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天木直人・メディア裏読み (12月6日) 「名声」夢見るブッシュ大統領/ イスラエルの核  ほか
http://www.asyura2.com/0411/war64/msg/143.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 12 月 06 日 20:49:23:2nLReFHhGZ7P6
 

12月6日 ◆ 「名声」夢見るブッシュ大統領 ◆  イスラエルの核 ◆  不毛な国会が終わって自衛隊派遣の延長だけが残る ◆  歯止めがない自衛隊の暴走 ◆ 小泉首相と徳川慶喜 ◆ 嘘をつく外務官僚、米国を弁護する外務官僚 ◆ 人間らしい表現が我々を感動させる
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□★□ 天木直人 12月6日 メディア裏読み □
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◆ 「名声」夢見るブッシュ大統領
◆  イスラエルの核
◆  不毛な国会が終わって自衛隊派遣の延長だけが残る
◆  歯止めがない自衛隊の暴走
◆ 小泉首相と徳川慶喜
◆ 嘘をつく外務官僚、米国を弁護する外務官僚
◆ 人間らしい表現が我々を感動させる
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◇◆ 「名声」夢見るブッシュ大統領 ◆◇
 
ポール・ケネディという米国イェール大学教授が5日付の読売新聞「地球を読む」に興味深いことを書いていた。

「再選を果たしたブッシュ米大統領が、歴史書の熱心な読者でない事はよく知られている。そのブッシュ氏が、最近宰相ビスマルクの足跡に強い関心を抱いているという話をある同僚から聞かされた・・・」

 歴史を知らないブッシュが、1862年から90年にかけてプロシア王国を揺るぎない欧州のドイツ大帝国にまで引き上げた希代の政治家のどこに関心を持ち始めたのか。ケネディ教授の言葉を借りれば、ビスマルクの偉大さは、一旦所期の目的を果たすと、国家間の理解の方向にその外交政策を転換し、もって全欧州に戦争が起きることを不可能にしたことであるという。

そしてケネディ教授はこう続ける。
 「・・・この方向に、二期目のブッシュ大統領が行くかどうか定かではない。・・・上下両院を手中に収め・・・明確に右傾化を容認する支持票を得た(他方で)失意のある民主党は殆ど口出しできない。・・・(そんな中にあって)第二次ブッシュ政権はさらに『革命的』になるだろうと米有力紙の一つは指摘しているが・・・むしろ反対に選挙の勝利で安定を得たブッシュ大統領は、国際社会に『オリーブの枝』を差し出して皆を驚かせるかもしれない・・・」

 その理由としてケネディ教授は次の点を上げる。
1. ブッシュ氏が望むのはかつてのルーズベルトやケネディのような世界的指導者の名声であって、西側同盟の破壊者ではない。
2. 「イラク人を親米的な同盟者に変えるのは簡単だ」という間違った助言を聞かされたことに怒っている。
3. いまやブッシュ氏は国際的支持を必要としている。国連と安保理主要国の助けがなければイラクの大混乱、破局的なイスラエル・パレスチナ紛争、対テロ戦争などに対応できない。
4. 貿易と予算の巨額な双子の赤字はいやおうなく、諸外国の財務省と米国債購入者たちの支持を必要としている。かくも大きな赤字に陥った事を憂慮していない経済専門家や銀行家は一人もいない。それどころか恐怖に恐れおののいている。

最後にケネディ教授はこう締めくくっている。
「・・・かくして(戦争好きの前半部分のビスマルクではなく、安定をもたらし、国際外交に新しい命を吹き込む)第二のビスマルクという選択肢が残る。
 私もブッシュ大統領の選択肢はそれしかないと思う。しかし歴史書を読まないブッシュはビスマルクにはなれないだろう。さらなる混乱とおびただしい人命の犠牲の後になって初めて気付くしかないような気がする。

毎週末テレビでは様々な政治家や評論家が小泉首相の内政・外交の是非をめぐって大論争を繰り広げている。その一方で肝心の小泉首相は何も語らない。4日(土)の首相動静を新聞で見ると、「終日、公邸で静養」、とか「終日、音楽鑑賞などして過ごす」とある。5日(日)も休養とセレモニー出席だけである。不勉強な人間は事実の前に謙虚になれない。だから間違いを繰り返す。


◇◆ イスラエルの核 ◆◇

イスラエルが早くから核兵器を開発し今では米、ロシアなどについで最大の核弾頭を保有している国であることは暗黙の了解であるが、12月4日付朝日新聞は全面2ページを費やして、このイスラエルの核保有状況について特集記事を組んだ。私の知らなかったことが多く極めて参考になった。以下私が興味を持った点を列記する。

