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「弟がソーダの瓶を持っていたから撃たれたんだと思う」：負傷者たちと避難民たち（ジャマイル）
バグダードのダール・ジャマイルが，病院と物資配給センターで取材をしています。病院に運び込まれている負傷者はファルージャの人だけではなく，バグダード市内やその近郊からの人々も多く，米軍が「捜索」で何も見つけられなかった場合に何をしているのかも語っています。
なお，記事の題名のSlash and Burnはもちろん「焼き畑農法」のことですが，これをどう日本語にしてよいものかわからないので，原文のままにしておきます。
Slash and Burn
Dahr Jamail, Electronic Iraq, 17 November 2004
http://electroniciraq.net/news/1725.shtml
混雑した病室で，あざのできた腕をゆらゆらと振って蝿を追いながら，彼女はぼうっと横たわっている。彼女の向こうずねは，米軍兵士が彼女の家の玄関のドアを貫いて発砲した弾丸のために粉砕されていて，石膏で覆われている。彼女の腹部の上には，赤い液体がいっぱいに入った小さなプラスチック製のdrainage backsが乗っている。彼女は腹部にもまた銃弾の破片を受けたのだ。
ファティーマ・ハルーズは12歳。バグダードのすぐ南に位置するラティフィヤ在住だ。わずか３日前，兵士たちが彼女の家を襲撃した。私たちの横に立つ母親は「彼らは私たちの家を襲撃しましたが，うちの近所にはレジスタンス戦士はひとりもいなかったんですよ」と言う。家が兵士たちに捜索され，彼女の兄は撃ち殺され，その妻は負傷した。「出ていく前に，彼らは私たちの鶏を全部殺していきました」とファティーマの母親は言葉を継ぐ。目には恐怖とショックと怒りが混在している。
私たちと一緒にいる医師は，ファティーマの母親が事情を説明するのを聞いてから，私を見つめ，厳しい声で言った。「これが自由です……彼らのディズニーランドには，このような子どもたちはいるのですか？」
３日前，兵士たちはファティーマ・ハルーズの家を襲撃した。ファティーマのおじは殺され，家族は一帯にはレジスタンスは１人もいなかったと主張している。(Dahr Jamail)
ラーナ・オベイディもまた若い女性で，２晩前に弟を連れて家へと歩いていた。弟がソーダの瓶を持っていたので私たちは撃たれたんじゃないか，とラーナは思っている。これはバグダードでの出来事だ。ラーナは，弟とは違い，胸部を弾丸がかすめて怪我をした。弟は死んだ。
ラーナ・オベイディは，弟と一緒に家に向かって歩いていたら，米兵たちに撃たれた。（弟は死亡した。）(Dahr Jamail)
ラーナの近くのベッドに横たわっているのはハンナだ。彼女は14歳で，兵兵の銃弾のために右の脚に裂傷ができている。彼女の家族は，バグダードで今朝タクシーに乗っていた。そのタクシーが米軍のパトロールの近くを通っていたときに，１人の兵士が発砲してきた。
彼女の父親のシャツは頭からの血のしみがついていた。タクシーが衝突したときに怪我をしたのだ。
ハンナの父親は，米軍のパトロールからの銃撃を受けたタクシーが衝突事故を起こして負傷した。(Dahr Jamail)
※原文ではRana's fatherとなっているが，明らかにHannna's fatherの誤記と思われる。
別の病室には，ファルージャから来た幼い男の子がうつぶせで横たわっている。米兵によって家に投げ込まれた手榴弾の破片が背中からこの子の体に入り，腎臓の近くで止まった。
ファルージャから避難してきたアミンは，兵士が投げた手榴弾の破片が腎臓の近くに刺さり，負傷した。(Dahr Jamail)
手術が成功してこの破片は取り除かれた。この子の父親は，母親が「アメリカ人がでたらめに銃を撃って」と言う出来事で，殺された。アミンという名のこの少年は，痛みで泣いたり，おもちゃの車で遊んだりと両極端を不安定に行ったり来たりしながら，ベッドに横たわっている。
次から次への患者が来る。バグダードから，ファルージャから，ラティフィヤから，バラドから，ラマディから，サマラから，バクバから……イラク中から，嘘に基づいた不法な侵略によって発生した，勝つ見込みのないゲリラ戦を戦っている米軍兵士たちの強引な戦術によって負傷した人々が。
米軍の野蛮な報復の行為は，イラク人にとっては日々の現実となっている。兵士たちのフラストレーションと怒りの矛先を向けられるのは，常にイラク人なのだ。
