れ着いたとのこと。
ブラウン氏によれば、彼自身は退役軍人局に良い印象を持っているが、仕事を探すのには苦労しており、節約のためにU.S.VETSの避難所に居るのだという。彼は学校に戻るつもりと語っていた。
ホームレス支援者達は、イラク帰還兵ホームレスの発生に警鐘を鳴らしている。退役軍人ホームレス連合によると、アメリカ全土のホームレスの内、およそ4人に1人は退役軍人であり、その75%以上は精神的・肉体的暴力問題を抱えており、多くは心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥っているとのことである。(注3)
さらに問題なのは、専門家の話では、特にイラク戦争のような、市民と敵の判別ができず、死の恐怖がいつでも四方から迫る状況の下で、新たな精神障害が群発するということである。(注4)
合衆国各地のホームレス避難所を訪問しインタビューしてきた限りでは、イラクやアフガニスタンから帰還した退役軍人のホームレスの人数は、今のところ限定されている。直近に退役軍人局の支援を受けた7,500人のホームレスの内、50人はイラク帰還兵だった。ロスアンゼルスの支援施設「ニューディレクションズ」の所長キーベニィ氏によれば、彼の施設では、陸軍エリートであるレンジャー部隊出身のホームレスを二人抱えているという。国内最大の退役軍人ホームレス支援団体U.S.VETSが運営する9つの施設で簡易調査したところでは、9人のイラク・アフガニスタン帰還兵ホームレスが居たことが判明している。他に、例えばメリーランド州ボルティモアの退役軍人教育訓練施設では、引越しなどの緊急避難用のベッド利用者(170室)のうち、イラク・アフガニスタン帰還兵は見当たらないとのことである。
退役軍人局で退役軍人ホームレス問題を担当するピーター・ダハティ氏の話では、ホームレスに陥る危険性のある退役軍人への支援体制は、ベトナム戦争以降急速に改善されてきたという。過去30年間、退役軍人局は、精神医療対応を軸に、170の病院、850のクリニック、206件の退役軍人センターまでに拡大させてきた。また、退役軍人局は、300ほどのホームレス支援施設、U.S.VETSのような一部NPOが運営している施設にも支援している。
「30年前に比較すれば、支援施設は10倍ほど行きやすくなったはずです」ダハティ氏は言う。「まず第一に、精神障害を抱えて帰還した兵士を(ホームレスに陥る前に、)保護するようにしています」ダハティ氏の話では、退役軍人局は毎年10万人ほどのホームレスを支援しているとのことである。
しかし、退役軍人ホームレス連合の事務局長、リンダ・ブーン氏によれば、一年のうちでは50万人ほどの退役軍人がホームレス状態になる時期があり、退役軍人局はその20%しか支援できていないという。
メリーランド州ボルティモアの退役軍人センター開発局長ロスリン・ハニバル・ブッカー氏の話では、彼女の局ではすでにイラクから帰還した退役軍人や、その家族からの質問を受け始めているという。ブッカー氏は言う。「イラク帰還兵に向けて準備を進めています」
(記事終わり)
(注1):実際には、米国での退役軍人への手当ては酷い状態である。退役軍人局の医療手当て支払い遅れにより、受け取り前に死亡する軍人も多い。また、出身地によって退役軍人手当の金額は大幅に異なる。(source)
(注2):関連投稿:「米国で深刻化する退役軍人ホームレス問題」(2004/06/13)
(注3):米国では男性ホームレスの3人に1人は退役軍人という報告もある(source)
(注4):男性兵士が戦闘で精神障害になる確率が非常に高いという事実を意識したわけではないだろうが、国防総省は「男女同権社会実現のため、もっと多くの女性兵士を戦闘に参加させるべきだ」と主張している。(source)
投稿: 12:33 午後