1. 米国ははじめからイスラエルの核を容認していたわけではない。むしろ50年代はイスラエルへの武器禁輸政策を維持し、60年代初頭、ケネディ大統領はイスラエルの核武装に警告しているほどである。米国がイスラエルの核の黙認に転じたのは、69年、ニクソン大統領とメイヤー首相との間で「イスラエルの核問題には一切言及しない」という密約が出来てから。
2. 最初にイスラエルに技術供与したのはフランスである。すなわちフランスは56年、研究用原子炉を供与している。60年にはネゲブ砂漠ですでに臨界実験に成功。米ニューヨークタイムズ紙が「イスラエルが仏の支援でプルトニウム生産原子炉を建設している」と報道。
3. イスラエルの保有する核弾頭について、4日の朝日新聞では100前後と推定している。他方イスラエル核工場の技術者であったバヌヌ氏は86年に亡命先のロンドンで200発近い核弾頭を保有していると証言した。エジプトのアハラム戦略研究所のサイド所長は4日の朝日新聞のインタビューでは150発という具体的な数字を挙げている。
4. 73年の第4次中東戦争でエジプトに先制攻撃されたイスラエルは、劣勢を覆す為に核兵器の実戦配備に動いた。この点についてイスラエルの歴史家コーエン氏らは、核配備は単に米国の関与を促す為のメッセージだけではなくエジプトの奇襲がイスラエル都市部にまで攻め入ることになれば戦術核で反撃する事になった可能性もあったとしている。ペレス元首相も朝日新聞のインタビューで「核がエジプトの進軍を阻止した」と語っている。

 イランの核疑惑が高まる中で、中東こそが核が現実的に使われる可能性の最も高い地域になってきたようだ。

 
  ◇◆ 不毛な国会が終わって自衛隊派遣の延長だけが残る ◆◇

 12月3日に終わった国会の翌日、各紙は一斉に今度の国会の論戦の低調さを嘆いて見せた。しかし、その最大の理由が小泉首相の無責任な対応にあったことをズバリと批判した大手新聞はなかった。言いたい事をはっきり言わない中途半端な新聞の解説記事を読むよりも、12月2日の参議院決算委員会の次のやり取りを知るだけで十分だ。しんぶん赤旗が掲載する小池議員と小泉首相のやりとりである。

 質問「総理はこのファルージャ攻撃を『成功させないといけない』と言った。日本が国際人道法違反(註:国際人道法―ジュネーブ条約―では民間人、住民、病院に対する無差別攻撃は禁じられている)を認めたことを世界に表明したことになる」
 答弁「・・・選挙を成功させる為テロリストを排除しないといけない」
 質問「残虐兵器使用を止めるべきだと一度でもブッシュ米大統領に言ったことがあるのか」
 答弁「そういう話はしていない。テロリストの思う壺にはまったらどうなるのか。われわれがもっと不安に陥る事も考えないと・・・」
 質問「この戦争は何だったのか。大量破壊兵器は存在しなかった。国連憲章は踏みにじられた。残虐行為も数限りない。日本をこんな戦争の共犯者にしたことをどう考えているか」
 答弁「フセイン政権が存在していたらどれだけイラク国民が被害を受けたか、世界に脅威を与えたかという点も考えなきゃいけない」

 こんな答弁を繰り返す小泉首相は12月10日の閣議で自衛隊派遣延長を決める。そして一方的な記者会見で次のように繰り返すに違いない。イラクの復興支援を途中で放棄することは無責任だ。困難ないまこそ支援を続けイラクの安定化に貢献すべく延長を決定したと。

しかし12月8日号のニューズウィーク誌はこう書いている。
「本誌が独自に入手した資料によれば自衛隊はイラク復興支援の際携行する自動小銃を、戦闘に備えて迅速に使用できるように改造するよう『改造指令書』を配布している。また来年2月以降にイラクに派遣される部隊が今年の10月にグアムで行った米海兵隊との合同演習では市街戦を想定した訓練であった・・・」

小泉首相がいくら「人道支援援助に行くのだ」、「戦闘に行くのではない」と叫ぼうと、自衛隊はそれと反する事を現実に行っている。すでにイラク特措法を超えてしまっている。小泉首相はウソをつき続け、その間に日本はもはや自己統制できないところまで来ているのだ。


◇◆ 歯止めがない自衛隊の暴走 ◆◇
 
新幹線の京都駅でたまたま買った12月5日付京都新聞の一面トップを見て驚いた。陸上自衛隊の幹部職員が自民党憲法調査会の改憲案作成を手伝っていたというのだ。翌日6日の各紙朝刊もこれを一斉に後追いした。

報道を要約するとこうだ。自衛隊出身で元防衛庁長官を歴任した中谷元衆議院議員は自民党憲法調査会の起草委員会座長である。その中谷氏の求めに応じて、陸自幕僚監部の二等陸佐が集団的自衛権の行使を可能とする条文案などを提出、結果として自民党の憲法改正案にすべて反映されたという。

これは文民統制からの逸脱である。憲法99条でいう公務員の憲法尊重擁護義務違反、自衛隊法違反である。
このような事実が明るみに出た以上国内が大騒ぎにならなければこの国はいよいよ危うい国になりつつある。


