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ブッシュ再選の先に見えるアメリカの運命
By StrangeLove
11月2日投票の米大統領選でジョージ・W・ブッシュ大統領が再選された。アメリカの国民にとっては厳しい結果だが、アメリカを道具として使いたいイスラエルのリクードやアメリカの没落を願っている人物や組織にとっては願ってもない結果のはずだ。軍事力の行使は多額の資金が必要で、見返りのない戦争は国家体制を揺るがすことになる。だからこそ、統合参謀本部の多数派や石油資本はイラク開戦に反対していたのだ。
石油の売り上げで回収するという話もあったが、そうしたことは難しいと石油産業の人間や軍人は考えていた。イラクで戦争を始めればソマリアやチェチェンのように泥沼化し、石油生産の再開には時間がかかると推測されていたのだ。そして、その通りの展開になった。
本メールマガジンでは再三、指摘しているように、イラク攻撃の青写真を作ったのはアメリカの親リクード派、いわゆる『ネオコン』で、イスラエル、ヨルダン、イラク、トルコという帯を作り、シリアと湾岸諸国を分断することを目的にしていた。サダム・フセイン時代にはイスラエルとヨルダンはトルコと分断されていた。イラクはキーポイントだったのである。
ここで一つ問題が生じる。イラク国民の大多数はイスラエルやアメリカに良い感情を持っていない。ほかのイスラム諸国と同じだ。イラクを真の意味で民主化してしまうと、ヨルダンやトルコのような国を作ることは不可能である。フセイン時代よりも反イスラエル/反アメリカ色の濃い国になってしまう。アメリカが中東を『民主化』しようとしているなど、笑えないブラック・ジョークだ。
選挙結果をコントロールする方法はいくつもある。プロパガンダや脅し、集計の不正のほか、反対勢力が投票できなくするという手もある。2000年の米大統領選挙でも投票拒否は行われていた。これに対し、イラクでは反対派を殺してしまおうとしているように見える。その象徴的な場所がファルージャだ。
そうした殺戮が繰り返されている国が安定するまでにどの程度の年月が必要なのかを日本ではまともに議論していないようだ。『選挙』を実施すれば全て解決、などということにならないことは間違いない。イラクで米軍を指揮していたトミー・フランクスは4年から10年の間、アメリカ軍はイラクに駐留する必要があると言っていたが、統合参謀本部の某元スタッフは30年以上は占領しなければならないと主張していた。
米軍をイラクに駐留させるために必要な戦費は月に40億ドルとアメリカ政府は言っているが、60億ドルは必要だとする指摘もある。日本円にすると、年間で5兆円、あるいは8兆円近くに達する。いずれにしろ、とんでもない金額である。日本は為替対策の名目で数十兆円をすでに投入しているが、日本だけで支えることは不可能であるし、そんなことをしたら日本が沈没してしまう。
こんな状況をアメリカの主流派エリートが漫然と眺めているはずはない。ブッシュ大統領はニクソンの二の舞になると囁かれているのは、こうした事情があるからだ。
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