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10月17日付・読売社説(2)
[イラク復興]「困難な状況をどう打開するか」
イラクの厳しい現状がいや応なく反映された会合だった、と言えるだろう。
イラク復興信託基金の拠出国会合が東京で開かれた。イラクを復興と民主化の軌道に乗せるため、国際社会の支援の輪をどれだけ広げられるか。それが、テーマであり、主催国・日本の課題でもあった。だが、実質的な成果は乏しかった。
参加した五十七か国・機関は、来年一月の国民議会選挙などイラクの民主化プロセスを後押しすることを確認した。国民議会選挙の準備に、日本が約44億円の支援を、欧州連合(EU)が約20億円の拠出をそれぞれ表明した。
しかし、新たな大口の資金拠出はイラン一国にとどまった。事前調整では拠出する可能性があると見られていた仏独両国は、選挙支援への「関心」を示しただけで、基金への拠出を見送った。
拠出国が拡大しない最大の理由は、イラクの治安情勢が一向に改善されないことだ。駐留米軍やイラク国家警備隊などを狙った自爆テロ、人質事件が後を絶たない。選挙をさせまいとして、武装勢力は、ますます攻勢を強めるだろう。
基金の受け皿として、現地調査や事業の発注を担当する国連機関、民間活動団体(NGO)が、治安悪化でイラクへ入れない。このため、基金の総額約1100億円のうち、これまでに使われたのは約24億円にとどまっている。
電力、水の供給、雇用創出などイラク側が求めている事業を進展させるにも、選挙を円滑に行うにも、治安の回復が欠かせない。イラク戦争の当事国の米国が治安改善に大きな責任を負っているが、イラク自身の努力も求められる。
拠出国会合で、イラクの代表が、治安部隊の増員計画を盛り込んだ「イラク復興戦略」を示した。だが、要員に訓練を施し、装備を整えるのは容易ではない。北大西洋条約機構(NATO)は年内に本格的な要員の訓練を開始する。日本も資金面などで積極的に支援すべきだ。
イラクが抱える巨額の対外債務の削減問題も、支援の足かせとなっている。年内に開かれる主要債権国会議で削減方法を話し合うが、日本は率先して合意形成に努めなければならない。
会合出席のために来日したイラクのサレハ副首相は、サマワに派遣している自衛隊の仕事ぶりを高く評価した。自衛隊の派遣期限は十二月で切れる。期限を延長し、活動を続けることが必要だ。
イラク再建が破たんすれば、テロリストの思うつぼだ。困難な状況にあって、今ほど国際社会の結束強化が重要な局面はない。そこに、日本の役割がある。
(2004/10/17/01:43 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041016ig91.htm