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11月1日付・読売社説(1)
[邦人人質殺害]「それでも『テロとの戦い』は続く」
イラクで武装テロ勢力に拘束されていた香田証生さんの殺害が確認された。極めて残念な結果である。
犯行グループは、人質を容赦なく殺害する国際テロリスト、ザルカウィ容疑者が率いる危険な集団だとみられている。町村外相や家族が衛星テレビに出演し、解放を訴えた。だが、四月に起きた邦人三人の人質事件とは違い、交渉に応じる相手ではなかった。
四月の事件の際は、家族が政府に自衛隊撤退を求める一方で、組織的な署名活動やデモが繰り広げられ、政治運動化した。今回、家族は犯人が解放の条件とした自衛隊撤退については言及を避け、政策変更を求めなかった。多くの国民も、冷静に政府の救出活動を見守った。
再発防止のため、政府が「退避勧告」を周知徹底するのは当然だが、一人一人が無謀な行動をしないことが基本だ。
今回の事件で改めて明確になったのは国際社会の「テロとの戦い」が続き、日本もその戦列に連なっている、という現実である。
民主化と復興が成らず、イラクが完全な破綻(はたん)国家になれば、テロリストの活動の拠点と化す。日本を含む国際社会の平和と安全の重大な脅威となる。卑劣なテロに屈することなく、復興に取り組まなければならない理由は、そこにある。
だからこそ、日本は自衛隊の人道復興支援活動を継続すべきである。
十二月十四日に切れる自衛隊の派遣期限を延長するのは、当然だ。サマワの自衛隊宿営地内にも、ロケット弾が着弾した。現地の自衛隊の安全対策には、より一層の考慮をしなければなるまい。
期限延長については、当初から自衛隊派遣に反対してきた野党三党が、自衛隊撤退を主張している。自民党の一部にも慎重論がある。
民主党の岡田代表は「自衛隊派遣が世界中で日本がテロの標的になる可能性を高めた」と言う。だが、自衛隊が撤退すれば、テロ勢力を勢いづけるだけだ。政治的な駆け引きではなく、国益の観点から考えるべき問題である。
公明党は、米大統領選の結果や世論の動向を見極めたうえで、派遣延長問題への態度を決める方針だ。しかし、米大統領選で民主党のケリー候補が勝ったとしても、米軍撤退などはあり得ない。
来年一月の国民議会選挙などの民主化プロセスを阻止するため、武装勢力の動きは、ますます活発になるだろう。
新生イラクの建設へ、国際社会が改めて結束を強めるべき局面にある。日本はその一員として、責任ある役割を果たさなければならない。
(2004/11/1/01:28 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041031ig90.htm