現在地 HOME > 掲示板 > 戦争62 > 135.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
親日感情砕く意図「米と同じ聖戦の敵」 香田さん殺害
「イラク・アルカイダ機構」による日本人の拉致・殺害は、国際テロ組織アルカイダに近いザルカウィ幹部が率いるとされる組織の凶暴性を改めて浮き彫りにした。遺体を星条旗で包んで遺棄したことは、自衛隊を派遣した日本を米国の協力者として敵視する意図を表している。アラブ世界でなお根強い親日意識や、イラク人にある日本に対する復興支援の期待を「対米聖戦」の名の下に打ち砕こうとする狙いだ。
ヨルダン人のザルカウィ幹部はイラク戦争後に「タウヒード・ワ・ジハード(統一と聖戦)」を創設し、10月中旬にアルカイダに合流、組織名を「イラク・アルカイダ機構」に改称した。米軍と外国部隊だけでなく、イラク暫定政権や警察、新国軍などイラクの親米組織も標的としている。
その手法は、車に爆弾を積んで突っ込む自爆テロと外国人拉致だ。民間人を巻き添えにする自爆テロはイラク人の強い反発をかっているものの、アラブ世界全体では、メディアの注目を浴びる大規模テロが「対米聖戦」の象徴となり、ザルカウィ幹部も一部で英雄視されている現実がある。
外国人拉致・殺害も同様だ。武装勢力による拉致が本格的に始まったのは今年4月だが、その中でザルカウィ幹部の組織が初めて人質の首を切り落とし、映像を公表する残虐な手法を使い始めた。戦争で圧倒的に強者の立場にある欧米の人間が無残に殺害される映像により、アラブの民衆向けに「聖戦」では自分たちが強者だという優越感を与える狙いがある。
そうした中で日本人の遺体を星条旗で包むという演出は、日本人と米国人の同一視を狙ったものだ。イラク復興で「日本は米国と違う役割を果たせる」(小泉首相の国会答弁)という主張や、「かつて日本は米国と戦争し、原爆を落とされた国」という中東・アラブ諸国にある日本人への共感や親近感を打ち砕く意図があるとみられる。
今回の事件では、10月26日にイスラム系ウェブサイトに日本人拉致のビデオが公表されると、次々とそれを支持する匿名市民らの言葉が書き込まれ、日本を敵視する表現も出た。「日本政府がその主人である米国との縁を切らない限り、不信仰者の日本人は殺害されるべきだ」などだ。
アラブ世論のごく一部にすぎない過激派支持者の主張とは言え、中東で日本と日本人に対する憎悪が声高に語られるのは極めて異例だ。イラクでの反米闘争は、アラブ世界の民衆の反米感情と結びついて一定の共感を得ており、その文脈で日本敵視が語られることにもなり得る。
今回の事件は、争乱が続くイラクでの超過激派組織による特殊な犯行というにとどまらない。「アルカイダ」の名の下にインターネットや衛星放送を通じて、「日本=聖戦の敵」という単純化されたメッセージがアラブ・イスラム世界に広がるようなことがあれば、日本と日本人はより大きな危険にさらされる。
(11/01 08:35)
http://www.asahi.com/international/update/1101/002.html