11/27 16:48 「革命」成就の解放感 リビウ、野党が実権掌握

　【リビウ（ウクライナ西部）２７日共同＝清水健太郎】ウクライ
ナ大統領就任を一方的に宣言した野党ユシチェンコ元首相の有力な
選挙地盤である西部の都市リビウは、元首相派が実権を掌握、中央
政府の支配が全く及ばない「解放区」になっていた。
　市民は野党の臨時政権樹立宣言を歓迎、不安を感じながらも、ロ
シアの呪縛（じゅばく）から解き放たれた自由をおう歌、街中には
既に「革命」が成就したような空気が満ちていた。
　「ヤヌコビッチ首相派は民主的に駆逐された。ここではユシチェ
ンコ大統領のために働く準備が整った」。リビウ市役所の執務室で
ある幹部がこうつぶやいた。
　ユシチェンコ氏の大統領就任宣言を受け、州議会は今月二十四日
、ヤヌコビッチ首相の強力な支持者のゲレジ副知事を全会一致で解
任。リビウ市交通警察は二十六日にユシチェンコ氏支持を正式に表
明し、パトカーで市内をパレードして市民の熱烈な歓迎を受けた。
　同氏のゼネストの呼び掛けに即応し大学は臨時休校。役所の大半
の窓口は閉じ、民間企業も交代勤務で、市中心部の公園の集会には
連日数万人の市民が繰り出している。市役所正面玄関の警備員の胸
にはユシチェンコ氏の顔写真のバッジ、路面電車の窓枠にも同氏の
シンボルカラーのオレンジ色のリボンがはためく。
　だが、市民は手放しで現状を喜んでいるわけではない。一九九一
年の旧ソ連からの独立で獲得した自由を「ロシアに奪われる悪夢の
再来」の恐怖と不安がよぎっている。
　ブニャク市長は「他国に圧力をかけて自由を奪ったのがソ連だっ
た。プーチン大統領がしているのはそれと同じだ」と非難。「ソ連
時代に戻るなんてまっぴら。国際社会はこちらの味方で、ウクライ
ナは欧州の一員なんだ」とまくしたてた。同市では学生らが二十四
日からロシア領事館の周囲でピケを張っている。
　外交筋によると、全国的には与野党の勢力は拮抗（きっこう）し
、ヤヌコビッチ陣営がいつ巻き返しに出るか、市民の懸念は消えな
い。同市のユシチェンコ氏選対本部は「『首都決戦』を制する者が
全土を制す」との戦略に基づき、毎日約百五十人の支援者を首都キ
エフに送り込んでいる。いわば〓（始めダブルミニュート）東征〓
（終わりダブルミニュート）のための後方支援だ。
　ブニャク市長は「春までの長期戦を覚悟している」と指摘。「冬
の寒さは戦いの邪魔にはならない。われわれには、真実を語る言葉
と何にも勝る愛国心という武器がある」と力を込めた。市長の秘書
ヤロノバさんも「三月か四月ごろにはきっと暖かい『オレンジの春
』がやってくるはず」とほほ笑んだ。
20041127 1648
[2004-11-27-16:48]

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