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視点:
サマワと日本 大義なき戦争の歴史的審判を恐れよ
イラク・サマワに派遣されている自衛隊の目的はイラクの「復興支援」が建前だが、本音は「同盟国・米国支援」である。
自衛隊はイラク南部の比較的安全な地帯に閉じこもり、武装勢力の攻撃に神経をぴりぴりさせているのが実態だ。
アーミテージ米国務副長官の「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」(地上部隊を出せ)などの発言がなければ、そもそも自衛隊派遣はなかったかもしれない。
つまり、日本政府は「復興支援」とはいいながらも、イラクよりは米国を向いているのが本音だ。
そして、日本と同様に、イラク戦争参加の多くの政府が対米関係重視から軍派遣を決めている。
しかも、イラク戦争反対の国内意見が多数で、各国政府は国内世論と対米関係の微妙なバランスをとるのに苦慮している。
結局、ブッシュ米政権の主張に全面賛成し、イラク戦争に積極参加したのは英豪など少数だった。
日本はこの「有志連合」に建前では入っていない。日本の参加は「戦闘支援」ではなく、「復興支援」という立場だったからだ。
「復興支援」ということで、「戦争放棄」を定めた憲法9条の制約も逃れた形となっている。
しかし、実際には日本は「有志連合」に入り、「米主導のイラク戦争に参加した」と、広く世界では受けとられている。
だから、日本は武装勢力の攻撃対象となり、すでに犠牲者がでているほか、今後、自衛隊関係者が狙われる可能性もある。
イラク戦争の現状は厳しい。泥沼化といっていいかもしれない。 そして、最大の問題は、この戦争が歴史的に肯定的に評価される可能性が少ないことにある。
つまり、のちに、日本は誤った戦争に自衛隊を送ったと総括されかねない状況にある。
現実に、戦争の理由だった大量破壊兵器は発見されず、フセイン政権と国際テロ組織「アルカイダ」との関係も証明されていない。
現在米国が主張している独裁政権打倒や中東民主化のための戦争という理論には日本はもともと賛同していない。
戦略的に重要な国である米国との関係を損ないたくないという小泉政権の自衛隊派遣は短期的には正しい決定かもしれない。
しかし、歴史的には日本は「大義なき戦争」に参加したとの評価につながる可能性を秘める。
第一次大戦後、英国はインド・中東の権益を守るため、強引にイラク国家を樹立させたが、反英暴動からアラブ民族主義が吹き荒れ、とどのつまり、フセイン独裁政治へと突き進んだ。イラク近代史は現在の混乱と二重写しとなってよみがえる。
歴史に残るような誤りに日本は関与すべきではない。誤りを正すのに躊躇(ちゅうちょ)するなかれ。自衛隊の速やかな撤退を考えるべきだ。
毎日新聞 2004年11月23日 0時22分
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20041123k0000m070138000c.html