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(回答先: 軍事パレードから米軍排除、仏軍は参加の日経記事あり電網公開なし 投稿者 木村愛二 日時 2004 年 10 月 14 日 12:40:32)
この「スペイン化の日」祝典には根の深い多くの問題があり、後日投稿予定です
10月12日の祭日は、私の投稿にもありますようにel Día de Hispanidadと呼び、これを日本ではどうやら「諸民族の日」「諸国民の日」などと翻訳されているようですが、しかしこれは意味を曲げており、この言葉を文字通り解釈しますと「スペイン化の日」「スペイン言語・文化を持つ諸国民全体の日」という意味になります。日本列島内スメラミコトの支配地域での「建国の日」などとは全く異なった、世界性を持った名称なのです。
この名称にこめられたスペイン旧植民地をスペイン本国と一体化・統一させるような意味合いは、フランコ体制の元で一般化したものです。私は、このような動きが、ちょうどカトリック勢力(主にオプス・デイ)が第2次大戦後に、スペイン旧植民地を再びその網の中に手繰り寄せていった時期に起こっていることに、注目しています。
現在では表向きは「スペイン国家の日(el Día de la Fiesta Nacional de España)」と呼ばれますが、ほとんどのスペイン人はやはり昔ながらel Día de Hispanidadと呼んでおり、各報道機関でも堂々とこの名称が使われています。
今回、私はとりあえず米国との関連だけを今回お知らせしましたが、今年のel Día de Hispanidadでは、特に軍事パレードで、実にさまざまな問題が起こっているのです。
エル・ムンド紙はこれを次のようにまとめています。
・ 国防相は軍事パレードにイタリアとフランスを招待し米国を外す
・ 米国大使がパレード時に姿を見せず
・ 旧フランコ軍兵士と共和国軍兵士が同席する
・ ボノ【国防相】は死者への追悼の意味を変更する
・ テロ被害者を尊重する表明
・ 長年の欠席の後で、マラガィュ【カタルーニャ州知事:社労党員】が軍事パレードに出席
・ アギレとガリャルドン【共にマドリッド行政区政府のトップ:国民党員】がマドリッドの国民党内の対立を激化させる
http://www.elmundo.es/elmundo/2004/10/12/espana/1097590050.html
この中で、カタルーニャ州知事マラガィュの出席は、特にカタルーニャでは注目されています。社会主義者であると同時に民族主義者であるマラガィュは長年「スペイン化」を批判してきたからです。サパテロ中央政権からよほど強い圧力があったのでしょう。なおバスク民族の知事イバレチェ、および旧共産党の統一左翼連合代表リャマサレスは欠席しています。
またこのエル・ムンド紙の記事には現われていませんが、他に、キューバのスペイン大使館でこの日の祝典行事に、カストロ政府の代表だけでなく反カストロ派にも正式な招待状を出したことから波紋が広がっています。サパテロ政権がカストロとの対話を再開しているため、これに反発して実際には反体制派は出席しなかったようですが、マドリッドでの軍事パレードの招待者に、旧フランコ軍兵士と共和国軍兵士を同席させたことと共に、今後も議論を呼びそうです。国民党側は早速これを「不道徳」であり「彼らをほとんど侮辱するもの」「耐え難い行動」と厳しく非難しています。
http://www.elmundo.es/elmundo/2004/10/13/espana/1097685077.html
もちろんどの報道機関も口をつむっていますが、このel Día de Hispanidadがそのイメージの中に中南米の植民地化における数え切れない暴虐と抑圧を含んでおり、スペイン国内でこれを念頭に置いてこの日を表立って批判する勢力はごく少数で、バスクやカタルーニャなどの民族主義者でも、個人的にはともかく、あまり口にはしません。
このように、一つ一つが根の深い問題を含み、またサパテロ政権がEUの戦略の中でどのような働きを担っていく予定なのか、という点まで含めて、今年のel Día de Hispanidadに起こったことは詳しい分析を必要とするものでしょう。ただいま多くの資料を読解中で、多少時間はかかるかもしれませんが、これについてはまた改めてお知らせすることとします。