現在地 HOME > 掲示板 > 戦争62 > 1027.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
11月11日 ◎米連邦地裁の違法判決 ◎日本が常任理事国にふさわしくない本当の理由
■□■ ■
□★□ 天木直人11月11日 メディア裏読み □
■□■ ■
◎米連邦地裁の違法判決
◎日本が常任理事国にふさわしくない本当の理由
◇◆ 米連邦地裁の違法判決 ◆◇
ハーグで開かれた「法の支配に基づいて権力者の横暴を制止する」国際フォーラムに出席して以来、私はしばらくの間にわか裁判官になった気分で裁判所の判決に興味を持つことになるであろう。そんなこともあって11月10日の毎日新聞に報じられた、米国ワシントンの連邦地方裁判所が、グアンタナモ米海軍基地に米国防省が開設した軍事法廷を違法とし、進行中のイエメン人被告の審理の中止を求める判決を下したという記事が何故か目にとまった。そしてその記事を読んで、あらためて日本との違いを痛感させられた。
同記事によれば、8日、ワシントンの米連邦地裁のジェームズ・ロバートソン裁判官は、アフガニスタンなどの対テロ戦争でキューバにある米海軍グアンタナモ基地に拘束されている「戦闘員」について、米国防省が開設した軍事法廷で審査を行う事は、ジュネーブ条約が定める戦時捕虜の保護が受けられない事、米軍の提出した証拠すべてが被告に示されない事などから違法と判断し、戦時捕虜の審査を行うか、通常の軍法会議で審理する必要があるとの判決を下したという。さらにまた同裁判官は、国際テロ組織「アルカイダ」メンバーなど一部の「敵の戦闘員」にはジュネーブ条約上の保護は適用されないとのブッシュ政権の方針を批判した。
私は米国の司法手続きに詳しくないので、ブッシュ政権がこれを不服として控訴するのか、さらにその場合にどのように訴訟が発展し結審するのか承知しない。しかしいずれにしても、この判決が再選を果たしたばかりのブッシュ政権に冷や水を浴びせることになったことは間違いない。
ひるがえって日本の裁判所を考えてみる。時の政権の政策を真っ向から違法とするような判決を下す裁判官はまずいない。それよりも、高度の政治的判断を要する案件は裁判になじまないなどという理屈で、法的判断を回避するのである。無茶苦茶なブッシュ政権の米国でも「法の支配」は日本よりもまともに行われているのだ。妙に感心させられた記事であった。
◇◆ 日本が常任理事国にふさわしくない本当の理由 ◆◇
連日あまりにも多くの外交的問題が報じられている中で、まだこんなことをやっているのかと呆れたのが、11月10日の毎日新聞夕刊に報道されていた安保理改革についてのアナン事務総長案なるものである。同事務総長の諮問機関である「ハイレベル委員会」は常任理事国を6カ国まで増やす案であるとか、新常任理事国には拒否権を与えない案であるとか、これまでの議論を寄せ集めたようなグジャグジャな案をまとめて盛り込もうとしているらしい。私はかねてからこんな問題は国連の金と人の無駄遣いにも等しい、どうでもいい作業でありと思っている。ましてや日本が5大国の仲間入りをする形で常任理事国に入れることは100%ないと思っている。だからこの毎日新聞の記事に関心はないのであるが、この記事を読みながら週刊エコノミスト11月9号の、河辺一郎愛知大学助教授の記事を思い出していた。彼は日本が常任理事国にふさわしくないかについて、つぎのように見事に喝破しているのである。
日本は去る10月15日に加盟国最多の9回目の非常任理事国選挙に当選した。これはブラジルとならんで最多である。しかしブラジルは1945年の国連創設時からの原加盟国であるが日本はそれから11年ほど遅れて加盟した事を考えれば、時間的には群をぬいて当選回数が多い。安保理活動の時間換算で35%以上の活動に参加してきた事になる。別の言葉で言い換えればそれだけ他の小国の機会を奪ってきたのである。
それほど頻繁に安保理会議に参加してきておきながら、日本は何をしてきたというのか。たとえば平和外交をうたい文句にする日本が軍縮問題に関して他の国に率先して積極的に取り組んできたことは殆どない。90年に南大西洋の非核化問題が審議された際には、賛成150、反対1(すなわち米国)の中で、日本は唯一の棄権国であった。96年に核兵器の違法性について国際司法裁判所が勧告的違憲を出した際にも、その審理において日本政府は核兵器を違法と表明する事はなかった。97年9月に対人地雷全面禁止条約が署名された時も日本は否定的だった。98年に米英がイラクを爆撃した時、日本は英国とともにこの爆撃を正当化する決議案を提案し、爆撃が行われた際には安保理の議場においてただ一人爆撃への支持をはっきりと表明した。
エコノミストの河辺助教授の記事は、実に豊富な実例を引用しながら、日本政府がいかにご都合主義的に国連を利用してきたか、米国の都合に合わせて立場を豹変してきたかを指摘している。これを読む読者は、あらためて日本が常任理事国になる資格がないことが分かる。
そうなのである。日本は世界の大半の国にとって常任理事国になってもらわないほうが良い国なのである。この河辺助教授の検証の前には、安保理事国入りを強く押そうとしている人々は恥ずかしいという気にさせられるのである。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm