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社説:
サマワと日本 派遣延長の前提は隊員の安全確保だ
イラクの治安の悪化が深刻化している。日本人も狙われ、これまで外交官と民間人の計5人が殺害された。香田証生さんの無残な死は衝撃的だった。
一方、サマワには延べ1500人を超える陸上自衛隊が派遣されたが、幸い一人の死傷者も出ていない。現状では、自ら身を守るすべを持たないNGO(非政府組織)などがイラクで活動できないのは明らかである。日本の人道復興支援は当面、自衛隊に頼らざるを得ない。
だが、その自衛隊の身にも、危険が迫っている。4月以降、自衛隊の宿営地やその周辺に迫撃砲弾などが計8回着弾した。10月31日にはロケット弾が宿営地内倉庫を貫通した。隊員にいつ犠牲が出てもおかしくない状況だ。
イラク復興特別措置法9条では、首相と防衛庁長官に自衛隊の安全確保への配慮を義務付けている。安全確保を怠って犠牲者が出れば、大野功統防衛庁長官は即刻辞任しなければならない。小泉純一郎首相も責任を免れない。
そもそもサマワの自衛隊は身を守るための最低限の武器使用は許されても、治安維持の任務は担えない。テロと戦うために派遣されたわけではないのだ。
サマワの治安に責任を持つのはオランダ軍だが、そのオランダ軍は犠牲者が出たことなどから来年3月で撤退する。代わって英国の軍隊が治安を担当すると言われているが、米英軍には反感を持つ住民が多いとみられ、治安の悪化が心配される。大野防衛庁長官が19日に訪米したが、その前にオランダを訪れ、撤退延期を求めるべきではなかったか。
イラク戦争を支持しない人でも、復興支援は必要だと考える。いまや経済大国になり、世界第2のODA(政府開発援助)供与国となった日本も、第二次大戦後には各国から支援を受け、経済発展の礎を築いたのだ。
混乱が続くイラクには、資金援助以外の支援が必要だ。困難な地域で復興支援ができるのは自衛隊だけである。
イラクへの自衛隊派遣を延長するなら、政府はその前に安全確保の措置がとられているかどうかを点検しなければならない。戦闘行為に巻き込まれる事態を想定し、イラク特措法8条で活動の一時休止や危険回避のために避難ができることも確認しておこう。
サマワの治安が確保され、自衛隊の復興支援が軌道に乗れば、将来の民間人による支援活動に道筋をつけることにもなるだろう。
小泉首相は先の党首討論で「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」と述べた。想像力が欠如した発言だ。サマワで緊張しながら任務につく自衛隊員やその家族はこの発言をどう思うだろうか。
派遣延長を決断するなら、小泉首相は粗雑な議論ではなく、自らの責任の重さを語るべきだ。【論説委員・石原進】
毎日新聞 2004年11月20日 0時24分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20041120k0000m070145000c.html