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社説:
ニセの遺骨 何という卑劣な仕打ちだ
ジェンキンスさんが佐渡島に渡り、多くの国民が曽我ひとみさん一家の新たな門出に声援を送る中で、北朝鮮への大きな怒りと不信を募らせるニュースが飛び込んできた。
11月に平壌で開かれた第3回日朝実務者協議で、北朝鮮が日本側に引き渡した遺骨が、帝京大学法医学研究室のDNA鑑定の結果、横田めぐみさんとは別人のものだと分かったのだ。
横田さんの両親らにとっては、ある意味では朗報だろう。横田さんに生きて会う希望をつなぎとめることができたからだ。
しかし、北朝鮮という国に対しては言葉を失うばかりだ。他国の何の罪もない人を拉致するという国家犯罪を犯し、最高首脳がそれを認めて謝罪し、再調査を約束したにもかかわらず、実務者協議を通じて差し出してきた「物証」がこの有り様だ。
小泉純一郎首相は記者団に「極めて遺憾だ」と強い不快感を示した。ただちに政府として北朝鮮に強く抗議し、どうしてこのような事態となったのか、きちんと説明を求めるという。当然である。
実務者協議では、北朝鮮は死亡したとされる横田さんら8人の拉致被害者の調査資料を提出した。人骨は「横田めぐみさんの遺骨」だけで、北朝鮮側は横田さんの夫とされるキム・チョルジュンさんが横田さんの土葬から2年半後に墓から掘り起こして骨を焼き、つぼに保管していたと説明していたが、横田さん以外の7人の調査結果の信ぴょう性も疑われる。
今回の事態は、金正日(キムジョンイル)総書記が尊重する意向を示している日朝平壌宣言に反する。平壌宣言は「日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む決意を表明した」とうたっている。ニセの遺骨を渡すことが「誠意」であるはずはない。日本の政府と国民を愚ろうする行為だ。
5月に小泉首相が訪朝した際に金総書記に約束した食糧などの人道支援も、残りの12万5000トンの提供を見送るのは当然である。国民がそれを許さない。
「対話と圧力」という北朝鮮への対処方針のうち、こんなことでは「対話」が成り立たなくなる恐れが出てくるだろう。
だとすると、北朝鮮に対して経済制裁に踏み切るべきだとの声が高まるのも自然のなりゆきだ。拉致被害者の家族会らは、政府に強く制裁を求めている。北朝鮮の今後の出方によっては、改正外為法や特定船舶入港禁止法の発動を検討すべきだろう。
日朝協議をこれからどうするのかも、大きな課題となりそうだ。国民の北朝鮮への不信感を取り除けないなら、日朝実務者協議を重ねても意味がない。外務省は北朝鮮との協議のあり方を再検討しなければならない。
北朝鮮が拉致被害者のニセの遺骨を出してきたのは今回が初めてではない。松木薫さんの「遺骨」に続いて2回目だ。家族ら関係者の心情は察して余りある。
北朝鮮に対し、怒りを込めて抗議する。
毎日新聞 2004年12月9日 0時28分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20041209k0000m070149000c.html