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特報
2004.11.05
ブッシュ大統領再選 どうなる『日本丸』
一蓮托生 危険度アップ
ブッシュ米大統領の再選で、最も安堵(あんど)した一人が小泉首相だろう。「大統領との信頼関係と友情を大事にし…」と早速、祝意を表した。巨額の米国債の蓄積や自衛隊のイラク派遣など、日米は「一蓮托生(いちれんたくしょう)」。だが、本来はそれが交渉の切り札にもなるはずだ。とはいえ、小泉政権にはそれを使ったことも、使う気配もみられない。米国の続投政権の下、「日本丸」はどこに漂っていくのか−。
「引き続き、世界経済の持続的成長の実現に主要な役割を果たしてほしい」
日本経団連の奥田碩会長は四日、歴訪中の東南アジアでブッシュ大統領再選をこう歓迎した。かつての自動車などをめぐる通商摩擦がない「良好な日米関係」を維持したいとの立場だ。
では、日米経済に本当に落とし穴はないのか。為替や金融市場の専門家、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「ブッシュ再選を皆が自分に都合よく解釈している。経済政策は現状のままだとみて安心したがるが、そう考えるのは誤り。現状維持であれば、米国は経常赤字と財政赤字の『双子の赤字』を拡大させ、ドル暴落の不安を膨らます」と断言する。
ブッシュ政権による大型減税は「ヘリコプターからお札をばらまくよう」と言われ、財政は赤字に転落。さらに減税によって米国の消費、すなわち輸入が増える結果、貿易赤字の拡大にも歯止めがかからない。
熊野氏は続ける。「あと四年、ブッシュ政権が大減税を続ければ、双子の赤字問題が拡大する。それがドル安の不安をぱんぱんに膨らます。米政府高官がひと言『ドル安政策』に転じると言おうものなら、ドルの暴落が起こりかねない」
銀行マンだった明治大学の高木勝教授(日本経済論)は「双子の赤字の拡大に日本経済も芋づる式に巻き込まれる。日本が米国債を買わないとブッシュ政権は大型減税を続けられない」と強調する。
日本政府が持つ外貨準備高の大半は米国債で運用され、保有残高はことし八月末で約七千億ドルに膨らんでいる。それだけに米国市場は日本が保有する米国債に敏感で、これが逆に米国に対する日本の“伝家の宝刀”になるはずだった。
しかし、実際には「米国債が暴落すれば、評価損が膨らみ、日本政府の財布はまともに打撃を受ける。一方、(日本が米国債を売らなくても)双子の赤字を返済できなくなるという予想が強まるだけで、大幅なドル安が起こり、ドル建てである米国債は暴落する」(高木教授)という“弱み”を握られた関係だ。
さらに、政府・日銀が円高抑制のため、今春まで続けてきた大規模な円売りドル買い介入は各国から「市場原理をゆがめるので不当だ」と批判を受けて、もうできなくなっている。前出の熊野氏は警告する。「日本は身動きがとれない。そうした中で、米国発の急な円高ドル安が起これば、日本の景気回復を終わらせるには十分なダメージだ」
高木氏は「小泉政権が続く限り、経済については波乱含みだ」と指摘。金融行政についても「竹中前金融相は外資の進出を促して、米国とつるんでいるとまで言われた。ブッシュ・小泉政権の下で、米国の投資会社は、血税まで投じて再建を目指す日本の金融・事業会社を狙い続けるだろう」と警鐘を鳴らす。
「日本はますます米国に従属する。小泉首相はこれまで以上に『ノー』と言えない対応を迫られ、金縛り状態が今後四年間続く」
「ブッシュ再選」が与える両国の安全保障関係への影響について、大阪経済法科大の吉田康彦教授(国際関係論)はこう言い切る。
来月、任期切れを迎える自衛隊のイラク派遣延長問題についても、吉田教授は「自衛隊員に死傷者が出るなど、現地の治安情勢がよほど悪化しない限り、延長は確実」とみる。
「ブッシュ大統領が支持している(日本の)国連安全保障理事会の常任理事国入りの見返りに、小泉首相は集団的自衛権の行使を認める憲法九条改正にまい進するはずだ」
一方、現在協議中の在日米軍再編問題はどう決着していくのか。
東京国際大学の前田哲男教授(軍縮安全保障論)は「ブッシュ再選で米国から待ったなしの圧力が加速する」と指摘する。
「パウエル国務長官やアーミテージ国務副長官など、知日派高官が残るか、否かにかかわらず、日本が米国の方針を受け入れるのは時間の問題。この結果、日本列島がアジアから中近東までをカバーする出撃拠点の司令塔となり、アジアでの孤立化は避けられない」
ほかにも「ミサイル防衛の推進や武器輸出三原則の撤廃を盛り込んだ新防衛政策大綱の策定など、年末の予算編成を控えて、米国からより一層の協力を求められる状況が続くだろう」と前田教授は指摘する。
こうした対日圧力を小泉政権は「日米同盟の強化」を旗印に無批判に受け入れそうだが、桜美林大学の加藤朗教授(国際政治学)は
「これまでのような受け身一辺倒の段階から、対話の中でこちら側の主張を積極的に打ち出していくべきだ」と注文を付ける。
「なぜ、米陸軍第一軍団の司令部が座間キャンプに移転しなければならないのか。戦略的、合理的な説明をきちんと求めるべきだ。米軍再編はユーラシア大陸の不安定の弧、つまり西南アジアから砂漠地帯の中東地域を想定している。こうした中、オーストラリアに砂漠での訓練のため、三、四年後に米海兵隊の訓練基地を建設する計画がある。にもかかわらず、沖縄や北海道に訓練基地を造ろうともしている。こうした矛盾についても米国側にきちんと言うべきだろう」
その海兵隊のヘリがことし八月、墜落した沖縄国際大学(沖縄県宜野湾市)の石原昌家教授(平和学)は「大学に隣接する米軍普天間飛行場のフェンスの補強が進んでいる」と語る。
「米軍独自の予算で、と聞いた。イスラム武装勢力などの攻撃をそれだけ脅威とみているのだろう。また米国で四年間、人類が築いてきた国際法などの秩序を一顧だにしない政権が続くのか、と思うと暗たんとする。日本人も、いまや、個人的に戦争反対でも攻撃対象になってしまった」
同大学の教授会は先週、飛行場撤去の申し入れを米軍当局にした。危険を訴える教授たちに、飛行場の外交部幹部は「私もまったく同じ気持ち」と告げた。
「普天間に限れば、ブッシュ政権の継続で飛行場は案外、早く返還されるかもしれない。ただ、大局的にみれば、米軍再編で日本全体が“沖縄化”する流れだ。そう思うと、とても喜べない」(石原教授)
その「沖縄化」は基地に限らない。石原教授はその意味をこう説明する。
「沖縄は基地に頼った経済構造を持った分、米軍撤去が訴えにくくなった。日本の産業界は小泉政権の下、武器輸出解禁を叫び、米国の下請け軍需工場と化そうとしている。その行く末も含めての意味だ」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20041105/mng_____tokuho__000.shtml