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社説:
視点 サマワと日本
自衛隊派遣は誤りだった、と決め付けることにはちゅうちょせざるをえない。
確かに、イラク戦争に「大義」はないと思うし、派遣先のサマワの治安も心配だ。だが、現地の自衛隊は憲法で禁じられている武力行使をしているわけではない。日本の人的貢献が成功してほしいと願うからだ。
今問題なのは、12月14日の期限通りに自衛隊を引き揚げることが日本とイラクの国民にとってプラスなのかどうか、という点だ。それを判断するには、現地の危険度がどのくらいか、自衛隊が行っている仕事がどの程度復興に役立っているのか、を判定しなければならない。
政府は給水や学校補修などの例を挙げ、「日本人の善意を代表するものとしてイラク人から高く評価されている」と強調する。一方、撤退論者は「サマワは安全でなくなった」「自衛隊の仕事は復興支援の手助けになっていない」と反論する。
どちらの言い分が正しいのか。正解は多分、両者の間にあるのだと思う。
毎日新聞の世論調査では、国民の半数強が撤退を支持している。しかし、4分の1は派遣期間延長に賛意を示し、残りの人は回答を控えている。判断の難しさの表れだろう。
こういう時こそ、国会は専門家を呼んで現地の詳しい情勢を聞くなど、あらゆる方法で判断材料を提供すべきなのだ。だが、国会の姿は見えない。
イラク復興特措法では、派遣期間延長は国会の事前承認を必要とせず、政府の事後報告で済ませられる。国会が議決という形で関与することが出来ないのは問題だ。
昨年の国会で特措法を成立させる際、事前承認問題が浮上した。しかし、衆院総選挙を前に与野党が対決姿勢を強めたため、法律に盛り込めなかった経緯がある。
ハンガリーでは、政府が求めた軍隊の駐留延長案を国会が否決し、予定通り年末に軍隊を引き揚げなければならなくなった。日本でも事前承認制があったなら、国会論議はもっと真剣で実のあるものになっていたのではないか。
そこで、ひとつ提案がある。特措法を改正して国会の事前承認制を取り入れてはどうか。特措法は4年間の時限立法だが、必要ならさらに4年間の延長が出来る。今からでも遅くはない。
民主党など野党3党が国会に共同提出した特措法廃止法案は、自民、公明両党が多数を占める中で成立の見込みがない。それにもかかわらず、与党は国会会期末の混乱を懸念して採決を避ける方針だという。
これはおかしい。国会はせめて廃止法案を採決し、態度を明らかにすべきだ。それが、国民や、危険の中で駐留している自衛隊員への最低限の義務ではないか。
毎日新聞 2004年11月24日 0時23分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20041124k0000m070114000c.html