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社説
11月26日付
■サマワ国会――これでは何も分からぬ
ダチョウのように砂のなかに頭を隠す、という言い回しが米国にある。都合の悪い現実が現れると、それから目をそらしてしのごうとするという意味だ。
昨日の衆院イラク復興支援特別委員会での小泉首相の答弁ぶりは、その言葉を絵に描いたようだった。
イラクのサマワに駐留する陸上自衛隊部隊の派遣期限が来月14日で切れる。それを延長するとすれば、来月初旬には閣議で決めなければならない。この日の審議は、その前に首相が国会の場でみずからの考えを語る大事な機会だった。
サマワはこれからもイラク特措法に基づく「非戦闘地域」と言えるのか。
この1年間の活動はイラク全体の復興にどれだけ役立ったのか。
派遣を延長あるいは打ち切った場合の外交的な得失は何か。
それらの答えを首相から十分聞くことが、この審議の目的だったはずである。結果は予想通りというべきか、耳慣れた言葉以外の答弁は返ってこなかった。
来年1月に予定される暫定国民議会選挙を前に米軍が行った大攻勢が民衆の反発を招き、武装勢力の活動も地方に広がっている。サマワは大丈夫なのか。
首相は答えた。「サマワは現在は非戦闘地域だ。将来百%安全であるとは断言できない」。派遣を延長するかどうかは「12月14日までに決める」。
現地の情勢の先行きを読むのは確かに難しい。だが、人的な被害はなかったものの、自衛隊宿営地には砲弾が何度か着弾している。国民の多くは新たな攻撃があるのではないかと、本当に心配している。百%安全でないなら、ではどうするのか。そこを聞きたいのだ。
自衛隊の仕事ぶりについては、与党の公明党議員が質問でわざわざ「もっと国民に具体的に伝えないと」と水を向けたのに、答弁は「もっと広報する必要がある」。これでは分からない。
1年前、自衛隊の派遣を始めるに際して、首相は日米同盟への配慮を語った。自民党内や外務省内には北朝鮮の脅威に備えるためにも米国の期待に添うべきだという議論が盛んだった。では、現時点での評価はどうなのか。ここでも、首相の答えは「国際協調と日米同盟の両立」の一点張りだった。
首相はどうやら、閣議で延長を決めた後に記者会見をして、国民に発表しようという腹構えのようだ。それまでは、ひたすら派遣への批判や疑問をかわし続けようということなのだろう。
しかし、考えてもらいたい。最近の多くの世論調査では、派遣延長に反対する意見が6割を超える。かつては派遣賛成と反対がほぼ拮抗(きっこう)していたのに、ここに来てなぜこんな動きになったのか。
今のままのやり方でイラクが本当に立ち直れるのかという不安のなかで、自衛隊の派遣もいったん考え直すべきだという声ではないだろうか。
このような首相の姿勢では、国民は派遣延長に納得できないだろう。
http://www.asahi.com/paper/editorial20041126.html