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天木直人・メディア裏読み(12月13日)イラクから帰国した自衛官の講演/米軍敗れたり ほか
http://www.asyura2.com/0411/war64/msg/645.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 12 月 13 日 17:36:44:2nLReFHhGZ7P6
 

12月13日 ◆ イラクから帰国した自衛官の講演 ◆ 米軍敗れたり ◆ 宝塚歌劇団を観劇する小泉、森、青木、扇 ◆ 「2010年問題」に備えはあるか
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□★□ 天木直人 12月13日 メディア裏読み □
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◆ イラクから帰国した自衛官の講演
◆ 米軍敗れたり
◆ 宝塚歌劇団を観劇する小泉、森、青木、扇
◆ 「2010年問題」に備えはあるか
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 ◇◆ イラクから帰国した自衛官の講演 ◆◇

 最近色々な講演会でイラクから帰国した自衛官の講演が行われているらしい。私は不思議で仕方がない。主催者側は彼らに講演で何を期待しているのか。主催者が政府広報の片棒を担いでいるのならうなずける。人道援助はうまくいっている、現地住民から感謝されている、サマワは危険ではない、などと小泉首相の政策を宣伝し、自衛隊の役割の重要性を訴えることは自明であるからだ。もっともそのような宣伝さえももはや不必要である。自衛隊の派遣延長は決定され、防衛予算についても米国の言われるままにミサイル防衛システムの5ヵ年計画が認められることになった。

自衛官の講演で聴衆は何を期待すると言うのか。サマワの気候か、サマワの住民とのサッカーや盆踊りを通じた交流か、オランダの金髪女性兵と冗談を交わし、英語が通じたと感激した話か。まさかロケット弾が撃ち込まれた時の衝撃や、テロに怯えて機関銃の引き金を引きそうになったなどという話はしないだろう。

 そう思っていたところ、11日のしんぶん赤旗に聞き捨てならない記事をみつけた。第一次イラク派兵部隊を率いて帰任した番匠幸一郎一佐(現陸上幕僚監部広報室長)が都内の講演で、派遣前の射撃訓練を誇らしげに語ったと言う。私が驚いたのはその時の彼の次のような発言である。

 「・・・5〜10年分の弾を一、二ヶ月で撃たせた。これ以上撃てないというぐらい徹底して撃たせた・・・」
 なんという思い上がった暴言であろう。イラク人から襲われた時を想定して、殺される前に殺せ、その為には撃ち損じるな、という訓練をさせたということだ。ちょっと待ってくれ。人道復興援助に行ったのではないのか。繰り返して言う。5〜10年分の弾を一、二ヶ月でこれ以上撃てないくらい激しく撃たせたと誇らしげに豪語したのだ。私は官僚であったから言う。たかが室長ごときが、これだけの権限を白紙委任されていいのか。その弾はすべて税金である。国会で訓練の妥当性について審議、追及されるべきではないか。それがシビリアンコントロールではないのか。

 そういえば確かこの陸佐はイラクへ到着した時、「陽出る国からサムライがイラクを照らしに来た」などという発言をしていた記憶がある。彼らが率いる日本の自衛隊は今年の10月に沖縄米海兵隊とハワイで都市型戦闘訓練を行っているとも報道されている。日本の防衛と何の関係もない米国の「テロとの戦い」に向けて、実践さながらの共同訓練を張り切って行っているのだ。どう考えても看過できない。


 ◇◆ 米軍敗れたり ◆◇

 ブッシュ大統領がいくら強がりを言おうとも、そして米国民の多くがそれを信じようとも、やがて米国はイラク占領に行き詰るに違いない。私がそう確信するのは、イラクに派遣されている米軍のモラルに変調が見えるからである。その一つは米軍のイラク人虐待が次々と明るみに出ている事である。アブグレイブ刑務所での虐待が明らかになった後も、ファルージャ掃討作戦で負傷した無抵抗のイラク人を米兵が「死んだ振りをしている」と言って射殺した映像が世界に流された。そして今度は米特殊部隊が拘束者をバクダッドの拘置施設で虐待していたことが発覚した。このように次々と米兵の非道な行動が表面化して来ている。戦地で非人道的な行動をとるようになった軍隊に勝ち目はない。正義のない戦争であるからこそ兵士のモラルが腐敗していくのである。

もう一つは戦地を訪問したラムズフェルド国防長官に米兵が装甲不備を直訴したことである。これに対しラムズフェルド国務長官は「兵士は与えられた装備で戦うのだ」と答えた。米国の国防長官がかつての日本帝国陸軍のようなことを言っている。この話について12日の東京新聞は次のように報じている。

「・・・イラク開戦後米兵死者は1200人を超えた。兵士には派遣期間の延長に不満もある。米兵の直訴は『薄くのび切った』米軍の現状をさらけ出した。・・・民主党のペロン下院院内総務は、長官に引責辞任を求めた。・・・直訴した米兵は現場の気持ちを伝えたとして、周囲や地元テネシー州で英雄扱いされている」


