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<TWP特報/衝撃スクープ>
『北朝鮮利権工作』をめぐって政権中枢が緊迫
小泉首相を震撼させた「飯島秘書官襲撃計画」
http://www.weeklypost.com/jp/041217jp/index/index1.html
(1) 解決までの《空白の4日間》
首相官邸に緊張が走った。去る11月2日――。
その日、公安調査庁長官が官邸に駆け込み、内閣の事務方トップである二橋正弘官房副長官に重大な報告をした。
<右翼勢力の中に不穏な動きがある。政府が隠密裡に北朝鮮への経済協力計画を進めていると激怒している。ターゲットは飯島勲・総理首席秘書官と思われる>
二橋副長官は驚き、ただちに警察庁出向の総理秘書官を呼び、情報収集を指示した。
秘書官が警察庁に確認すると、右翼団体を監視している警視庁公安部でも同じ情報を持っていることがわかった。
実は、公安当局が最初に、≪襲撃情報≫を入手して総理大臣直属の内閣情報調査室に伝えたのは1週間ほど前だったが、その段階ではまだ標的が誰なのかを公安当局も特定できていなかった。そのため、内調幹部は、
「それだけの情報では差し迫った危険があるとは判断できかねる。官邸に報告する段階ではない」――と、黙殺した。公安当局はその後、10月31日の時点で<襲撃の標的は飯島秘書官>という具体的な情報をつかみ、非公式に官邸側に伝えていた。それでも官邸は動かず、11月2日になって公安調査庁長官が官邸に乗り込む事態になったのである。
詳しくは後述するが、前日には≪秘書官襲撃計画≫と密接に関係する右翼の銃撃事件が起きていた。
信じ難いのは、11月2日の段階になってもなお、官邸では対応を決めかねていたことだ。警察庁出向の総理秘書官は飯島氏に襲撃計画の存在を伝え、ひそかに協議した。
「必要があれば特別警備体制を敷く用意はありますが、そこまでの事態なのかどうか」
警察側の判断、情報の評価は定まっていなかった。その日は即、表立った行動は取らずに事態の推移を見守ることを申し合わせた。
小泉純一郎首相に≪襲撃計画≫が報告されたのは、翌11月3日のことだった。
当日は文化の日で、小泉首相は朝から皇居での文化勲章親授式に出席していた。式典を終えて、小泉首相は飯島氏ら官邸スタッフと赤坂プリンスホテルで昼食を摂った。その席で飯島氏は自分に対する襲撃計画の情報があることを直接、小泉首相に伝えた。
「万全の対策を取れ」
小泉首相は顔をこわばらせ、即座に指示を下した。早速、官邸全体が極秘のうちに厳戒態勢を敷いた。
そうした他方で、政府・関係機関は情報の出所と背景を確認するための調査を急展開した。その結果、ある特定の組織が浮かびあがった。
情報機関筋が明かす。
「その組織は政府の対北朝鮮援助全体に怒っているのはもちろんだが、特に、10月末に日本のゼネコン10社がまとまって北朝鮮を訪問しようとしたことに憤激し、態度を硬化させていた。そのゼネコン・ミッションをコーディネートしたのが飯島秘書官だとみて、それが飯島襲撃計画に駆り立てようとしていた理由であることがわかった」
ようやく情報の震源地が突き止められた。ただし、ゼネコンの北朝鮮ミッションは現にあったことだが、飯島氏を含め、首相官邸が関与したものではなかった。
いくつかのルートから、問題の組織に対し、誤解を解くための説得工作がなされ、襲撃は未然に防がれた。
「確かに危険な兆候はあった。そこで、官邸には拉致問題の進展がないまま北朝鮮に経済協力をする意図はないことを再三伝え、理解を得た」
前出・情報機関筋は言葉少なに説得の内容を打ち明けた。振り返ると、襲撃計画の第一情報の評価と判断が、官邸内部で定まらなかったことは、危機管理上の問題として残る。
実際は襲撃計画情報が小泉首相に伝えられたのは、当局の情報入手から4日経っており、小泉首相の指示で非常警戒態勢がとられたことから考えると、危機管理上、10月31日〜11月3日の≪4日間の空白≫はそれだけ政府中枢部の危機が放置されていたことを意味している。
(2)ゼネコン3社が極秘平壌入り
飯島秘書官襲撃計画の情報が公安当局と官邸の間で“お蔵入り”していた間に、事態は急変した。11月1日午前8時過ぎ、出社する社員もまばらだった大手ゼネコン・大成建設(東京・新宿区)の本社ロビーに若い男が乱入し、拳銃を1発、発砲して応接室に立てこもったのである。約1時間後の9時前、警察の説得に応じた男は、建造物侵入、銃刀法違反の現行犯で逮捕された。男は21歳の右翼団体構成員と判明した。
犯行の動機は、「ゼネコンが北朝鮮に社員を派遣しようとしていたことを知り、抗議に行った」と供述しているという。
ゼネコン訪朝団――。
産経新聞は去る10月21日付朝刊1面に、
