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核心
2004.12.10
支援より『安全第一』
自衛隊イラク派遣
イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊活動の基本計画変更により、派遣期間の一年延長が九日に決まった自衛隊。イラク国内では、来年一月末に予定される国民議会選挙に向け、治安が一層悪化する可能性があり、陸上自衛隊の部隊が駐留する南部サマワも安心できない。自衛隊による復興支援活動に対し、地元では不満もくすぶり、最大の任務は自らの「安全確保」との声さえある。復興支援活動、安全確保対策を検証すると−。 (政治部・清水孝幸、梶雅一)
■活動 地元に失望感も
サマワに駐留する約五百七十人の陸自隊員の業務は、給水と公共施設の復旧・整備、医官らによる医療支援の三種類だ。
給水は、住民に直接水を与えるのではない。隊員の安全確保を優先する観点から、宿営地内で浄水施設から給水車に行い、その配分は地元業者に任せている。
公共施設の復旧・整備では、宿営地から百キロ程度先まで出張することもあるが、テロに狙われやすい土木作業はイラク人が行い、自衛隊員は指導・監督や測量、施工管理、行政当局との打ち合わせなどを担当。しかも、隊員が現場に赴く時は、警備隊員が事前に周辺に不審物がないか捜索するなど、厳重に警戒する。
自衛隊の復興支援活動は「隊員が地元のニーズを聞いて実施するため、きめ細かい半面、大規模なものはできない」(政府関係者)のが特徴。発電所建設など大規模な事業は、政府開発援助(ODA)の円借款を待たなければならないが、治安状況などから実施のめどは立たない。地元には自衛隊の活動への失望感も見られ、宿営地への砲撃も不満を持つ一部部族が関与しているのではないかとの見方もある。
■対策
サマワは比較的治安が安定しているというが、宿営地を狙った砲撃が四月に二回、八月に四回、十月に二回の計八回あった。うち二回は敷地内に着弾しており、自衛隊は宿営地内の安全確保対策にも細心の注意を払っている。
まず第一は、隊員の宿舎。鉄製コンテナを二段重ねにし、隊員は下段に寝る。天井や周辺に土のうを積み、砲撃に耐えられるかどうか実験までした。さらに、その周りに装甲車を止めて、弾よけにする念の入れようだ。
ただ、十月三十一日の砲撃の際、ロケット弾が清涼飲料水などを保管する鉄製コンテナを貫通。昼間、隊員が出入りする場所だけに、「要塞(ようさい)」と呼ばれる宿営地の“盲点”を露呈した。また、八月からは監視用の無人偵察ヘリを持ち込み、警戒を強化。だが、犯人の姿をとらえることはできず、抑止効果すらなかった。
政府は派遣延長に合わせ、来春には砲弾の角度や速度から発射地点を予測する対迫撃砲レーダーを宿営地に備える。しかし、隊員の安全確保のために検討してきた派遣人員の増員は見送られ、安全確保対策に手詰まり感も漂う。
■後継 オランダ撤退後の治安不透明
安全面で最大の不安材料が、サマワの治安維持を担ってきたオランダ軍が来年三月に撤退することだ。後継部隊は英軍となる見通しだが、「英軍にはサマワに部隊を回す余裕はない」(外交筋)との指摘もあり、いまだ合意は得られていない。
こうした中で、サマワを州都とするムサンナ州警察のカリム・ミナヘル本部長は今月四日、「われわれはムサンナ州も、陸自宿営地も守ることができる」と述べ、“後継部隊”の第二の候補に名乗りを上げた。
オランダ軍による地元警察の訓練は進んでいるが、宿営地への攻撃に対する地元警察の捜査が実を結んだ例はない。「英軍などの指導がない限り地元警察に(治安維持を)任せるのは不安」。政府関係者からは、こんな本音も漏れる。
最後の選択肢は米軍だが、ファルージャなどイラク各地で戦闘を繰り広げる米軍がサマワに駐留すれば、反米感情が高まるのは必至。逆にテロを誘発し、自衛隊も標的にされかねない。
三月以降の治安維持はだれが担当するのか。最も大事なことも決まらない中で、政府は一年間の派遣延長を見切り発車した。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20041210/mng_____kakushin000.shtml