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11月11日付・読売社説(2)
[イラク情勢]「民主党の無責任な自衛隊撤収論」
政権を目指す責任政党として疑念を抱かせる姿勢だ。
民主党の岡田代表が党首討論で、イラクに派遣されている自衛隊の撤収を求め、イラク人道復興支援特別措置法廃止法案を今国会に提出する方針を表明した。
岡田氏は、治安情勢の悪化で、自衛隊が派遣されている南部サマワ地区も今や「非戦闘地域」ではない、と言う。自衛隊員の安全も守れない、と主張した。給水などの活動に「自衛隊がやるべき仕事なのか」という疑問も呈した。
イラク情勢は確かに厳しい。だが、来年一月の国民議会選挙から来年末の本格政権発足に至る民主化プロセスの前進へ今、最も重要な局面にある。この時点で自衛隊が撤収すれば、日本が、イラク再建を支援する国際社会の結束を真っ先に崩すことになる。
岡田氏は、イラクの治安を早期に改善し、一月の選挙ができる状況を作り出す必要がある、としていたはずだ。自衛隊の撤収は、武装勢力を鼓舞し、ますます状況を悪化させかねない。
同盟国である米国が治安回復に全力をあげている時、「我々は引き揚げるが、米国には引き続き頑張ってほしい」と言って、同盟国としての信頼関係を維持できるだろうか。同盟の信頼関係が損なわれれば、日本自身やアジア太平洋地域の安全保障にも悪影響を及ぼす。
イラク全土に非常事態宣言が出ているが、サマワ地区で戦闘が行われているわけではない。自衛隊宿営地へのロケット弾の着弾なども、「国または国に準ずる組織」による「組織的、計画的、継続的な攻撃」とは言えない。現状では、サマワ地区は「非戦闘地域」だ。
自衛隊員の安全を守れない、と言うが危険を伴うからこそ、自衛隊の派遣だったはずだ。「給水は自衛隊がやるべき仕事ではない」と言うのは、人道復興支援活動の否定に等しい。自衛隊の国際平和協力活動の必要性を認めていた従来の主張とも矛盾する。
現時点では、十二月十四日で切れる自衛隊派遣期限を延長しない、という選択肢はない。だが、治安情勢を考えれば、隊員の安全に万全を期すのは当然だ。必要なら、装備や要員も見直すべきだ。
民主化のプロセスが進み、情勢が安定すれば、無論、自衛隊派遣の必要はなくなり、復興支援は民間企業や民間活動団体などにゆだねられることになる。
そうした状況を一刻も早く作り出すために出来る限りの力を尽くすことが、国際社会の一員としての責務ではないか。岡田氏も、責任政党の党首であるなら異論はないはずだ。
(2004/11/11/01:21 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041110ig91.htm