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11月9日付・読売社説(1)
[イラク情勢]「この『非常事態』をどう打開するか」
民主化の成否を左右する国民議会選挙を来年一月に控え、強硬措置もやむなし、との決断を迫られたのだろう。
イラク暫定政府は、北部クルド地区を除くイラク全土に、初の非常事態宣言を発令した。
アラウィ暫定政府首相には今後六十日間、外出禁止令の布告や、武器不法所持者の予防拘束などの強力な権限が与えられる。楽観はできないが、選挙を成功裏に実施するために、何よりも必要な治安改善が図られることを期待したい。
イラクでは、テロを含む反米・反政府武装勢力による攻撃が、拡大の様相すらみせている。ことに、旧フセイン政権の残党や外国人テロ組織が立てこもる中部ファルージャなどスンニ派三角地帯での武装勢力の活動は、治安改善にとって最大の障害となっている。
米・イラク軍は、ファルージャに対する激しい空爆を続けると共に、包囲網を敷き、一部の部隊は、市内への突入を図っている。ファルージャ制圧を目指し、大規模軍事作戦に踏み切った、とも見られる。選挙妨害活動を封じ、秩序回復を図ることに狙いがあるのだろう。
ファルージャは今春、やはり米軍の攻撃目標となった。その時は、爆撃で市民に被害が出たこともあり、全土で反米感情が高まる原因ともなった。イラク国民の間に、不要な敵愾心(てきがいしん)を喚起しないようどう作戦を遂行するのか。
強権の行使を可能にする非常事態宣言にしても、十把一絡げで適用すれば、一般国民の離反や反発を招きかねない。結果的に、選挙自体や、今後の民主化プロセスに悪影響が及ぶようなことになるなら、元も子もなくなる。
これからの二か月間、アラウィ政権も、政権を支える米国も、大きな正念場を迎えることになる。
イラクでは、今月から選挙の有権者登録作業が始まった。有権者は、配給制度を利用し、全国五百五十か所のセンターで登録を行う。人口の約半分に相当する千二百万人の登録を目指している。
一方、選挙事務など実務面で重要な役割を果たすはずだった国連要員の本格復帰の遅れは、大きな懸念材料だ。要員警護のための派兵要請に、前向きの回答を寄せる国がないためだとされる。
国際社会の平和を維持するために、イラク再建が不可欠であることは、だれも否定できないはずだ。国際社会による、これまで以上のイラク支援が必要だ。
サマワに陸上自衛隊を派遣している日本も、隊員の安全に万全の注意を払いつつ、これまで通り、復興支援活動を進めるべきだ。
(2004/11/9/01:29 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041108ig90.htm