現在地 HOME > 掲示板 > 戦争63 > 930.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
社説:
サマワと日本 法的要件崩れたら居続ける理由はない
節目の時こそ原点に立ち返りたい。憲法との関連で自衛隊を海外に派遣する法的根拠は繰り返し議論されてきた。
憲法は海外での武力行使を禁じている。それゆえ憲法を改正しないで自衛隊を海外へ出すには、憲法の条文に整合するような論理を組み立てなければならない。
政府は苦肉の策として、イラク国内に「非戦闘地域」と「戦闘地域」という概念を設け、治安が安定していないイラクの中でも非戦闘地域なら自衛隊が出ても問題ない、という理屈をつけた。しかし、現実に戦闘が続いているイラクで、この論理は砂上の楼閣のように危ういという指摘は当初からあった。
不安は現実のものになった。暫定政府はイラク全土(クルド人自治区を除く)に非常事態宣言を出した。陸上自衛隊が駐留するサマワの宿営地付近にもこれまで計9回の砲弾が撃ち込まれている。米国が戦闘終結宣言を出した後に死亡した米兵は、開戦中より10倍多い1100人余に及んだ。武装勢力に捕らえられ、殺害された日本人がいる。
これだけの事実を前にして、サマワが戦闘地域でないと言い張るのには無理がある。これ以上の何が起きたなら戦闘地域と認定するのか、と逆に問いたい。
小泉純一郎首相は民主党の岡田克也代表との党首討論で、非戦闘地域の定義を問われて「自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」と答弁した。首相論法の揚げ足を取るなら、自衛隊が硝煙くすぶるファルージャに駐留した途端、そこは非戦闘地域に様変わりする。
政府は非戦闘地域を「国または国に準ずる者による組織的、計画的な武力行使が起きない地域」と解釈した。これも政府論法に従えば、イラク全土は政府の定義する「戦闘地域」と言えなくなるのではないか。
法的に、イラク特措法は合憲か違憲かのぎりぎりのところで合憲だと思う。しかし、サマワの現実をみると、法律を構成する「非戦闘地域」という概念は崩れたのも同然だ。法的根拠がなくなったならば、自衛隊は引き揚げてこなければ法律違反である。
サマワはそこまで悪化していない、という意見もある。しかし、いったんサマワに砲弾が飛び交いオランダ軍が交戦して、自衛隊員にけが人が出る事態に立ち至ったならば、混乱の中でどうやって自衛隊員を安全にイラク国外まで運び出せるのか。サマワから隊員全員を一度に運ぶ空輸手段はない。手遅れになる前に、安全なところに退避するのが政府の責務だし、イラク特措法でも定めている。
野党はイラク特措法廃止法案を国会に提出した。制定時に想定したことが絵空事であった以上、イラク特措法は廃止するのが筋だし、それが憲法の理念を尊重することにも通じる。
毎日新聞 2004年11月26日 0時22分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20041126k0000m070164000c.html