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12月3日付・読売社説(2)
[イラン核疑惑]「濃縮停止の継続へ監視緩めるな」
国際社会の信頼を取り戻すための確かな一歩になるのか。それはひとえに、イランの今後の行動にかかっている。
国際原子力機関(IAEA)理事会が、ウラン濃縮活動と再処理活動の全面停止継続をイランに求める決議を採択した。イランが停止継続を受け入れたことで、制裁につながる国連安保理への付託は見送られた。
決議は、IAEA事務局長に対し、イランが活動の全面停止を破ったり、IAEAの検証活動を妨害した場合、理事国に報告することを求めている。事務局長報告があれば、緊急理事会がいつでも開催されることになる。
イランの核開発に対する監視を緩めることはない、というメッセージだ。
英独仏三か国がまとめた決議案をめぐり、イランは当初、研究開発用の遠心分離器二十個を、活動停止の対象から外すよう求めていた。しかし、三か国や米国に拒否され、全面停止を受け入れた。
イランの核開発に対して、国際社会が抱いてきた懸念をこれ以上募らせないためにも、当然の対応である。
イラン国内では、信頼醸成のための決議受け入れに対し、「譲歩のし過ぎだ」という批判がくすぶっているが、国際社会の理解を得られるものではない。
決議は、イランが二〇〇三年十月まで核関連活動を隠蔽(いんぺい)し核拡散防止条約(NPT)の保障措置協定義務に違反したことを再確認し、また繰り返されるのではないか、という懸念を表明した。
イランは、そうした過去が、ぬぐえない核疑惑を生んでいることを、改めて認識する必要がある。国際社会の懸念を重く受け止め、その全幅の信頼を得るまで、濃縮活動の停止を継続すべきである。
追加議定書の批准を急ぐことも、信頼回復のために重要である。
イランが歩み寄りを見せた背景には、英独仏三か国の外交努力があった。
三か国は、イランが濃縮活動を停止する見返りとして、原子力技術協力や経済貿易協定の締結を見据えた協力姿勢を示した。具体策を盛り込んだ包括協定の締結へ向け、イランと三か国が再開する交渉の行方を注視したい。
イランの核問題責任者は、理事会を受けた記者会見で、安保理付託を要求してきた米国の敗北だ、と言明した。これも独りよがりに過ぎる総括だろう。
欧州連合(EU)は、決議採択後の声明で、濃縮活動の全面停止が破られた場合、安保理付託もあり得ることを示唆した。欧州も「アメ」だけを用意しているのではない。イランがその点を見誤れば外交的解決は遠のくことになる。
(2004/12/3/01:42 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041202ig91.htm