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社説:
小泉外交 首脳相互訪問につなげたい
チリで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)を舞台に小泉純一郎首相は米国、中国、ロシアなどとの首脳外交を展開した。ブッシュ大統領との会談では日米同盟の強化を確認し合ったが、胡錦涛・中国国家主席、プーチン・ロシア大統領との会談では重い課題を残した。
注目されたのは日中首脳会談だ。歴史認識問題がネックとなり昨年10月以来、両首脳が直接顔を合わせる機会をつくれなかった。1年ぶりに首脳会談が実現したこと自体は素直に評価したい。
会談では、日中関係発展の重要性や北朝鮮問題の平和的解決という一般論では一致したが、具体的な問題ではすれ違いや対立が目立った。
中国原子力潜水艦の領海侵犯事件や東シナ海でのガス田開発問題で、胡主席は明確な回答を避けた。日本にとって満足できる対応とはいえない。
とりわけ、対立が鮮明になったのが靖国参拝問題だ。胡主席は「日中間の政治的障害は、日本の指導者が靖国神社を参拝していることだ」と直接的な表現で批判した。1年前の会談では「歴史をかがみに未来に向かい、長期的観点から大局を踏まえることが大切だ」と間接的な言い回しにとどめていたのに比べ態度を硬化させた。
中国国民の反日感情の高まりを軽視できないという国内向けポーズの側面もあってのことだろう。さらに、昨年秋、インドネシアで温家宝・中国首相と会談した小泉首相が年明け早々に靖国神社を参拝したことでメンツをつぶされた格好となった中国側が不快感を増幅させたことも一因とみられる。
中国側の態度硬化の理由はともかく、問題は直球を投げ込まれた小泉首相がどう対応するかだ。靖国問題は両国の歴史、文化にかかわる根の深い問題で解決は容易ではない。しかし、意見の対立があるからこそ、両国の政治指導者同士の対話が一層必要になってくる。
今回の会談では3年間も途絶えている首脳の相互訪問は議題にならなかった。だが、北朝鮮問題ひとつとってみても、日中の協力は欠かせない。両首脳が顔を合わせるのは1年に1回だけ、それも外国での国際会議の場を利用したものだけ、という異常な関係は早急に是正しなければならない。
日露首脳会談では、平和条約締結の必要性では一致したものの、北方領土問題の具体的な解決策には踏み込めなかった。背景には、北方四島の帰属問題を解決したうえで平和条約を結ぶという日本側の方針と、歯舞、色丹の2島返還で決着させたいロシア側との考えの対立がある。
プーチン大統領の来年の訪日時期を確定することは出来なかったが、大統領は「批准済みの文書を含めて自ら引き受けた義務を果たす」と従来より踏み込んだ表現で2島返還での決着に決意を示している。これに日本がどう対応するか。すでに合意している外相の相互訪問を通じて隔たりを埋める努力が必要だ。
毎日新聞 2004年11月23日 0時19分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20041123k0000m070137000c.html