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12月3日付・読売社説(1)
[武器輸出緩和]「『ミサイル防衛』だけで十分か」
武器輸出三原則の緩和をめぐる政府・与党内調整が、大詰めを迎えている。政府は、近く決定する新防衛計画大綱に合わせて、官房長官談話などで緩和策を示す方針だ。
疑問なのは、公明党の主張だ。
政府は、与党に対し、日米両国または米国主導の多国間の武器共同開発・生産へ参加できるよう、部品などの輸出を緩和するという内容の原案を提示した。
自民党は了承したが、公明党は日米で共同開発しているミサイル防衛(MD)の部品に限って、三原則の例外とすべきだと主張している。
東西冷戦終結後は、欧米諸国を中心に多額の開発費がかかる武器やシステムを共同開発・生産することで、コスト削減を図るのが世界的流れになっている。
だが、MD限定の緩和では、武器の共同開発・生産に参加できない。軍事革命(RMA)が進展する中、安全保障に直結する先端技術で後れをとりかねない。独自開発だけでは生産コストも高くつくのは、九〇式戦車を見ても分かる。
世界の軍事技術水準を保持できなければ、自衛隊の能力も低下しかねない。日米同盟に基づく共同作戦が円滑にできない恐れもある。
政府原案は、こうした事態を回避するためにも、妥当な方向だ。
公明党内には「来年夏に東京都議選を控え、『平和主義』を掲げる党のイメージを悪化させるわけにはいかない」という声もある。政党として世論を重視するのは当たり前だが、与党の一員として求められるのは、長期的な防衛政策をどう構築するかという観点ではないか。
政府原案には、テロ・海賊対策支援として、海上自衛隊の中古艦船の輸出を緩和することなども含まれている。だが、公明党は、中古艦船を輸出することも認めないという。
インドネシアやマレーシアの海軍は、艦船の老朽化が進み、海賊船などの取り締まりのため、退役した艦船の提供を日本に要請している。
日本のシーレーンに当たる東南アジアの海域は、海賊が出没し、原油タンカーなどの安全な航行が脅かされている。大量破壊兵器拡散阻止構想(PSI)に基づく国籍不明船への臨検などに、日本の中古艦船が活用されるなら、東アジア全体の安全保障にとっても望ましい。
国際紛争を助長するような武器輸出は行わない、という三原則の基本理念を堅持するのは、当然だ。だが、安全保障環境の変化や軍事技術の進展に合わせて、武器輸出政策も、絶えず見直していく必要がある。
(2004/12/3/01:42 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041202ig90.htm