バグダードの病院の前の兵士。(Dahr Jamail)
病院の正面には３台のハンヴィーが停まっていて，兵士たちが病院スタッフに対し，ファルージャの外で負傷した人が何人かここに運ばれてくるから，と告げている。スタッフのひとりが話をしている兵士に向かって叫び始める。ハンヴィーの上でひとりの兵士がマシンガンを構えているが，その顔は完全にオリーヴ色のバラクラヴァに隠れている。保護用の眼鏡が見ている。
「あんたたちはここでは必要ではない！ ここから出ていきやがれ！ サダムを戻せ！ お前らよりまだましだったさ，サダムの方が！ お前らの手で死んでたまるか！ 出ていけ！ 自分たちの同胞は自分たちで面倒を見る！」
兵士についている通訳は，これは通訳しなかった。固い表情で見つめていただけだ。
「あんたたちはここでは必要ではない！」(Dahr Jamail)
イラクで米軍によって殺されたり負傷したりした人々の縁者たちは，死者や負傷者の面倒をみる人々と同様，苦々しい怒り，嘆き，爆発しそうな怒り，そして復讐の念を抱くことになってしまっている。
今日の午後，ファルージャからの避難民に物資を配るためバグダードに設けられた小さいけれども混雑した配給センターで，とげとげしい顔つきをした生存者たちの語っている話は，想像を絶するものと言ってもよい。
「奴らはファルージャからジャーナリストを全員追い出した。そうしれば何だってやりたい放題になるから」と，３日前にファルージャから脱出してきたカセム・モハメド・アハメドは言う。「奴らが最初にやったのは，病院を爆撃することだった。病人が行くのは病院だからな。今じゃ道路に怪我人が転がってて，兵士たちが戦車で轢いていくんだ。何度も何度もあったよ。あんたがテレビで見てんのは，何でもない――たったの１台のカメラが捕えたことだ。あんたが見られないものがどんなに多いことか。」
カシムがテレビの映像のことを話している一方で，兵士が民間人とレジスタンス戦士との区別をつけていないという話がいくつかある。
アブドゥル・ラザク・イスマイルは先週ファルージャからこちらに到着した。
物資をほかの避難民たちに配給しながら，彼は言う。「地面に死体がごろごろしてる。誰も埋葬できないんだ。アメリカ人は死体のいくつかを，ファルージャの側を流れるユーフラテス川に落としている。戦車で死体を引っ張っていって，サッカー場に放置していく。」
その側にはまた別の男性がいて，話を聞いて涙を浮かべ，うなづいている。泣きやむことができずにいるが，しばらくしてから私もあんたたちに話がしたいんだが，と言う。
「彼らはうちの一帯に爆弾を落としてね，私たちは車のジャッキを使ってコンクリートのブロックをどかし，死んだ子どもたちを瓦礫の下から出したんだ。」
アブ・サバー（サバーの父）もまた避難民だ。破れたシャツとほこりまみれのズボンを履いた，年かさの男性だ。兵士たちの弾丸が頭上を飛んでいる中を，家族を連れてどうやって脱出したかを語る。このとき，いとこが死んだ。
「キノコ雲みたいな煙を出す変な爆弾を使っていたよ」と，昨日到着したばかりの彼は言う。「それから小さなのが空から，煙の長い尾を引きながら，落ちてくる。それらが地面で爆発して，30分も燃え続ける大きな炎を上げる。線路の近くでこういうのが使われていた。大型機からこいつが落とされる音がする。戦車くらいの大きさのある爆弾だよ。この炎に触れた者は，体が何時間も燃え続けていたよ。」
イラクをヴェトナムにたとえることは，日ごとに的確なものとなりつつある。
ファルージャから避難してきた人(Dahr Jamail)
なお，ダール・ジャマイルのインタビュー音声が，ネットで公開されています。electronic iraq 16日記事から聞けます。（mp3ファイルだそうです。）
投稿者：いけだ
コメント
■ 軍事的成功
アーミテージ国務副長官は、この作戦で死亡した武装勢力（！）を「最大１６００人程度」と言い、「軍事的には大きな成果を収めた」と言い切りました。
子どもたち、武器を持たない人々、女性たち・・・・・・これが、実は米国が「武装勢力」と呼ぶ者の多く。こうした人々を殺すことが「軍事的な成果」とは。
益岡
(2004-11-19 22:04:02)
http://teanotwar.blogtribe.org/entry-7e000ddca7d331c10482cb4d3f6d16e1.html
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。