◇◆ 宝塚歌劇団を観劇する小泉、森、青木、扇 ◆◇
 
12日の各紙に小さな囲み記事がのっていた。小泉、森、青木が連れ立って宝塚歌劇に行ったというのだ。宝ジェンヌ出身の扇千影参院議長も加わっていた。なんでも森喜朗前首相が扇千影参院議長と観劇に行くと聞いた小泉首相が同行を希望したという。腹立たしい限りだ。これは旧福田派(現森派)の小泉とその兄貴分の森が、日歯連疑惑をもみ消してもらって頭の上がらない青木と一緒になって俺たち三人が結束すれば当分この国を動かせるとほくそ笑んでいる図である。観劇の後にはそろって会食までして一日中遊んでいるのだ。

因みに扇はその昔、福田赳夫に見初められて福田の力で政治家になったタレント女優だ。福田のお気に入りで付き添ってきただけの政治家が、国交大臣にとどまらず国権の最高ポストである三権の長にまでなってしまう日本の政治なのだ。

 これを報じる新聞こそ、権力を批判できない今の報道姿勢を象徴している。
「・・・首相が『歌舞伎と宝塚は日本文化の宝』(註:これは扇の亭主が歌舞伎役者だから持ち上げている)と語ると、森氏が『相撲もだよ』と応ずるなど和気あいあい・・・」(12日付東京新聞)
「・・・劇は中国・唐の玄宗皇帝が楊貴妃との愛におぼれて国の衰退を招く内容。首相は『・・・国を動かすのは大変だ、という言葉もでてきた。大変なんだよ。よくわかるよ』と感想を漏らしたという」(同日経新聞) 

報道機関はそんな暢気なことを言っている場合ではないのだ。「ふざけるな、そんなことをしている場合か!」と厳しく詰め寄るべきなのである。
13歳で非道にも拉致された娘の生存を信じて、どうか取り戻して欲しいと連日叫び続ける母親を前に、一向に動こうとしない小泉首相。悪化するイラク情勢を前に、復興人道援助しか言葉が出てこない小泉首相。まともな改革が何一つ進まず累積赤字を増やし続けている小泉首相。
12日の毎日新聞は世論調査の支持率が37%と初めて4割を割り込んだと報じている。私はいぶかしく思う。これほど無責任な小泉首相にまだ37%の国民が支持を与えている事が信じられないのだ。


◇◆ 「2010年問題」に備えはあるか ◆◇

12日付の産経新聞「正論」で、多摩大学学長の中谷巌氏が標記の見出しで、日本経済の将来を憂えている。これが事実だとしたら、後世の日本人は小泉首相の5年半を呪う事になる。しかしそれではもはや手遅れなのである。中谷氏は要旨次のように警告している。

「日本経済は実は大変な問題を抱えている。・・・2010年前後に予想される劇的な事態は『確実』にやってくる。・・・2010年ごろに何が起きるか。まず家計の貯蓄率ゼロという事態が及ぼす経済的混乱である。30年ほど前の日本の家計は23%も貯蓄していた。しかし直近(02年)の貯蓄率は6.2%に過ぎない。・・・団塊の世代が退職年齢を迎え貯蓄を取り崩す頃にはゼロもしくはマイナスになる。・・・これは日本企業の設備投資を支える資金がなくなるということだ。・・・もっと困るのは国債を発行している日本政府である。日本国債の95%は日本人が買っている。しかし家計に国債を買う力がなくなる。高金利でないと外国人投資家に日本の国債は売れないという事態が起こる。たしかに米国の貯蓄率も低い(2〜3%)が米国は軍事力、政治力、経済力で世界を牛耳っている。・・・国債金利が急上昇すれば利払いだけで日本の財政はパンクする。利払いの為には、大増税をするか、国債の日銀引き受け(紙幣の増刷)しかない。前者は国民の不満を爆発させ、後者は超インフレを招く。・・・日本にとって必要なのは、あと数年以内に財政破綻回避のシナリオを完成させなくてはならないことだ。プライマリーバランス(国債利払いを除いた歳出、歳入を均衡させること)回復のための税制改革、歳出削減、地方分権などを盛り込んだ総合的プランをつくりマーケットの信任を取り付ける必要がある。現在のような目先の議論ではこの国の将来は危ない。先見の明あるリーダーの出現が不可欠な状況だ。

要するに中谷氏は一日も早く小泉首相を引き摺り下ろし、物事のわかった首相が今の日本に緊急に必要であると言っているのだ。11日に徳島市で開かれたシンポジウムでエコノミストの紺屋典子氏が「本当の改革は小泉首相に辞めてもらうこと」と述べると会場から大きな拍手が起き」(12日付朝日新聞)、山口俊一自民党衆院議員が「小泉改革はごまかしばかりでけしからん」と発言すれば会場から「小泉さんの首をすげ替えるような覚悟でやって」と激励する女性も出たという(12日付毎日新聞)。やっとみんなが危機感を持ち始めたという事か。


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