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ファッルージャの徹底的な破壊は、米大手建設会社の要請と疑う根拠に、湾岸戦争の先例あり。
以下の旧稿を、わが電網宝庫から引き出してみて、あまりにも似すぎた状況なので、改めて驚いた。
なお、ベクテルは、日本の戦後復興、ヴェトナム戦争後、朝鮮戦争後にも、米軍と一体で、ボロ儲けをしていた。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-11.html
『湾岸報道に偽りあり』
隠された十数年来の米軍事計画に迫る
(その11)「嘘、忌わしい嘘」で固めた「軍事発表」は謀略宣伝の必然
[中略]
空爆の目標に関する発表も、まったくのウソであった。ワシントン・ポスト(91・6・23)の報道によると、米国防総省の作戦立案者自身が、その事実を認めている。しかも、「軍事目標以外の諸施設などを広範囲に爆撃した意図」の、第一は「外国の援助なしに二度と立ち直れないほどの打撃をイラクに与えること」、第二は「国際的な対イラク封鎖を、広範な爆撃によってイラク社会への経済的、心理的脅威にまで拡大する」であった。
私は、この爆撃方針が、当時イラクの占領下にあったクウェイトに対しても適用されていたと考えている。特に「経済的」に重要なのは、石油関係施設である。結果から推測すると、アメリカの許可と技術援助なしには、イラクとクウェイトが再び石油を輸出できなくすることも、その方針の「本音」部分に入っていたのではないか、と疑っている。
しかも、それ以上の話さえある。私は、この疑問を抱いた後に出会ったアメリカの労働組合関係者に、「ベクテルを知っているか」とたずねた。「ベクテル」については第三部で詳しく紹介するが、世界一の事業規模を誇るアメリカの建設会社のことである。すると彼は、「もちろん知っている」と深くうなずいただけなく、私の次の質問を手で封じ、身を乗り出した。目配せしながら指先でテーブルをコツコツたたき、語気鋭くこう語ったのだ。
「アメリカ軍がクウェイトの石油精製施設を爆撃して破壊しただろ。あれはベクテルの仕事を増やすためにやったんだ」
もちろん、この疑惑を完全に証明するに足る証拠はない。だが、当のアメリカの労働者が、これだけ確信を持って語っているのだ。
ベクテルは、百億ドルと推定されるクウェイトの石油関係復興特需の契約を、ワシントンで地上戦開始の二日前に獲得している。過去をたずねると、第二次世界大戦後には日本で、朝鮮戦争後には韓国で、やはり、復興特需で大活躍した実績を誇っている。戦争の復興特需で何度も味をしめた巨大企業が、このところ受注が減っていたという事実もあり、ついには戦争そのもののヤラセに乗り出したとしても、ちっとも不思議ではない。しかもベクテルは、労働組合のストライキをつぶすために軍隊を呼んだり、黒人労働者を差別したり、いくつもの疑獄に関与していたり、裁判沙汰を抱えていたり、日本の同業者に負けず劣らず、暴力と政治的汚職の体質にはこと欠かない企業史をひきずっている。
[中略]
http://www.jca.apc.org/~altmedka/gulfw-38.html
第七章:世界を動かす巨大ブラックホール(1)
(その38)百億ドルのクウェイト復興特需を開戦前に受注した秘訣
今度の戦争で一番唖然とした話は、クウェイトの復興特需受注争いの露骨さであり、その始まり方のあまりの早さだった。バグダッド爆撃開始が一月十七日だが、すでに一月末には早くも、うわさが流れ始めた。
日経産業新聞(91・3・13)のルポルタージュ特集「ポスト『湾岸』ビジネス戦士走る」(9)によると、復興事業の受注戦争はクウェイト侵攻の八月二日直後から始まっており、米陸軍工兵隊が請負契約したのは、実に地上戦争突入の二日前だったという。
日本経済新聞(91・2・28)はさらに具体的に「米ベクテル社が復興事業受注」の見出しで報じた。
「米建設大手ベクテル・グループは二十七日、クウェイト国営石油から油田や製油所の復興を総合的に監督するプロジェクト・マネジメント(事業管理)契約を受注したと明らかにした。ベクテルがクウェイト復興事業で大きな役割を果たすとのうわさは流れていたが、同社自身が確認したのは初めて。業界筋は石油施設関連の復興経費を百億ドル余と見積もっており、ベクテルは五千人近くの技術者を現地に投入するとみられている」
この「百億ドル余」という金額は、日本の国会であれほどもめた「九〇億ドル」の分担金よりも大きい。また、最新の統計数字で見ると、一九八九年度のベクテルの総受注額が約一二〇億ドル、そのうち海外受注額が約六六億ドルである。ベクテルはクウェイト復興特需だけで、かれこれ通常の一年分に相当する仕事を確保した勘定になる。
ここでは、すでに本書第一章の終わりで紹介したアメリカの労働組合関係者の発言を、思い出していただきたい。彼は、アメリカ軍の爆撃が「ベクテルの仕事を増やす」ために行なわれたと、確信を持って語っていたのだ。