<ゼネコン10社訪朝計画 インフラ視察 総連が招待 出国後に突然中止>――の大見出しで報じた。
確かに、ゼネコン・ミッションは表向き中止された。ただし、10社のうちいくつかの社は北朝鮮入りしたことが本誌の取材で明らかになった。それぞれの本社からの帰国命令が間に合わなかったのか、暗黙の了解でそのままゴーサインを出していたからなのかは判然としない。10社に平壌入りしたかどうかを質した。
■大成建設
「訪朝は担当者レベルの計画であり、会社として事実を把握した段階で北朝鮮に対する世論動向、日本の状況をかんがみ、中止するよう指示を出しました。担当者には十分な注意を促しました。幹事社という報道がありましたが、弊社はそのような立場にはありません。今後、こうしたことを繰り返さないために、業務管理体制を見直す所存です」(広報室)
■ハザマ
「瀋陽まで行って引き返したのが事実です。担当者によれば、10社のうち3社が北朝鮮に入ったとのこと。担当者を戻す判断は当社の上の方で下しました」(広報室)
■清水建設
「訪朝視察団のメンバーは営業関係の部長です。当人の判断で北朝鮮入りするため出国しましたが、当社の上の者の判断で帰国させました」(広報部)
■大林組
「北朝鮮には入っておりません。それ以外に申し上げることはありません」(広報部)
■五洋建設
「北朝鮮には入っていません。日本から出国したかどうかも把握していません」(広報部)
■前田建設工業
「中国から北朝鮮に入る予定でしたが、国内世論をかんがみて当社の判断で戻しました」(広報部)
■フジタ
「北朝鮮視察は時期尚早であると判断し、戻るように指示を出し、中国から帰国させました。北朝鮮に向かったことは外部から問い合わせがあり知りました」(広報IR室)
■東亜建設工業
「当社の社員は中国まで行き、そこでの視察団の協議の結果、現地解散しました。その後、北朝鮮に入ったかどうかはコメントできません」(広報室)
■鴻池組
「瀋陽まで入ったのは事実ですが、あとは把握できません。それ以外はお答えできません」(広報課)
――という各社の回答だったが、平壌入りしたという3社のうち、西松建設だけがその事実を率直に認め、こう答えた。
「当社社員が北朝鮮に行ったのは事実であり、たいへん遺憾であります。皆様に誤解を招くような行動を取り、ご迷惑をおかけ致しました。申し訳ございません」(総務部)
残る2社のうち1社は、瀋陽入りした担当者と連絡がとれず、平壌まで行ったことを非公式に認めた。
(3)「日本の援助で中・韓が潤う」
総理首席秘書官襲撃計画までが飛び出したゼネコン・ミッションとは、何のためだったのか。ミッションに参加した1社の役員が訪朝目的をこう語った。
「政府が国交正常化に向け舵を切った以上、ゼネコンとしてはその先のビジネスを見越して北朝鮮のインフラ事情を見ておくことは当然です。国交正常化が実現すれば、北朝鮮にはダム、発電所、道路、橋、港、鉄道などが必要になる。そうしたビジネスの可能性がどの程度あるか、現地で確かめるためだった」
確かに慢性的電力不足に悩む北朝鮮だけに、それだけでもゼネコンには垂涎のビジネスチャンスかもしれない。
在日本朝鮮人総連合会の元中枢幹部が興味深い分析をしてみせる。
「日本企業には相当な焦りがあるのではないか。現在、北朝鮮が開発を予定している豆満江沿岸では中国国境沿いに経済特区をつくる計画が進められている。そこでの開発事業は中国企業が取る。韓国との間でも特区開発が進み、このままいくと大規模土木事業のほとんどは中国と韓国のゼネコンが持っていくだろう。日本が経済援助をしても、日本企業に受注させるひもつき援助では北朝鮮が呑まない。1兆円とも2兆円ともいわれる日本の援助資金は、中韓の企業に吸い取られる。彼らもそれを当て込んで開発計画をもちかけている。第一、日本のゼネコンが北で現地の農民を雇っても働かない。かたや中韓の企業は大量の労働者を自分の国から連れていける。今、北朝鮮ではこれまで政府、労働党、軍、社会主義労働青年同盟(社労青)の下で別個になされてきたプロジェクトを政府に一元化し、金正日体制の再編強化が進められている。日本のゼネコン・ミッションは、従来の人脈は役に立たないとみて、新体制下のパイプづくりのために焦って訪朝したとみて間違いない」
以上から類推すると、中韓企業が北朝鮮の開発プロジェクトに深く食い込んでいる現実はあるものの、北朝鮮の権力基盤が流動化しており、先行きの不透明さもうかがえる。ゼネコン・ミッションの派遣は、時機を得ていたとは思えない。
前出のゼネコン役員が気になるひと言をつけ加えた。
「今回の訪朝は拉致問題などで北朝鮮とパイプを持つ自民党の代議士から打診された」
当の議員は本誌に、
「事実無根。回答するに値しない」――と、全面否定した。
国交正常化も、援助事業も、こと日朝関係では拉致問題解決がすべての入り口であることを忘れてはならない。