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「ハッサン、カリファ誘拐人質事件 キークエスチョンは謎のまま」
Kim Sengupta and Raymond Whitaker 21/11/04
イラクで人質にとられたポーランド女性が、昨日ワルシャワで記者会見に応じ、
よい待遇を受けたと語ったが誘拐と開放についての詳細は返答を避けた。
テレザ・ボルクス・カリファの開放は、誘拐犯に殺害されたと思われる
マーガレット・ハッサンの謎に包まれた状況を一層深めた。
昨日はファルージャで発見された遺体を巡るさらなる混乱があり、今でも
バグダットのイラク高官を含む多くの者がハッサンの死の証拠不在に
固執している。
ハッサン夫人とカリファ夫人の事件には類似点がある。両者とも50代、
長期に渡りイラク在住。イラク人と結婚し、出生地の国籍を保持したまま
イラクの市民権を取得している。
しかしケア・インターナショナルのイラク局長を務めるハッサン夫人の
誘拐には国内デモも含めて抗議が広がり、多くの人質を斬首している誘拐
グループと繋がるザルカウィすら解放を呼びかけたのに対し、カリファ夫人
に対しては大きな声があがらなかった。
豪州首相ジョン・ハワードが、ファルージャで発見された惨殺体がマーガレット・
ハッサンのものであると言及した後に声明を打ち消したとき、混乱は頂点に達した。
外交筋は検死のためにヨルダンに運ばれた遺体が、夫人のものでないことを明らか
にする。そしてその情報が流れるやいなや、西洋人女性と思われる第二の遺体が
米海軍により発見されたとの情報が軍筋から流れてきた。
ハッサン夫人の悲運に関する概要は、アラビア語の衛星局アル・ジャズィーラ
が受け取ったビデオに基づいている。カタールの英外交官によると、英国人
人質が銃殺される模様が記録されているという。英外務省は一連の分析ののち、
殺害ビデオに間違いないと判断した。しかしながら犠牲者の顔は目隠しで
覆われており、彼女であると断定できる証拠はない。
誘拐状況そのものも謎である。イラクで起きた他の営利目的、政治的目的
人質事件のパターンにはまらず、170人に上ると見積もられる外国人
拘束事件とすら、マーガレット・ハッサンのケースは一線を画している。
ハッサン夫人がトニー・ブレアに英軍イラク撤退を訴えた初期のビデオが
出てからも、犯人側からなんの要求も行われておらず、どのグループからも
犯行声明が出ていない。そして他の女性人質と違い、ビデオのハッサン夫人は
イスラムのスカーフを被っていない。
同じくアル・ジャズィーラに登場したカリファ夫人も祖国の軍隊撤退を訴え、
どちらの政府も犯人側の要求を退けたが、ポーランドは2400の兵を駐留
させているのにカリファ夫人は解放された。
「解放には政府の各種機関がかかわり、多くの外国当局が協力した。2つの
理由から、この事件の詳しい状況を述べることができない。1つは国民の
安全配慮のため。そして我々のパートナーたちが救出作戦の詳細が漏れる
ことを強く懸念しているためだ」昨日マレク・ベルカポーランド首相は
こう述べるに留まった。
祖国から同胞の西洋人人質の運命を一身に見守る目は、この誘拐事件が外国人
を対象とした事件の中ですら典型から外れる事実に気付いていないようだ。
拘束された多くの非イラク人は西洋人ではない。下請け契約で働きに来た
貧しい国の人々で、同盟軍とも彼らと契約を結ぶ復興企業とも関係ない。
拘束殺害されたトルコのトラック運転手やパキスタンの清掃人もここに属し、
8月に殺害されたネパール人9人のように、名前すら明らかにされない
ケースもしばしばある。
しかし誘拐事件のイラク人犠牲者数は、外国人のそれを大きく上回る。
数百、数千が身代金目的で誘拐され、中流クラスのイラク人たちが国を
後にしているというのに、この現象は海外で報道されていない。
拘束直後に殺害されるイラクの警察官、国軍兵士の数が増え続けている
現象だけが唯一耳目を集めている。
過去7日間で唯一報道されたのが、新任警官31人がヨルダン国境に近い
ルトバで誘拐された事件である。詳細は不明のままで、もしこの人数で
なければ海外で報道されることもなかっただろう。
最も身の毛のよだつ斬首という方法さえ、今や普通のこととなりつつある。
モスル制圧で戦っているアメリカ軍が、昨日地元の人間とみられる頭のない
4遺体を発見したとのニュースは、戦争の余波に苦しめられているイラクの
人々の様子をまたひとつ浮き彫りにした。