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(回答先: 小泉政権の香田さん見殺しを糾弾する!アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 投稿者 NJ 日時 2004 年 11 月 05 日 02:59:09)
●○○今週の一言○○●
―日本人人質事件とイスラム攘夷化のイラク―
(平成16年10月29日)
激化する抵抗運動と炎上する米軍の戦車
10月25日にイラク国内で「イラク・カイーダ聖戦機構(旧タウヒード・ワ・ジハード)」と名乗る組織に福岡県出身の香田証平氏が拉致される事件が起こった。覆面をした3人組の前に座らされ、時おり髪の毛をつかまれて顔を上げられるシーンがインターネット上で公開されたのである。その模様をカタールの衛星放送、アル・ジャジーラが世界に向けて配信した。
香田氏は英語と日本語で「彼らは、なぜ日本政府が法を破ってイラクに自衛隊を派遣したのかと尋ねています。小泉さん、彼らは日本政府に自衛隊の撤退を求めています。さもなくば、僕の首をはねると言っています。すみませんでした。また日本に戻りたいです」と話し、聖戦機構の目的が「自衛隊の撤退」であることに触れるとともに、48時間以内にその行動を起こさない場合は「僕の首が刎ねられる」と畢生の力を振るって語ったのであった。
今回の事態は一刻も猶予がない切羽詰った状況であるといっても過言ではない。すでに48時間が過ぎ、ロシアなどの報道によればティクリート近郊で東洋人の遺体が発見されたという情報が寄せられている。香田氏であるかどうかは不明だが、嫌なニュースである。香田氏のイラク入りの状況は、その認識の甘さや度胸試し的な意味で入国した軽佻浮薄振りは大いに批判されて然るべきである。戦乱の地では「なんとかなるでしょう」などという大甘な考えは一切通用しない。しかし、大ばか者であっても、日本人の生命が異国の地で落とされてしまうようなことに深い憂慮を抱かざるを得ない。
イラクは現在もっとも危険な状態にある。それは次のことが大きく影響している。つまり10月6日に、米調査団が世界に向けて「イラクには大量破壊兵器は無かった」と認める発言をしたからだ。このことによってイラク抵抗運動は「イラクが一方的に侵略を受けた」という確信的な認識をさらに強化されたためである。従ってイラクにやってくる外国人は公人・私人を問わず「全てが占領に加担している敵対者なのだ」という攘夷思想に正当性を与える土壌が拡大しているのだ。この状況の変化が先の4月に日本人が拘束された時点と今回の事態との大きな違いを表しているといってよい。もちろん、違いは状況だけではない。拘束を行なっている組織主体も別物であるといってよい。
そこで、「イラク・カイーダ聖戦機構」とはどんな組織なのか。日本の報道では「イラク・アル・カイーダ戦線機構」と述べられているが、実は、彼らが掲げている黒旗には「アル」が書かれていないのだ。つまり、「アル」は英語で言うところの「the」であって、不定冠詞であるが、すでにイラクの「カイーダ」であることを公表している。従って、流入した外国人テロリストと言われているが、むしろイラク人の急進的イスラミストであることを名乗っているのである。しかも、最過激派と言われているが、その組織構成は本当にイスラミストだけなのか不明な点も多々ある。たとえば、指導者もザルカウィ氏と報道されているものの、実際イラク人のほとんどはザルカウィ氏は存在していないと思っている。ことさらにザルカウィ氏の名前を米国が出すのは「米軍のファルージャ空爆などの口実に使われている」と見ているのだ。
しかしながら、カイーダ聖戦機構はイラク反占領・解放抵抗戦線の一つのラインであることは間違いない。同名の組織がすでに数々の爆弾攻撃の他に、拘束した16人の人質を斬首するなど過激な行動を起こしていることも事実である。これだけの行動を起こせるということは、組織力や資金力を持っているということに加え、政治的な目的が明確であり、重火器を使用できるなど、訓練された部隊であることが伺い知れるのだ。
私も微力ながら「イーグル1」ルートを通じ、抵抗運動側に「香田氏は単なる旅行者なので殺すこと無かれ」、「とにかくジハード部隊とコンタクトを取って、人質となっている日本人がスパイでもなんでもない」ということを告げてくれと、メッセージを発したのである。私のこのメッセージに対する回答も徐々に寄せられているが、今のところ有力な手がかりは得られていない。これが実情である。
一方、日本政府は、小泉首相が矢継ぎ早やにアラブ各国に支援要請をしたが、その声にどれだけ耳をかたむけてくれるであろうか。やはり様々なルートを駆使して、何としても救出することを最優先に考えなければならないはずだ。10月28日には谷川秀善外務副大臣をヨルダンの首都アンマンに派遣し、同副大臣を本部長とする現地対策本部を在ヨルダン日本大使館に発足させた。伝えられるその動きを見れば、どれほど真剣に動こうとしているのか、はなはだうたがわしい。当然、前回以上にジハード部隊とのコンタクトを取ることは難航するだろう。ということは、より強力な救出作戦をしなければならないということだ。
しかも、このような事態に至った時、人の生命を弄ぶことはあってはならない。くれぐれも慎重を期さなければならない筈だ。にもかかわらず、小泉首相は事件勃発とともに「自衛隊の撤退はない、テロリストには屈しない」と強調した。このような発言は現状において不適当であると言えよう。イラク抵抗運動側はジハード部隊といえども、あくまで「民族解放闘争」を担っているレジスタンスである。その認識は10・6以降において益々共有され、彼らに全ての正当性を与えかねない。なぜなら米軍の蛮行が長期的に存在しているのだ。
これに加え日本政府は、12月14日に期限が切れる自衛隊の駐留を延長することを決定した。この姿勢が抵抗運動側の火に油を注ぐことにも繋がっていくだろう。そればかりか、サマワで治安維持を行なっているオランダ軍が来年3月に撤退する予定といわれ、大義のない戦争に自衛隊を送ることは「復興支援」といえどもイラク人から見れば詭弁にうつり、占領統治の手助けをする米軍補完勢力としか見られない。ところが、自衛隊は来年1月に予定されているイラク国民議会選挙、現地警察官の訓練も手がけることはないと言われている。それならば何のために派遣を延長する必要があるのだろうか。明らかに対米向けのパフォーマンスであり、日本の主体性のない「復興茶番行為」ではないか。
再三言うが、10・6以降はどんな名目をつけても、イラク人から見れば侵略軍という位置づけをされてしまうのだ。小泉首相は「サマワ近郊の住民から要請されている」と語っているが、これだって、現地の政治状況が変化すれば、どうにでも言いつくろうもので、何よりも重要なことは、大義のために「原則を貫くかどうか」という問題である。このことをアヤフヤにした首相は国政燮理を行なう資格がない。
それにしても、香田氏はイラクに自衛隊を派遣している国の民であるという自覚が余りにも足り無すぎるのではないか。イラク抵抗戦線から見れば日本は敵性国家なのである。先の10・6以降は自衛隊がイラク復興のためだと藉口しても大義無き侵略戦争の加担者となってしまうことは確実なのだ。それほど米国調査団が「大量破棄兵器はイラク国内にはなかった」という報道は世界を震撼させたのである。この日本だけが、その事実をシリアスに受け止められてこなかった。このことを今回は指摘しておかなければならない。まさに10・6は重大な転換点なのである。
http://kimurasanko.fc2web.com/hitokoto/20041028.html
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