◇◆ 小泉首相と徳川慶喜 ◆◇

5日付読売新聞の「政思万考」というコラムで浅海伸夫編集委員のつぎの文章が面白い。

「ある自民党の長老は、三位一体改革の混迷振りをみて、『地方の意見を聞くとは、明治以来なかったことだ』と嘆いた。・・・長老にご説明に来ていた総務省の課長がこう言葉を返した。『幕末にはございました。ペリーが来航したとき、老中阿部正弘が諸藩に和戦をめぐり意見を求めております』
長老は大笑し、そして言った。『そのあと、幕府は滅びてしまったじゃないか』・・・小泉自民党は果たして大丈夫なのだろうか。自称『傘張り浪人』亀井静香・自民党元政調会長は、『下手をすれば、小泉さんは徳川慶喜になる』と言っている・・・」

小泉さんは大丈夫だと思う。なにしろ地方の意見を聞く振りをして聞いていないからだ。そして何よりも野党第一党の民主党に自民党を倒す意思もパワーも感じられないから。


◇◆ 嘘をつく外務官僚、米国を弁護する外務官僚 ◆◇

まったく外務省は変わっていない。こんなことは私が外務省にいた頃に嫌というほど見せ付けられてきたが、いつまでたっても治らないと見える。

その一つは嘘をつく外務官僚である。5日付の読売新聞は、ラオスで11月30日に行われた小泉首相と中国の温家宝首相との会談内容について、当初外務省が公表した内容と実際の会談内容が食い違っていたことが次々に明らかになっていると報じている。たとえばODAに関する首脳会談のやり取りについては、外務省のブリーフに基づいて書かれた報道では、温首相が「ODAは中国の経済建設に大きく貢献してきた。今後、適切な形で処理していくのがいい」とODA打ち切りに理解を示したことになっていた。ところが実際は「理解しがたい。ODAを中止すれば両国関係は、はじける」など強い不快感を示していたというのだ。

また靖国神社参拝について温首相は「中国のことわざには『鈴をとくのには鈴を結んだ人しかできない』とある。適切に対応して欲しい」と小泉首相に態度の変更を迫っていたのに、外務省は「適切に対応して欲しい」としか発表しなかった。国内の対中感情の悪化を避ける配慮から発表を小細工したのである。

もう一つ。3日付のしんぶん赤旗は、外務省の沼田貞昭沖縄担当大使が1日に行った離任の記者会見の発言を掲載している。沼田大使はつぎのような発言をしたという。

「沖縄県民は目を外に向けて、安全を当然視できない今日の世界を直視してほしい。米軍に常に抗議するのではなく、相互通行の対話をして欲しい」
「沖縄を含む日本の平和と安全に米軍が役割を果たしてきたのは事実だ」
「在沖縄米軍は必要が生じれば自ら命を危険にさらすことも覚悟している。彼らの立場にも思いを致して欲しい」

そういえば今年のはじめ講演で沖縄を訪れた時、沖縄の人達が嘆いていた。「沖縄大使の役割ってなんですかねえ。沖縄県民の要望を日本政府や米国政府に伝えて実現するのではなく、我々を黙らせようとばかりしている」
全くそのとおりである。国民のためではなく、米国の為に仕事をしているのだ。そしてその給料は国民の税金から出ているのだ。


 ◇◆ 人間らしい表現が我々を感動させる ◆◇

 政治家が語る言葉がまったく説得力がなくなってしまっている今日、普通の人の言葉に光るものを見つけることが出来る。

5日の毎日新聞別冊に川井龍介というノンフィクションライターの言葉が載っていた。「いつもそばに音楽が」という題の短い随筆のその一部である。

 「・・・ファルージャ。この名前を新聞で見るたびに気分が重くなる。そして、怒りとやりきれなさがこみあげてくる・・・9歳の少年が爆弾の破片を腹に受けた。戦闘のさなかであり両親は彼を病院に連れて行くことが出来ず、シーツで出血を止めようとしたが、数時間後彼は死んだ。ずいぶん苦しかったろう・・・アメリカを支持し後押しする政府を作り上げたわれわれは、結果として9歳の少年が殺されるのを是としたことになる。多くのイラク人を『仕方がない』と見殺しにしているのだ。暴力を前に人はなんともろいことか。暴力は空しく、何も解決しない。ロックのスーパースター、スティングがアコースティックなギターの音にのせ、美しく悲しげなバラード『FRAGILE(もろい、はかない)』を発表したのが17年前。今も多くのミュージシャンによって歌い、演奏されている。弱いものが傷つく一方で、ブッシュが再選され、フセインはまだ生きている。いったい正義とは誰のためにあるのか」

 12月8日号のこの記述も感動的である。
「・・・米海兵隊のラッセル・スレイ二等軍曹は駐留中のイラクから5歳の息子に手紙を書いた。そのなかに次の言葉があった。
『勉強に励みなさい。軍隊には決して入るな。パパは心からお前にそう言っておく』
この手紙が家族の元に届いた直後、スレイ軍曹は武装勢力との戦闘で死亡した・・・」


 
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