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(回答先: 北朝鮮問題で専門家中野有氏の4つのシナリオ説を紹介し賛意表明 投稿者 木村愛二 日時 2004 年 12 月 19 日 23:02:59)
経済制裁によって北朝鮮を征伐せよとの大合唱が起こっている。バカげたナショナリズムの発露である。失政の責任を外に向けようとする小泉一派にまんまと利用されている。
そもそも、拉致問題に関する責任追及がまったくなされていないのはなぜか。ある犯罪事件が起こったら、その責任は第一義的に起こった国の治安当局にある。日本の領土内から連れ去られた場合であれば、それを予防あるいは阻止できなかった日本の治安当局(公安、警備、刑事警察、海上保安庁など)の責任である(むろん拉致した北朝鮮は、イラクなどで暗躍しているCIAやモサドと同様、極悪非道であることは言うまでもない)イラク国内で人質拉致、斬首事件が起これば、まずはイラク暫定政府、または占領統治している米軍当局の責任である。殺された人質の家族は、アラウイやブッシュに対して損害賠償の訴訟を起こす権利があるはずだ。
ところが、何十人もの日本人が北朝鮮の工作員や日本側の協力者にたやすく拉致されていて、その責任の所在が国会などで論議されたとはまったく聞いていない。ほぼ犯人が分かった段階、つまり北朝鮮の犯行であると一般に分かった1880年代、ことに警察庁が公式に北朝鮮の犯行と認め、さらに重要証人の八尾恵が神奈川県警に逮捕された1988年以降も、治安当局への責任追及もなく、沿岸警備もようせず、万峰号を堂々と新潟港に接岸させて工作員の出入を放置したままだった。政府は北朝鮮の非道な侵犯行為に対して国際的な場へ訴えるような外交努力もしなかった。最近、対共産圏を担当していた元公安官僚と知り合って会話を交わした時にも聞いたが、どうやら当時の公安当局は、善く解釈しても、証拠を掴むために容疑者を泳がせて情報を得ることばかり考えていたらしく、得た情報を活かして実際に犯罪を防止したり犯人逮捕まで漕ぎ着けるという肝心なことは軽んじていたということが分かった。情報収集という名目で金ばかりふんだんに使っていたらしい。
過去の怠慢、あるいは利権がからんだ“故意の放置”に頬かぶりして、今ごろ一斉に金正日を非難しても遅いのだ。拉致被害者もその家族も、日本政府の過去の無策ぶりを批判すべきなのに、阿部晋三や中山参与に頭を撫でられ、VIP待遇を受けてお涙ドラマのヒーローになって、政府の対北キャンペーンに一役買うことで終わったのである。このキャンペーンによる北朝鮮との緊張激化は、イラクへの派兵問題に巧みに利用された。
日本国民による事実解明や当局の責任追及への努力はそのまま北朝鮮の責任追及につながる。さらに言えば、かつての太平洋戦争の敗戦責任を追及すれば、結果的に北朝鮮や韓国、中国の歴史問題や靖国問題に関する対日政策を封じることができるのと同じだ。援助にせよ制裁にせよ、もはや日本は経済を外交の武器にして甘んじる時代ではない。そんな身分でもない。実際に、日本はいくら財政的に米国を支えても、米国の言いなりになるばかりではないか。イランの油田開発交渉はどうなったのか。最近、台湾有事の際には米日共同で防衛すべきだと、アメリカが打診して来ている。来年早々、中国でロシアの軍隊と中国人民解放軍が史上初の大規模な合同演習を行う。小泉はどうするか。